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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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従者ポイント2020点追加

 さて……どうするかなぁ。目の前を、チラッと。


「ルキサ、さっきメタリアさんから言われた事、忘れないうちに問題を解いて復習するわよ。六問くらいでいい? エーナも!」

「はいはいお嬢……うえぇ、結構めんどくさい奴ばっかりだなぁ」

「でも覚えるには丁度良いくらいの難易度ではないでしょうか。頑張りましょう」


 やる気に燃えるファラリスお嬢様率いるファラリス陣営。今は私からのアドバイスを経て算術に超熱中していらっしゃるようで。筆にも力が篭るというものです。先ほどからずうっと勢いが凄まじいです。

 さて、左右をチラチラっと確認。


「メタリィ、ここって……」

「あぁうん。その辺りは、このワードと紐づけて覚えてると良いわよ。そうすれば覚えられると思うから……少なくとも、私はこうやって覚えたから」

「なるほど。ありがとうございますメタリア様」

「あぁうん、全然。良いわよ。折角の勉強会なのだから、なんでも聞いて、頂戴?」


 双方ともにバリバリやる気が凄まじい我が陣営、メタリアとヘリメル。こちらは拳が恐るべきスピードでシャカシャカ動いている。こちらの熱意も凄まじい事で。

 そして……最後。背後。そこに誰がいるのか。


「……紅茶は必要かな、そちらのジュウシャドノ」

「……いいえ、必要はない。気遣いは無用だよ」


 私の従者と向こうの従者の雰囲気が険悪とかそういうレベルではございません。大体無言で、時々喋ると雰囲気が致命的に悪くなるんです。怖いです、

 結論。なぜか室内の雰囲気が極悪彼岸……あの世に帰省したく思います。メタリアです。どうしてこんなことになったんでしょうか。誰か教えてください。


「(他の皆がやる気出してるだけなら、まだ……いや、大分気持ち的にプレッシャーかかって来るだけで、まぁ、すむっちゃ済むけど……)」


 もっかい後ろをちらり……ウゥ、やっぱり凄まじい形相で睨み合いを続けていらっしゃる。険悪、とかじゃないよ……ロイくんは基本的に紳士だというのに、まるで家の敵を相手にするみたいな形相してんだぞ。


「いやマジで、何をしでかしたんですか、お二方……何があったんですか」

「メタリィ、こことかどうなって……メタリィ!? また顔色が悪くなってるわよ!? どうしたの!? お腹痛いの!?」

「えぇ!? メタリア様、お腹を壊されたのですか!?」


 あぁ……違うから、そうじゃないから……あ、プレッシャーで声が出ない。手を振って平気と伝えないと。思いっきりブンブンしなきゃ……


「(ブンブン)」

「だ、だめ!? 限界!? そんなに酷いの!? あぁどうしましょう!?」

「……メタリアさん、顔色がよろしくないようですけど、どうかなされたので?」

「ファ、ファラリス……いえ、つまならない事を言ってる場合ではないわね! 手伝ってちょうだい、メタリィの調子が悪くなったらしくて!」


 バカなっ!? 状況が悪化した!?


「(違う、違うのよ……そうじゃないの)」

「く、首をますます振って……! そこまで調子が悪いのね! 大丈夫、すぐに助けが来るわ!」


 だ、ダメだっ! ベスティには多分通じない! 良い子過ぎるのがこんな所で思わぬデメリットに!? こ、こうとなればファラリス! ここは一歩物事を引いて考えられるであろう貴女に! 全てを託す!


「く、焦点もあっていないように見えるわね……ルキサ! エーナ! オースデルク嬢の調子が悪いそうよ! 学内の医者に急いで知らせて!」


 ぎゃあああああああそうじゃないんだぁあああ! ファラリスちゃん気がついて! 私は調子一切悪くないから! 私の輝く瞳を見て! 焦点もあってるよ!?


「ひ、冷や汗まで、なんということ……! く、貴女と決着を付けたいとは申し上げましたが、この様な形で決着が付くなど、許しませんわよ!」


 しまったぁあああああ!? 予想以上の状況の混沌具合に、思わず冷や汗を! これじゃ余計に具合が悪く見えるぅぅぅぅ!?


「——レディ、少し失礼を。お嬢様は私がお運びいたしますので、皆様は先にお医者様の所へ行って、事情の説明を……そちらの従者殿も一緒に。私はお嬢様のことを考えて、出来るだけゆっくりと後から参りますので」


 ろ、ロイくん。なんてこった、ただの誤解から君にまで迷惑粉かけてしまうとは。スマヌ、ダメな主人ですまぬ……許して……お許しを……あ、皆もわざわざ出向かせちゃってごめんね……もうここまで来ると誤解って言っても逆転不可能だと思う。


「た、確かにその方が……彼女には勿体ないくらい出来た従者ね……ルキサ、エーナ!」

「あいよ、お嬢。口が多い方が手早く説明できるだろ」

「ルキサ、それは違う気がするわ」

「メタリィ! 気をしっかり持たないといけないわよ!」

「……あの、メタリア様なんだか私達に対して待って欲しそうな目をしている様な」


 あっ、ちょっと待ってそっちのグループ、お願い待って。今状況を打開できそうな奇跡的な人材がいた気がするんだ。お願い待って、誤解を解かせて。許して、あぁああああ……い、行っちゃった……


「……お嬢様、そのまま」

「ロイ?」

「いつものパニックでしょう? 体面を考え、調子が早めに良くなった、という事にしておきましょう。私が口を噤めばそれで済みます」


 っ! うっわイケメンスマイルをそんな気遣いのセリフと共に! っていうか気がついてたんですかロイくん!


「お嬢様のことは、よく見ていますから」


 やだ……かっこいい。


ロイくんは裏攻略対象(大嘘)

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[気になる点] 双方ともにバリバリやる気が凄まじい我が陣営、メタリアとヘリメル。こちらは拳が恐るべきスピードでシャカシャカ動いている。こちらの熱意も凄まじい事で。 →ベスティとヘリメル
[気になる点] 「ファ、ファラリス……いえ、つまならない事を言ってる場合ではないわね! 手伝ってちょうだい、メタリィの調子が悪くなったらしくて!」 →「つまらない事」
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