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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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教室関係の複雑怪奇 その二

「……あぁ、あの時の。まったく情けない男だったもので、頭の片隅からも消えかけていましたわ。まぁ、まったく申し訳なく、なんて思いもしませんけれど」


 そして正体がわかったその直後にこのバリ煽りフゥ〜! 思わず私の広背筋が凍り付きましてよ……あ、そんな風になる程筋肉鍛えてなかった。それはともかく。


「……す、少しは悪びれたらどうだい、エリィアの成り上がり娘」

「上等です、今度は一日中きっちり説教を聞かせて差し上げましょうか……!」

「待て! 分かった! エリィア嬢! 落ち着け! そう眦をつり上げなくてもいいだろう、なっ!? 怒りを静めるんだ!」


 弱い。これはまごう事ないチキン。ヘタレ具合が凄まじくて草も生えませんわ。まぁあんな剣幕のお説教何回も浴びたいかといえば……いや、私も速攻で降参するなぁ。ごめんヘタレとか言えなかったわ。


「ふん、プライドというものがないのでしょうか……まぁいいですわ。それで?」

「え」

「この私と、大公の令嬢たる彼女の会話を遮ってまで、わざわざ伝えたい事があったのでしょう? 言ってみなさいな。聞くだけは聞いてさしあげますわよ?」


 まぁ確かにこのままヘタレて帰ったらお前なんの為に来たんってなるからね。


「……まぁ、いい。僕は寛大だからな、その失礼な物言いも……」

「お説教というのは、日を跨ぐ事もあるらしいですわねぇ……そうですわね、とりあえず」

「待って! 全然気にしてないですから話を聞いてくれ! っていうか話せって言ったのはお前だろう!? えぇ!? 違うのかい!?」


 そんなにビビるんだったらそんな変にカッコつけとか、威張り散らそうとかやめなさいよ。ファラリスちゃんはあんまり容赦せんかたですよ?


「兎に角、僕の用というのはだな! そちらのオースデルク嬢にあるんだよ!」

「……あら、私?」

「おや、意外そうだね、オースデルク嬢」

「ファラリスさんとずっと話していましたので、ご用は其方にあるのか、と」


 ……とかなんで私が誘われたのが分からない風に言ってますけど、まぁ、その可能性はあると思ってました。


「はぁ、それで」

「勉強会、と言っていたね? ファラリス嬢ではなく、僕とやるつもりはないかい? 大公の娘の貴女と、一緒に勉強でもできれば、と思って」

「ふむ……勉強会を、貴方と、ですか?」


 でもアンタ、視線がそうは言ってませんよ? ちょっと嫌らしい顔してますよ? 


 まぁ、そういう要件じゃないかって、いうのは……想像してなかったと言えば嘘だ。私って中身さえ知らなければトップクラスの優良物件にも……見えなくもないし。


「君だって、色々な人と交流を持った方がいいんじゃないかな。共に学ぶ友、というのは多いに越したことは無いと思うよ?」

「それは……まぁそうですけど?」


 その上から下までジロジロ見るのをやめなさいよ。そうホントに思ってるんだったらさ。そんなピュアな視線と違うぞ、それは。お前ヘリメルさんと比べてみ? 差が酷すぎてちょっと泣きたくなるからさ。


「どうだい、僕と一緒に」

「……一つだけ聞いても宜しいですか?」


 っていうか、それ以前に凄い気になってしまったところがあるのよなぁ。


「うん? なんだいオースデルク嬢」

「勉強会と言っても、私と一対一、ではございません。私のお友達と一緒に行うのですがそれでも宜しいですか?」

「えっ?」


 ちらっと私の後ろを見てみる。


「私の大事なお友達二人、一緒にお勉強会をするつもりでしたから?」


 完全にこの人、二人きりで勉強をするつもりで喋ってたよね。私以外と勉強をする積もりで喋っていたように見えなかった。ファラリスは気に入らないって理由で除外している理由も分かるんだけどさ……ベスティとヘリメル、スルーしてませんか?


「……あっ、そ、其方のお二人と一緒にってことかい? ぜ、全然大丈夫だよ」

「ふぅん……?」


 本当に友達を作って勉強会をしたいっていうなら、私だけじゃなくて、私と一緒にいるベスティ、ヘリメルも一緒に誘うのが普通じゃ無い?


「……わかりましたわ。貴方と勉強する、というのは……」

「と、というのは?」

「やめておきますわ。貴方とは、仲良くできそうにありませんし」


 これだけなら、もしかしたら誰かを誘うのが苦手っていうだけもしれないけどねぇ。でも、この誘い方とさっきの視線を一緒に考えると……うん! アウト!


「なっ!?」

「もう宜しいですか? 私、ファラリスさんと詳細を詰めねばなりませんので」


 こーいうたちの悪いのとは付き合わないようにせんとなぁ。シュレクの奴の婚約者なわけだし、私の交友関係から問題持ち込んだら流石に申し訳ないし。


「……はぁ、それでこそ、貴女というべきなのか」

「何がですの?」

「いいえ……全くもって、そうやって私は追い詰められたのを、刻々と思い出させられましたわ。本当に忌々しいですわね、貴女は」

「……無礼という意味では私と貴女、同等くらいでしてよ?」


 お? なんだよ、睨み返すなよ。さらに睨み返すぞおら。やんのか?


「ふ、ふふふふふふ!」

「ええいそっちの男子、煩いですわよ! 今この女と今度こそケリをつけようと!」

「ふ、巫山戯るなぁ! オースデルク! 貴様ぁ!」


令嬢としての理由と友達を考えての理由と。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一貫したクソザコナメクジムーブ、むしろ評価する(笑) 大公令嬢相手に「貴様」呼ばわりはまずくないか?ロイくんが黙ってないぞ?
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