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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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一人で放っておくとこんなんなります……

 えっと、なんであの二人が一緒に……え?


「接点とかあった?」


 いや私の知る限りじゃなかったと思うんだけど。そもそもファラリスが毛嫌いして居る相手と接点なんて出来るか普通? うーん私の貧弱図のズノーじゃわからんちゃん……


「仮定……かっこいいお兄さんとして憧れを集めてて、憧れのお兄さんに話しかけてる、とか?」


 おぉ、なんかそれっぽい。実際あのシノブって人、結構顔は良いしスタイルも良いし。アレウスとロイくんには劣るけどな! 


「って現代の学校でもあるまいし、幾らかっこいいとしても従者相手にお貴族様が、まぁそんなんないかぁ……うん。流石にね」


 となるとなるとなると? 他に可能性があるとすれば……何があるかなぁ……


「もしかすると、ファラリスちゃんの所から人材引き抜きとか……? いや、流石にそんな……でも嫌がらせとすれば最高の一手かもしれない……」


 とか思ったんですが、話に聞くエリィアの家系ってメッッチャ勢いヴァリアブルなお力エクストリーム成り上がりノブリスオブリージュ、との事。めっちゃ脂乗ってて波にも乗ってるそんな家から乗り換えるとか、する?


「……いやしないだろ絶対。冷静に考えて」


 あの従者が道案内をしてる……主人を放って別の貴族相手に? いやぁ、それもないと思うなぁ。流石に仕事サボった上に他の貴族優先してるとかクビ案件よ?


「まぁロイくんは絶対クビにしないけどな! 最悪私の事なんか程々にハーレム築いても構わんぜ! 一応、応援する!」


 ハーレムが好きな訳じゃないよ? やっぱり一番は一対一のイチャラブだと思っていますから? まぁ大人でビター

な浮気が絡む恋愛ストーリーも結構いけますけど。


「それ許容してでもロイくんはキープしておきたい逸材なのよねぇ……」


 腕も良いし賢いし、人格に……ハーレム築いた時点で人格はちょっと信頼できなくなるからハーレムはやっぱやめてほしいなぁ、なんて。うん。他は、うん。私の権限で出来るだけ叶えるから。まぁ、それは置いておいて。


「まぁ兎も角、サボりではないと思う……んだけど、あれぇ?」


 いよいよプラス的な理由が存在しなくなったんだが。

 じゃあマイナスな理由とか? 言い争いになってるようには、ハイ一切見えないのよなぁ……普通に話して居るようにしか見えないです。いや普通に話すような二人ではないと思うんだけど。


「マジでわからん……あの二人の繋がりとは一体……?」


 いやそれを考察する事が今の目標ではないんだけどさ。でも気になるじゃん。目的の人物と敵対関係……って程じゃないけど微妙な関係にある人、その従者が一緒にいるとか。


「……他に、可能性……親しくなってる方向で考えると……」


 親しくして居るというのにもやっぱり程度があるよね。それがどの程度なのか……一番現実的なのは顔見知り程度で終わってるとかその位かも……いやっ、待て?


「もしや……逆? 逆なの!? むしろこの短期間でより親しく!?」


 我がオタク的感性が唸りをあげておるわ……大人なイケメンと青い果実……男子同士の禁断の感情……アリエル! 可能性はゼロではない! えっと……うん、話が弾んで居る、ように見えない事もない。


「えってことはあれは逢瀬、もしくはナンパ的な現場かもしれないって事!?」


 よ、よく見ればなんか、ジェイルってやつは結構笑ってるし、シノブって人も笑顔に見えない事も……!?

 ってバカ声がデカイ気づかれてしまう! と、取り敢えず……角だ! 角を使って隠れるのだ! 気づかれるのはよろしくない! 良く分からんけど!


「……そーっと……」


 ……と、とっさに隠れてしまった。いや、でも私の想像が確かなら今は女の私が割り込んでいけない領域だ。冷静に事の推移を見守らねばならぬ。


「いや待て私、まだ可能性の段階だろう……」


 と、とはいえ、その可能性が出てきた以上、下手に声をかけるのは憚られる……私はそっち方向の知識は豊富ではないし、特に趣味でもないが、しかし一応オタク女子の端くれでもある……敬意を、示しておくべきではないのか!?


「で、でもこのまま帰る……!? いや、それじゃあ何のためにここまで来たのか」


 元々は謝罪をちゃんとして恨みを確実に消去するために来たんだから。となれば……どうしよう!? ど、どちらに従うべきか!? 理性か! 本能か!?


常識的な判断(理性)か……オタク根性(本能)か……くっ、悩ましいところだ……」


 そもこんな乙女ゲームやりこむぐらいだし? 私そもそも結構どっぷりとしたオタクちゃんな訳でして? そのオタク根性を刺激するかのような案件を…‥無視…‥!


「いや、冷静に考えろ、あくまで可能性なんだよ本能よ…‥なんの根拠もない、ね……」


 目の前にあるのは、確実な問題…‥ここで謝らねば明らかに恨みを残すという……!


「誘惑を断ち切れ……そもそもそうである可能性は低いと思われるのだから!」


 よし、私は正気に戻った。という事で突っ込むが安定……取り敢えずちゃんと謝りさえすれば良いんだから。っていうか、あの二人の関係を邪推した結果こんな事に。くそ、ロイくんがいればこんな事にはならなかったと思われるんだが…‥

「単独行動をする場合はこういう所も自重していかねばならないわね…‥よし、行くわよ」


 取り敢えず、まずはごめんなさいから…‥って、あれ?


「……居ない?」


 あれ? 私がなんか悩んでた間にもう真横を通り過ぎてた? いやそれはないだろ曲がる時に私がここに居ることくらい分かるだろうし……私に思うところがあるなら絶対私を見逃す訳ないだろうしなぁ…‥


「どこ行った…‥って、あれ」


 脇に階段あった…‥そっか、こっちから降りる事もできるんだ……あー! 畜生やってしまったぁ! へ、変に悩んで居る間に機を逃したぁ!?


「うぐぐ……こ、これでは一人で何でも出来る大公令嬢、ではなく。一人でなんかやらせると凡ミスやらかす大公令嬢(笑)になってしまう…‥!」


 ……気をつけねば……マジで…‥うぐぐ……た、単独行動とか調子にのるからだよこの愚か者ぉ! ば、バカァ!


腐女子ではないです。そういう文化も知ってて、ちゃんと敬意を示して居るだけで。

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