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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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勘違いに流行り、人生って行き当たりばったり

 ……流行りだとは思うんだ。うん。流行りだとは。けど流行りって言っても、一日二日で搔き消えちゃあ流行りとは言わないと思う……何が言いたいのか?


「それで……その、どうですか、今日の食堂、美味しいステーキだそうですよ?」

「……今日も先約がありますので、ごめんなさいね」


 こうやって私を誘う人は、そう簡単に消えないのよなぁ……一々断るのが、その、ど失礼ではあるけど、言いたい……面倒です、と! 面倒くさいです、と!


「いっつもそうやって、僕の心を弄ぶ……っ。メタリアさんのバカァっ!」


 あっ、ちょ……だからと言って泣きながら逃げ去るのはご勘弁くださーい!? ありもしない誤解されたらヤバイからさぁ!  ちょ、お願い、許して!?


「……こうなるのが嫌だから、誘って欲しくないんだけどなぁ」


 一応婚約者いますから、って皆知ってるはずだよなぁ……そりゃあ貴族の子息だし、親御さんから聞かされてるはずだよなぁ? だって、この前のパーティで大々的に報じたもんなぁ……その上で誘ってる、としか思えんよなぁ……ベスティ達の所に戻ろ……


「……凄いわ、あれだけ誘われても、あっさり断っちゃうなんて」

「大公令嬢は男の子との付き合い方も私たちとは違うって事なのかしら……」

「……ん?」


 んん、なんかイヤーなセリフが聞こえたような。物凄い誤解受けてるような発言が聞こえたようなってあー見えてしまったぁ通路の陰でなんか噂をしているお嬢様お二人が見えたようなぁ!?


「きっと男の子に慣れてるのよ! そう言う機会も多そうだし!」

「たくさん言い寄られてるのね! 爛れてるわ!」


 あー訂正する間も無く鬼のように誤解が広まってオルゥ!? 待っっっって、待ってちょうだい。私が顔色を変えずに断ったのは、出来るだけ傷を付けないようにした配慮であって!


「ああやって、パーティでも男の子をあしらったりしてるのかしら……!」

「悪い子ね! 悪い子だわ……! でも、でも、なぜかそれが似合うわ!」


 ……これ以上ここにいると精神的に致命の一撃を叩き込まれそうだから撤退するとしよう。ベスティとヘリメルちゃんの所に帰ろう。癒してもらおう……


「悲しいなぁ……」




「メタリィ、待ってたわよってメタリィ大丈夫!? 泣いてるわよ!?」

「あ、あのこれハンカチです! 目を拭ってください!」

「ありがとう……ふふ、私、案外……こうやって感情豊かでもあるのよ?」

「何を言ってるの!?」


 うん? 真顔で泣いてるじゃないかって? 悲しみが一定値を超えると能面染みた顔にならない? 私はなる。もう全部投げ捨てて呆然とし尽くす。うん。


「で、何があったの?」

「……男子からまた声をかけられたのよ。二人きりで食事でもって。今日だけで三件目ね」

「また? 最近は本当にメタリアに話しかける男の子、増えたわよねぇ?」

「でも、それだけメタリア様が素敵って事ですよ!」


 今このタイミングで褒められても……微妙かなぁ。喜んでられる状況じゃあないし。


「一応私、婚約者がいる身なのだから、こうやって男子に言い寄られてるのは、ね」

「正直微妙?」

「そうね。私は我が婚約者様には義理立てしてますから。そうやって仲良くしようと言われても、ある一定までしか付き合えませんから……それだったら、スパッと断るのがいいのかしら、って」


 ……自信過剰? そんな簡単に声掛けられるわけがない? いいや、現代の価値観と比べちゃあいかん。この世界……いや、この時代か……どっちでもいいか。兎も角、男子は相当なプレイボーイだ。少年であろうと青年であろうと関係はない。


「さすがメタリィ! 私も見習いたいわ」

「はい。私も、将来の旦那様には誠実でありたいです!」


 いや、見習うって言うか私の所ではそうじゃないと尻軽だとか言われるし、女性も男性も普通に妾だけとか燕だとかいるのが珍しくないこっちとは価値観の差があるというか。


「……でも、そうじゃない男の子もいるみたいね」

「あ」


 向こうにいるのは……ファラリスにボコボコにされてた子じゃないか!


「……睨まれてるわね。怨みを買う理由もわからないでもないけど、ああもハッキリ睨まれると……流石に」

「文句言ってきてやろうかしら!」

「ベスティ、ああいうのには構うと逆効果よ。放っておくのが一番だわ」


 それにしても彼奴、わざわざ食堂まで来て、飯も食わず私を見てるのか。結構暇じゃないかお前? いや、恨まれてるのであればさもありなん……なのかな。


「……ん?」


 あれ、後ろにもう一人……あの子は気づいてないみたいだな。あの真っ黒なのは……


「ファラリスの所の従者さん? かな……なんでこっち見てるんだろ」


 ……いや、見てるのはこっちじゃないな。見てるのは……ボコられ男子の方だ。


「なんであの子を見てるんだろう……いや、そう見えてるだけで、私を監視してるとか」


 いやぁ、ファラリスの命令ならやりそうだなぁ……あー、でも私の方を見てるなら目が合いそうなものだけど……あった気がしない、ってあ、今あったな。


「なんか用があるのかな、彼に」


 ……まぁ、私が気にしても仕方ないか。今は二人と食事食事。 


書いてると、キャラが勝手に動き出す事、あるじゃないですか。

最近そんな感じです。でもお嬢様は相変わらず小市民だから良しとします。

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