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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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ハメ技ってたってこんなもんですわ!

 ハメ技とは。相手に一切の行動を許さない鬼畜のような技のこと。別名友情粉砕アタックともいう。投げループや相手が入ってこれない場所から一方的に攻撃するのを一般的にこう呼ぶ。


「舞台に上らない……ですか?」

「正確に言うならば、こちらの用意した舞台を押し付ける、といった方が正しいわ。私の圧倒的に有利な舞台を、ね」 


 と言うことで、それをする。向こうより圧倒的に有利なフィールドで、一方的にチクチクして……そうすればどれだけ 彼女の方が賢かろうと、上手く立ち回らせることはまずないと言っていい。


「私の得意な分野で、彼女の言う『勝利』に持ち込み……そして常に私がペースを握る」

「流れを渡さない、と言うことでよろしいのでしょうか」

「そうね。流れを渡したらまずあの子の勢いに呑まれて終わりだと思うわ」


 一切の反論とか許されない雰囲気すらある。ホント怖い。なんだろうね、猛獣と相対した時ってさ、行動させたら終わりじゃない。そんな感じがする。


「……なんと言うか、前々から思っていましたが、貴族同士の子息とは言え、子供同士の諍いの範疇を大きく超えてはいませんか? その、ここまで考えを巡らせるだとか」

「自分の権力を履き違えた幼い貴族の暴走は、いくらでもあるとお父様から聞いたわ。それこそ、子供の喧嘩の範疇なんか、軽く超えるような問題に発展したことも。話を聞くだけでも、背筋が冷えるくらいにはね」

「……」


 まぁ前にそう思えたのも、お父様から聞いたからだしね。私じゃまず思いつけない。言い切れてしまうのが悲しい。


「今回もそうなる可能性がある……些か、悲観的に過ぎる……のでは?」

「私は、物事を楽観的に考えられる程、余裕がある人物ではないわ」


 だってこの世界で楽観的に考えてたらあっという間に断頭台だし。いやホント、いつ運命がアメリアを私を始末する為の刺客にするために、過酷な流れを作り出すかと。


「ファラリスが、ただ過激なだけなら、ただ賢いだけなら、私も気にしてなんかいなかったわよ。けど、その二つを持ち、なおかつ私に物凄い執着をして居る……気にするなという方が、無理よね」


 マジで。こじれる事なんてないない、とか楽観視が過ぎると思うんですけど。


「……最悪の事態になったら、どうなるか。分からないわけでもないでしょう」

「両家の対立、ですか」

「その先よ。殆ど有り得ないと言えど、この世にゼロはないわ」


 普通なら、気にする必要はまぁないんだけど。因果論って知ってるかな?

 子供の喧嘩から貴族同士の争いになるとか、まずない、とお父様は言っていた。普通だったら無視していいけど、私は悪役で、この世界は物語の世界だ。現実じゃ考えられない可能性が、普通に浮上しかねない。


「引き金を引くのは、私かもしれないのよ」

「それ、は……しかし」

「可能性は、ゼロにするに越した事はない」


 今回の一件で大公家が争いに巻き込まれる、で、その原因が私とか。普通に恨まれそうなんだよなぁ。アメリアとか、色々な人に。ハハ。


「故に、あの子の流れに押し流されるままにされることだけはしてはいけない。私の流れに乗せて、穏便に済ませる。それが一番」

「……そこまで、考える必要が、あるかどうかは度外視するとしても……成る程。筋は通っている気がします……が、しかし。いえだからこそ、お嬢様の言った事が引っかかります。それは、大公、旦那様の与えたものでの、暴走となりかねないのでは」

「……正直、卑劣極まりないやり方、と謗られても仕方ないと思うわ……故に、舵取りは決して間違えてはいけない。これは、私情ではないのだから」


 いえ私情もありますよ? 死にたくないですし。と言うかだからこそ暴走はできないのだよ。暴走なんぞしたらそれこそどうなるか予想なんかできないし。


「暴走から引き金が引かれる、と言う可能性もあるのだから」

引き金を引いたら処刑台コースとか、笑い話にもならない。

「あの子は家族を巻き込むことも厭わないと言っていた。それが本当になりかねないなら我が身は慎重になれる。幾らでもね」


 これに関しては正直どこまでマジか全く分からん。けどその積りがなくても、両家を巻き込む事態になれば結果は変わらないので。うん。正直気にする必要がないと言うか、気にしても変わらないと言うか。


「……覚悟はお決まりのようですね。お嬢様」

「えぇ。それでも貴方に話したのは、この学校で一番私に近い人物が貴方だから。もし私が暴走したら、止めてくれると思ったから」


 でも、万が一がある。私がしくじったり、向こうに想像もしない事で火がついたり。その時は、ロイ君になんとかしてもらいたいので、ここでぶっちゃけることにしました。はい。


「お願い、できるかしら」

「……我が身にそこまでの信を置いてくださる。その恩に、報いるためにも、必ずやその時は、お止めしてみせます」


 良し。ストッパーもオッケー! これで万全!


「それで、舞台に引き込むと言ってもどのようなやり方をするおつもりなので?」

「……」


 あー、それ。それ聞いちゃうかー……これだけ真剣に話して置いて、なんだけど、ね。うん。結局は範疇は子供の喧嘩になりそうなのよね。


「……授業を使うのよ」

「はい?」

「私の得意な知恵比べ、体力勝負に持ち込んで、勝つ。それだけ……やる事は結局変わらないのよねー」

「……」


 うん。ごめん。そんな悲しいような虚しいような顔させて。こんだけ盛大な話をして置いてする事はそれなんだよ。結局は。


「……緊張とか、お嬢様が焦りに囚われている、とか、もしやすれば人の心を壊しかねないようなやり方をするのではないか、とか。心配した私の心をどうしてくれるのですかお嬢様」

「うん。本当にごめんなさいと思ってます」


  いや、うん。結局は子供の喧嘩なのよね。


こんなもんですわ!

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