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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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幕間:報復令嬢の困惑

 ……えっと、ホントどうなってるんでしょうか……私、今自分の身に何が起きてるのか。分からないのです。嘘ではございません。


「えっとえっとえぇっと……落ち着きましょう私。本当にまずは……そう、そうです。落ち着いてまずはペーネロトに人生相談を……いえ、まず部屋にペーネロトを召喚する事から始めないと! ペーネロトはこの部屋の付属品ではないのだから!」


 やばい、発言が支離滅裂だ。いやホント想定の遥か外の事態が私に降りかかってきているんだからしょうがないというか、それ以外出来ないというか。


「と、兎に角ペーネロトを……“シノブ”!」

「……はい、何でしょうかね。お嬢様」


 良かった。今日はブラブラ出歩いてはいなかったようだ。いや本当に良かった本当に。

 ……というか、この真っ黒いの、私に黙って出歩いて。従者としての自覚あるのかしら。今度問い詰めないと。


「今すぐペーネロトを呼んで来て欲しいの! ちょっと緊急事態なのよ!」

「ペーネロト様を、ですか……まぁ、構いませんけど。何です、あの大公令嬢様とまた何かあったので? いえ、時には興味もないですが」


 こ、この従者……ええい、本当に愛想がないというか! まぁ愛想を求めて従者を雇ってる訳ではないのだけど! 実際!


「と、兎に角行ってちょうだい! 緊急の案件なのよ!」

「承知しましたよっと……はぁ……全く。こんな面倒を押し付けないで欲しいものだが」


 め、面倒……それにしてももう少し愛想というものを……いえ、それは置いておきましょうか。うん。落ち着いて。まず椅子にでも座って、少し考え事を。


「……向こうから何か仕掛けてくると思ってた。それは確かだけど……ま、まさか勉強会に誘われるとか、っていうか真っ向勝負を望むとか、想像以上に向こうも本気……!」


 私も、確かに本気でやり合おうとは思ってたけど。でも向こうが予想以上に真っ向勝負を望んで来て、こう、驚いているというか。

「とりあえず、こ、紅茶でも飲んで落ち着いて……冷静に……」


 ズズズッ……うん。すっきりとした暖かい香りと味が、とても心地よく……はぁ、落ち着いて、優雅に、冷静に……今の状況を……ふふ、ふふふ、ふふふふ。


「分析しようとしている場合ではないというのに! というかそれが出来ないからペーネロトを呼ぼうとしているのよ! 紅茶なんて飲んでいる場合かぁ!」


 こういう時はオロオロしながら部屋の中を彷徨いて、こう、天を仰ぎながら顔を覆って崩れ落ちるのが礼儀でしょうに! あれ、私の思考、なんか支離滅裂? 仕方ないわよね


 だって女の子だもの!


「はわわわわわわ!」

「はい、連れてまいりましたよ。ではこれで失礼させていただきます」

「遅かったわねシノブ! いえ速すぎるぐらいだわ! どちらかしら!?」

「知りませんよ。どうでもいいです。では」


 あぁ本当にペーネロトがいるぅ! 我が救世主!


「え、えっと。どうしたのファラリスってなんか顔色がすごい事になってるよ!? 下半分赤いし上半分青いしどうなってるの!?」

「ちょっと混乱しています!」

「ちょ、状況を説明して!? いや多分大公令嬢殿に関する事だと思ってますけどねぇ!」


 すえ、すえつめい……あ、説明! そう、そうですわね……なんの説明もなしとか、無茶振りにもほどがありますわね。


「えっと、つまりですわね……その、危機ですわ!」

「いや落ち着いて!?」




「成る程、そんな事があったんだ」

「完全に不意を打たれましたわ……向こうの本気ぶりを理解しました」

「うん、僕としても正直驚いた。真っ向から相手になってやる、という気概をしっかりと見せられるとはね……少し考えを改める必要があるかもしれない」

「考えを?」


 確かにこちらの思考を大きく上回った行動して来たのだし、必要ね。


「それで、どういう風に?」

「僕としては、ある程度向こうの考えに乗って、その上で打倒していくのを目標にしていたけど、そういう思考でいくと寧ろ問題になる可能性が出て来てしまった……と思う」

「……そ、そうなの?」

「うん。フェアな勝負したいって彼女は言っていたんだろう? もし此方が何かしら策を巡らせた上で勝ったとすれば……それ自体が逆鱗に触れるかもしれない」


 あ、そ、それは確かに……? い、いえ!?


「そ、それは私達がわざと不利になるように仕向けて勝ちに行ったのであって、策略に嵌めて勝つようなやり方をしたわけでは……」

「考え方を変えてみよう。それは、相手側から見れば、自分なんて不利を背負っても勝ちを拾える相手だと思われた……つまり、コケにされたと思われても仕方ない」


 ……な!?


「ほ、ほとんど言いがかりではないですか!」

「ファラリス、その、君は同じような事されたらどう思う?」

「はぁ!? 私を侮ってなお勝てると思われているなどと屈辱の極み! ……あ」

「ね」


 し、しまった……よく考えて見ればそうですわ。私も相手に何かしらハンデをかけられたらそりゃムカっと来ますわ! 私もムカッと来るなら相手もそう思いますわね!


「うん。そういう事」

「そ、そうですわね……うん。言われて見れば、確かにそうですわ」


 フェ、フェアな勝負を望む相手にそういう事をするのは宜しくないですわね。


「公平な勝負を汚されるのは宜しくないですわ……は、はい」

「まずはその勉強会に出ることは承諾するべきだと思う……その上で、ちょっとした小細工をするべきだと思うよ、個人的には」

「……? 小細工?」




「えぇ、伝え忘れたことがある、と。はい。私のお友達も参加させていただきたいのですと。それに対しての回答を、はい」


親戚のおじさんにワザと負けられると(ry

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