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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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定例報告会で王宮の今を知る

「しかし……そのお前を罵倒した、という男子生徒、随分と活きがいいな。お前が如何に肩書きには見合わぬ些か残念な少女とは言え、大公の名に一切遠慮しないとは」

「いや、それは多分勢いに任せて言っちゃったんだと思うけど……」


 とは言え、実際結構気合入ってるっていう意味なら、そうよな。ファラリスにあんだけボコられても、一応ビビらずに本人とちゃんと話できてたしなぁ。


「ふむ、大人しい、冷静である、それを良しとする貴族の風潮の中でそこまで力強い性格なのは才能でもある。ぜひ会って話してみたい所ではあるが」

「いやアレはその場の勢いも大分強いと思うから……んーでも意外だなぁ」

「何がだ?」

「ファラリスがね、貴族ってすぐキレて暴れるロクデナシばっかりーって。どっちかと言えば貴族事情はアンタの方が詳しいんだろうし、そっちの方が正しいんでしょう? あの子が間違うとか、思って見なかったから」


 ちゃんと自分の中の知識確かめてから物言うタイプだと思ってたから。事情を誤解してたとかなのかな。まぁ弘法も筆の誤りっていうし……そういう事もあるか。


「いや、一概にそうとも言えん」

「へ?」

「確かに、俺は並みの人間よりは貴族事情に詳しいが……それは王宮内によく出入りするような貴族に限っての話だ。それ以外については、正直疎い」


 ……言われてみりゃ、そりゃそうだな。今までのシュレクの主な活動範囲って王宮内部だろうし、そんなところに出入りするような貴族なんて、結構限られてくるし。


「王宮に出入りする貴族は、良くも悪くも、静かに幽かに動く事を知ったものばかり。机の下で刃を突き刺し合うような人材には困らないが……」

「それ以外は、あんまり見ないって事?」

「うむ。基本的には情熱には欠け、陰湿さを追い求める人材ばかりだと、父上もため息を吐いていた。冷静さも、情熱も、双方が王国の運営には必要である、との事だ」


 はえー……王宮って怖いんだなぁ……背筋が凍りつきそう……


「そういう事で、俺は俺が知っている以外のことは知らん。他の貴族には王宮の貴族を圧倒して情熱に溢れている、と言う事も十分にあり得るという事だ」

「ファラリスも間違っている、とは限らないってことね」


 ……想像してみるとなんか嫌だなぁ、それはそれで。上は大水、他は大火事とか、謎々じゃないんだぞ。もうちょっと国として、なんかなかったのかなぁ。


「お父様とかは、陰湿とかとは無縁そうだったけど」

「大公殿は例外だろう。情熱と冷徹の加減を良く知っていると言う事だ」


 わーお父様凄いなぁー王様からもお墨付きなんだー……もしかして私大人になったらそれレベルのこと要求されてるのかなぁ……ウゥ、想像もしたくもない。


「しかし大公殿を含めても熱が足りないのは事実なのだが……」

「じゃあ件の少年でもスカウトして見たら? 間違いなく熱を与えてくれると思うよ?」

「その熱は……恐らく、煮えたぎる油に炎を放つ類の熱だと思うのだが」

「そりゃそうでしょうね」


 王宮内が冷え切ってるのって、なんか、こう、言葉に出来ない微妙なバランスを保ってるからじゃないかっては、まぁ、分かるし。そんな中にあんなん放り込んだら……ふふ


「そう言った事が理解できているお前こそ、将来の王宮に欲しいところだが」

「死んでもごめんですわ旦那様。私、将来はのんびり領地の運営でも、薔薇園の手入れでも、兎に角責任で潰されないような生き方をしたいので」

「そうか。ありえん。許さん。逃がさん。王宮に来い」

「怖っ!?」


 あ、あの、イケメンフェイスでその喋り方はマジで恐怖なんだけど。しかもこいつ大抵真顔だから余計に恐怖が加速するし。許して?


「まぁ、それくらい俺はお前の事を評価している。俺の補佐に是非とも欲しいところだ」

「……それは宰相殿のご子息にでもお願いしたらどうかしら?」

「彼は俺の弟と既に懇意にしている。将来の宰相としての才能の片鱗を既に見せる、才覚に溢れた少年だった。安心して弟を任せられると言うものだ」


 あ、そうでっか。


「私を補佐にしても、その子以上の働きができるとは思えないけど?」


 原作じゃあ文官攻略対象くんすっごい頭脳冴えてたし。ルートではメタリアとの頭脳対決とかしてたけど、毎回毎回メタリアはボロ負けして唇噛み締めてブルブルしてたし。


「まぁそれはそうだろうな」

「えぇそうですとも……私、王子を支えるような教育を施されてはいませんし?」


 因みに全員が揃うハーレムルートもあるんですが、その時のメタリアが一番悪知恵働くんですよ。それでも文官くんにはボロ負けしておりました。所詮悪役令嬢なんで、頭の出来なんてたかが知れてるんですよ。


「しかし、俺がお前に求めるのはそれだけではないからな。構わない」

「ふーん……って待って結局頭の良さは求められるのね、私」

「安心しろ、ちゃんと教育係はつける予定だ」


 私王宮に上がっても教育施されるのか……マジで領地に引きこもってやろうかな。シュレクは大公の領地に招く形で会うとして。


「お前に主に求めたいのは、俺を制御する役割だ」

「いや更に無茶では?」

「お前は感性が普通だからな。感性が普通とはズレている俺の修正には、お前くらいはっきり物が言える常識的な人材が必要という事だ」

「ズレてるって自覚あるなら直しなさいよあんた……」


 王族なんだから、そういうとこ直していかないと大変よ、ほんと


「お前がいるからな。俺は他の所に力を注げるというものだ。任せるぞ、共犯者殿」


 そんなこと言われてもなぁ……まぁ、でも見捨てるっていうのも……はぁ。


「……ま、考えるだけは考えてあげるよ、婚約者殿」


悪役令嬢要素の一つ、政治要素をほんのりと隠し味で。

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