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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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敵対ばかりが対応の仕方ではない

 ……自習時間。で。ファラリスは……うん。休んでない。前提条件クリア。前提条件簡単すぎない? まぁ、そりゃシチュエーションが限定される作戦っていうのは宜しくないですよね。


「メタリィ、本当に、これだけでいいの?」

「大丈夫よ。むしろ、これでいい、と思ってほしいわね」

「メタリア様、これがどういう意味のある行動かは昨日お聞きしました。素晴らしい事だと思います! 頑張ってください!」


 うん。ここに来て分かった。協力者が必要な理由。私だけじゃ、多分どうしようもないと思う。手が、とかじゃなくて。人数が純粋に必要なのである。


「……じゃあ、頃合いを見計らって合図するから、お願いね」

「うん」


 はい。という事で、私自身まったく想像だにしていなかった、ファラリス対策作戦の第一歩だ。張り切って行くとしようという事で。第一段階、ファラリスに声をかける。


「こんにちは、ファラリスさん。ごきげんいかが?」

「……あら、メタリアさん。こんにちは。えぇ、よろしいですわよ?」


 ヒェ、顔は笑ってるけど雰囲気が笑ってねぇ。何つうか、怖い。何だろう、笑顔の筈なのに逆に怖いです。どうしたんだろう。雰囲気変わった? やばい方向に。


「それで、何かご用ですか? メタリアさん?」

「えぇ、少しばかり、提案がありまして……」


 よし、二人ともそろそろ……あ、もう配置についてくれてる。ありがたい。

 周りの子は……やっぱり近寄っては来ない。私の一歩後ろあたりに二人がいれば話の邪魔はまずされないっていうのはシュレクのいう通りだ。




『そも、ファラリス嬢を自分の舞台に誘導する、というのは理にかなっている部分もあるが。しかしそれに対する対策が杜撰にすぎるとは思う』

『え、ちゃんと向こう側の人を協力者として引き込んでるんだから十分でしょ』

『不十分だ。ファラリス嬢の協力者は婚約者のペーネロトだけではない、という事だ』

『え?』

『ファラリス嬢について詳しくは知らないが、お前がここまでする、と言う事はだ。単純に一番可能性が高いのは、お前と同格以上に能があることではないだろうか』

『……何でそう思ったのよ』

『生物が普段以上に警戒を示すのは、大抵自分と同格の相手が現れた時だ。警戒とは少し違うだろうが、お前も彼女を意識していたからな……』

『はぁ~……よく見てるわねぇ。間違っちゃいない、いや、大正解よ』

『お前のことだからな。兎も角、それを前提として、ファラリス嬢の様な有能な令嬢の周りには自然と仲間が集まり、集団を……派閥を創るものだ。その人員というのは、専ら頂点に従うのみだが……例外もある』

『例外』

『おそらく、お前もすでに仲のいいグループを作っているのではないか? 先ほど図書室の前で話していた少女、それとオーランド家の息女、最低限その二人とで、三人。集団として数えるには、十分すぎるだろう』


『……で、私とファラリスが喧嘩してるから、()()()()()()()()()()()()()()()()()って?』


『……ほう、察しがいいな。流石共犯者殿、というべきだろうか?』

『何てことないわ……実例があるだけよ。というか現在進行形でその傾向があるだけ』

『やはりそうなっていたか。まぁ、それが例外。明確に、ではなくても敵対感情があれば行動が過激になることはある』

『過激に』

『不穏な可能性程度ではあるが、万難を排すに越したことはない。それへの対策だが。単純だ、自分より少し離れたあたり、後ろにお前の仲間、二人ほどでいい、置いておくだけでいいだろう』

『……え、そんな阿保みたいに単純でいいの? ちょっと心配になるくらいなんだけど』

『人数がいる、というのは力だ。それだけで牽制になる。それに、お前ひとりなら周りもお前に意識を向けざるを得ないが、自分のリーダー格が同格とみている存在だ。本当なら話しかけるのは避けたい』

『そんなもんかしら』

『お前の存在がどれだけ無害で珍妙だとしても、それを知らない者の目からすれば、自分達を率いる存在と同格の相手に過ぎない。気にして当然だろう』

『誰が珍妙だこら』

『事実だろう。しかし、その相手が同じく仲間を引き連れていたら? 態々上同士の話に割り込む必要もない。その仲間に意識を向けるハズだ』

『ちょっと……まぁ、それはどうなんだろうって思う部分はあるけど、筋は通ってる。さっすがね。で、それでさらに協力者が必要ってこと?』

『そうだ。確実に巻き込める相手……それこそ、自分たちの友人が丁度いいのではないか』

『ベスティと、ヘリメル? いやいや、私の問題よ? 巻き込むのは流石に』

『そう思っているのはお前だけかもしれん。独りよがりはよくない、と思われる』

『……あんた、年寄り臭いって言われたことない?』

『最近兄弟に言われたな。久しぶりの会話で、楽しかったよ』




 どうやら兄弟仲は宜しいようで……まぁ、それはいい。


「と言っても、そこまで難しいことでもございませんわ」

「ならさっさと言いなさい。話だけであれば、聞いて差し上げますから」


 おや、いつもより取っ付きやすい。これはペーネロトが何かしらしてくれたのか、いやありがたい。


「単刀直入に言えば、私と……」

「私と?」

「一緒に、勉強でもしません事?」

「……はへ?」


 これぞメタリア……の軍師たるシュレク王子謹製の策。その名も『敵対ばかりが対応の仕方ではないだろう』作戦である!


実際その通り。


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