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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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優しい気持ちでグイグイに協力しにくる件

「フゥ……」


 お父様への説明なんか諸々任せちゃったけど……うん。埋め合わせは出来るだけしたいお嬢様でした。ゴメン。まぁ、それはあとで土下座もしてからにするとして……。

 後は、この作戦を成功させるには、シュレク曰く……


『協力者がいる』


 らしいけど……


「……協力者、ねぇ」

「協力者? なんの話してるのメタリィ。というかどこを見てるの?」

「ああいえ、なんでも無いわベスティ……あ、ヘリメル。ある程度進んだなら休憩も忘れないように。効率の良い学びは休憩あってのことよ」

「は、はい」


いや、本当はもうちょっと考えねばならなかった、とかならいいんだけど。もうちょっとどころか致命的なこと忘れてるんだもんなぁ。もう少し頭をひねりましょう。


「わぁ……メタリア様、また、とても難しい問題ばかり」

「えぇ、私たちじゃまだちんぷんかんぷんよ……」

「折角ですからね、やるのであれば全力。挑戦してこそでしょう」


 という事でチョイスは数学……っぽいジャンル。まぁ、一番とっつきやすいジャンルだからね。伊達に元理系ではない。こういう計算はお得意なのよ。


「でもすごい立派な本……お父様の本なの? メタリィ」

「そうね。お父様は最新の知識に触れることを許される立場、こういう本には事欠かないのよ……けど、流石に私のやっている範囲の遥か先、難しいわね」


  はい嘘です。大嘘です。そこまで難しくありません。いやこの年の子供からしてみれば難しいと思うよ? 多分小学生に中学三年の問題やれって言ってるくらいの難易度だし。


「……ヘリメル、メタリィのお勉強、参考にしましょう」

「は、はい! ぜひ!」


 いやせんでええと思う。参考にならんし。だってこれは私にとって常識レベルの事、一応は元リケジョやぞ。たかが計算問題で躓くとかはないわ。流石に。それに数学関連が進んでるかと言うと、ちょっと微妙な時代だし。


「……なるほどね……ふむふむ」

「さ、早速何か分かったのかしら! さすがメタリィ、頭の周りが違うわ」

「わわわ……さすがメタリア様です!」


 やっぱそうだな。問題の種類や難易度の違いはあれど、基本的に足し、引き、かけ、割りで解決できる問題ばっかりだ。これでも王国で最も大きな学校の中学生相当とは……中世って感じがする。


「……もう一杯数字が並んでるだけでクラクラして来そう。先日もそうだけど、本当に桁が違うというか」

「わ、私もです……こういう問題は本当に苦手なんですが、もし得意だとしても、メタリア様のやってる事がどれくらいわかるものか……」


 ま、といっても長いし面倒臭いけど。まぁ、これだったらファラリス相手でもまず負けないかな。この手の問題のケアレスミスは徹底的に潰すよう教育されたし。


「本当に真剣な顔です……」

「やっぱりファラリスとの事があるから真剣になってるのかしら……」

「何かあったんですか?」

「教室で、二人が睨み合ってたこと、覚えてる? あれって実はね」


そうはいっても……シュレクの作戦ではそこまで勉強しなくてもいい、と思うのだが……やるに越した事はないと思う。学生の本業は勉強だ。


「ファラリスさんが……メタリア様とそんなことを……教室での事はだから」

「正直びっくりしたわ。メタリィはやるときはやる子だから、ここまで真剣にやってるのね……ここまでとは、思ってなかったけど」


 しかし、シュレク曰く。やり方を変えただけで本質は変わっていないらしいが。結局は子供同士の問題に押し込めてどうにかする、というのが肝であるらしい。


「でも、ここまで真剣なら、私ももう反対はしないわ。ちゃんとメタリィを助ける!」

「わ、私も! お手伝いしたいです! 少ししか聞いていませんが、義はおそらくメタリア様にありです!」


 問題を大きくしない為にも、規模で縛り、舞台の上で動きを制限し、程よく勝ったり負けたりする……ふふ、なんだこれ。スパイ映画のエージェントじゃねーんだぞ私は。元の作戦が今では無謀に覚えてならない。


「そうよ! ファラリスに誰が味方しようと、私たち二人はメタリィの味方!」

「は、はい! ……でもそんな覚悟するほどの大ごとになるんでしょうか」

「……か、覚悟はするに越した事ないのよ!」

「それは、確かに!」


はぁー……今まではそんなに頭使う事なかったけど、急になんか頭使う展開になってまいりまして……起きる問題の難易度が着実に上がってる気がするのは、私の気のせいでしょうか。シュレクが居なかったらもっとキツかったと思う。


「……頭痛い」

「大丈夫? メタリィ」

「ええ、大丈夫よ……心配かけてゴメンね」


 ちょっと考え事に没頭し過ぎたか……せっかくの勉強会なんだ。三人で一緒に勉強した方が捗る……のだろうか。分からない。


「やっぱり、ファラリスさんとの一件に関して、考えてたんですか?」

「えぇまぁ、そんな感じ……あれ待って、どうしてその事知ってるの?」


 わたくしそれを伝えた覚えがないのですが……おかしいな、夢遊病患ってたっけ。それとも二重人格だっけ自分。自覚症状ないとか怖い。


「……そこまで乙女ゲー乙女ゲーしてるつもりはなかったけど」

「ベスティア―ゼさんに聞きました! 応援しております!」

「ベスティ! 話すなら先に言っておいて!」


 武勇伝とかじゃないからあれ! 醜聞だから! 話しちゃいけない奴だから!


「でもメタリィ、味方は一人でも多い方がいいんじゃない?」

「う、それは……」


 ……手数、足りてないのは実際です。少しでも助けが欲しいです。


「友達でしょ。ファラリスとのことくらい、助けるわよ!」

「ベスティ……」

「メタリア様の事、助けたいです!」

「ヘリメルさん……」


 ……あ、ありがてぇけど……自分の尻拭いさせるような真似させてしまって、申し訳ねぇ……非常に申し訳ねぇ……!

 でも人材が居るからありがてぇ……!

友達が善意で助けようと迫ってくるの、決して迷惑ではないけど困惑する

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