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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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ブレイン王子

「有意義なお話ができて良かったです……ファラリスの方も、それとなく誘導をしてみようと思います。それでは」

「えぇ。よろしくお願いするわ。両家の為に」


 ……さて、話し合いはとりあえずまとまった。私の良心とかそういうのをガッツリ犠牲にしたけど……それはもういい。問題は、近くまで来てるソイツだ。


「もう出てきていいわよ、話も終わったし。ったく、人の内緒話を聞きに来るなっての」


 本棚の後ろ。分かってるんだぞお前。えぇ?


「……流石だな。出来得る限り気取らせないようについてきたつもりではあるのだが」

「本棚の後ろじゃ、隙間から見えるわよ。まぁ私みたいに見慣れてなければ、近くに生徒がいるな、ぐらいにしか思わないけど……」


 一応私婚約者、でしてよ。第三王子様。


「ふむ、そういうことか。成る程。背中を覚える程に仲がいい、というのは、共犯者、及び恋人として喜ぶべきだな」

「いや、背中を覚えるほど仲がいいって表現変じゃない?」


 シュレクって感性も結構独特やね。まぁ、悪い事じゃないと思うけど。


「っていうか、気取らせないようにとかどこの密偵? あんた王族でしょうか」

「王族とて、必要であれば密偵の如き技を身につけることもある。それを何に使うかは人それぞれではあると思うが」


 あれか、思うところある相手に夜中忍び寄んのか。シリアス的にも、シモネタ的にも。


「ふーん、あんたはどういう風に使うわけ? 身につけたって事は、使う目的あるんでしょ? ほら、教えなさいよ」

「ふむ、何にと言われても、お前の部屋に忍ぶ為だが、何か問題か?」


 ……はぁ。こいつは本当に。


「言い方に気をつけなさいな。夜這いしに来た、見たいに聞こえる」

「む、そうなのか。それは済まない」

「そうよ。ったく、王子なんだから、その辺りしっかりしときなさい。失言一つが噂になって、評判とか諸々崩壊とか色々あるんだから」


 まぁ、どうして私の部屋に来たいのかは知らないが。絶対にありえない可能性だけは分かるから。その辺りはきっちり指摘しておく。婚約者だしね。


「それはそれとして……話を聞いていた限り、ファラリス嬢との仲はあいも変わらず宜しくはないらしいな」

「うるせー、余計なお世話よ。私だって好きで仲悪くなったわけじゃないわ」


 しょうがないでしょうが、どうしてこんな事になったのか分からないのよほんと。因果応報って言ったって、こんな状況想像できてたまるか!


「まぁ、手伝えることがあれば言え」

「ん? なに、助けてくれるの?」

「共犯者殿の危機だ。ある程度はなんとかするさ。立場を悪用するような真似は、流石に出来んから、俺個人でやれる事に限られるが」

「それだけで十分。助かるわ」


 おっそろしく有能なブレインが一人ついてるってことだしさ。頼もしくなるよ。


「しかし話を聞いている限り、杜撰ではないが、複雑にすぎる策ではないか」

「うっ」

「師から聞いているのだが、策とは単純である方が上策であると聞く」


 それはつい最近反省したからもうええわ! 改めて指摘するな恥ずかしい!


「ふむ、それについてなのだがな……少しばかり、俺から入れ知恵をしようと思う」

「おう入れ知恵ってはっきり言うなや、イメージがよろしくないでしょう……で、何よ」

「よろしくないと言っておいて聞く辺りお前らしいな。うむ、それはだな……」




 はぁ、今日はホント諸々あって疲れたよ……ほぼ自業自得ではあるけどさ。


「ただいま」

「おかえりなさいませ、お嬢様。今日はいかがでしたか」

「まぁ、個人的な所用とかもあって疲れたわよ……で、ロイくん。ちょっとお願いがあるんだけど……お父様にある連絡をしてもらいたいの。秘密裏にね」

「旦那様に、ですか? 分かりました……一体何をお伝えすれば?」

「まぁ、ちょっと、ね。事後承諾にはなるけど、万が一のことがあったらごめんなさいって。詳細は……大丈夫だと思うけど」

「え、今更?」


 はい、今更です。大変申し訳なく……


「あの、学校内でのことに抑えるためにご実家にはあまり連絡していないのかと」

「……いえ、私家同士の問題に発展する可能性ばっかり考えてたわけ。実家に対してもしかしたら私が原因でなんか不都合被るかもしれないっていう連絡ぐらいなら入れておいた方がいいかな、って。」


 シュレクに言われてそこに気がついたのよね。ホント、私ってバカ。


「……お嬢様が気づかなかった、なら、誰かに言われて気がついた、と」

「シュレクよ……ホント、頼りになるわ……」

「そうですね……わかりました。旦那様に秘密裏に連絡させていただきます」


 うん。そうしてほしい。娘が学校で問題起こしそうですよって、わざわざ家の人に伝えるとか流石にアレすぎるし……使用人さん方には心安らかにいてほしい。


「じゃあお願い……私はもう寝るわ」


 疲れた……ホント。


「……しかし」


 シュレクには感謝ね。あいつの頭脳はホント凄いわ。伊達に王家で英才教育受けてないわ……あんな単純なやり方があったとは。しかも効果的そうだし……

 まぁ、勝負をするって感じではなくなったけど。むしろ逆になったけど。


シュレクに初めっから頼れば良かった? 切り札は取っておくものですよ(なお学校生活開始からまだ十数日の模様)

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