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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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アメリアは慈母神

「うぅ、初日からサボタージュのお手伝いなんて……私は一体何を」

「巻き込んでしまって申し訳ないわね、本当に……えっと、その」


 き、気まずい……こっちが全面的に悪いし理由がクソみたいな押し付けの善意とかいうなろう主人公の闇みたいな……おえ、吐きそう。死んで詫びたい。


「……えぇ、ほんとうにもうしわけないわ。わたくし、ちりになっておわびしたほうが」

「わーっ!? め、メタリアさまが凄いことに!?」


 いやもうさ、本当。こういうところだぞ私。ここは家じゃないんだから、そんなホイホイトラブルに巻き込んじゃいけないの。友達できたぞヒャッホイじゃねーんだよ自重しろ蛆虫。サーイエッサー。


「ままままま真っ白ですわ! え、えっと、あの!」

「……ベスティアーゼと言いますわ。宜しく。はぁ、メタリィは本当に」

「あ、こちらこそ、ヘリメルと申します……じゃなくて! め、メタリア様はご無事なのですか!? あの、その、真っ白です!」

「えぇ、大体何時もの事だから気にしないで、ヘリメルさん……メタリィ、起きて!」


 オウ首筋に鈍痛! イタタタ……私は何をしていたんだろう。


「……あ、あの。その様なやり方は、その」

「メタリィに遠慮なんてしてたら置いてかれてしまうわ。メタリィとお友達になりたいなら覚えて置いた方がいいと思う」

「えぇ……す、凄い人なんですね、メタリアさんて」


 何を話しとるんだろう……って、あ、そうだ。まずはその子に……えっと。その前にちゃんと自己紹介を終えてなかったね私。今やっとこう。


「ごめんなさい、取り乱してしまって……巻き込んでしまった事に改めて謝罪をしたいのだけど、その前に、お名前だけでも、教えてくれるかしら」

「あ、そういえば私の名前はまだ……えっと、ヘリメル。ヘリメル・ラ・アスカータと申しますわ、メタリア大公令嬢様。えっと、よろしくお願いいたしますわ」


 おお、わざわざ立ってのお辞儀。礼儀作法がなってるいい子じゃあないか……そしてこんないい子を騙したという自覚から余計に溜まる罪悪感。辛い。アメリア、私を責めておくれ……そんな微笑んで許しますわとか言わないで……イリュージョンでもアメリアが慈母神で辛い。


「ありがとうヘリメル。そして……改めて、謝罪を。この度は、私の行動に巻き込む結果となってしまって本当に申し訳ないわね」

「あ、その……今度から、気をつけてください?」

「えぇ、そうするわ……」


 本当、授業外の事で切羽詰まってたとはいえ、ね。気を引き締めないと。


「二人してなんだか間の抜けた会話してない?」

「え?」

「……そうかしら、ベスティ」

「えぇ。とっても。なんだがお説教する気が失せちゃうくらい」


 そんなにか。


「まぁいいわ、もうお説教は無し。メタリィが教室から出ようとした訳も、分からないでもないし」

「え、ご自身が出たかったから、では?」

「それもあると思うけど……多分、貴女を巻き込まない様に配慮したんだとも思うわ」


 ね、と言われましても。まぁ、そりゃ無かった訳じゃないけど。けどだからってそれで全部チャラって訳にもいかんでしょうが。


「私を?」

「こうやって学び舎に通って、初めてのお友達が出来るのを、楽しみにしてたのよ。そしてそのお友達をあの嵐には巻き込みたくなくて……とりあえず行動した」


 はえー大体見抜かれてて草も生えませんわ。ベスティ賢くなったねぇ。つっても言い訳ぇ!


「メタリィの事なら分かるわよ。まぁ、お世辞にも褒められたやり方じゃないと思うけど」

「えぇ、その辺りは本当に反省してるわ……次からはやり方を選ぼうと思う」

「本当にそうして。メタリィが謂れ……がある誹謗中傷にさらされるのは見たくないわ」


 あ、誹謗中傷に謂れがあるのは確定ですか……まぁ、でしょうね。


「あの……私を巻き込みたく無かった、って」

「気にしなくていいわ、言い訳みたいなもの。それに理由を聞いても良く分からないでしょう? だから、ね?」

「あ、はい。あんまり良くはわかりません」


 でしょうね! ピュアピュア……じゃなくて、この年頃のノーマルな反応! 本当辛い私って汚れてるって剥き出しで示される様に辛い!


「でも……私のことを考えてくれた事だけは、分かりました」

「いえ、そんな大層なことは」

「それにいいえ、ですわ」


 それにいいえとは。


「でも、ですね」

「だから、嘘をつかれてしまった事は、もういいです。改めて、お友達になっていただけませんか、メタリア様」

「アスカータさん……」

「いいえ、お友達なのですから、ヘリメルって、呼んでくださいな」


 ……あっ、もうダメ。瞳が綺麗。かわいい。いい子。線が切れる。


「えぇ……是非とも。この学び舎での、初めてのお友達が貴女なら、とても嬉しいわ」

「わっ」


 ぎゅーってする。ぎゅーって。髪柔らかいねぇ、よしよし。


「あ、あの……メタリア様」

「騙してた事、許してくれたなら、ついでに一緒にサボタージュ、してくれない?」

「それは、ダメですよぅ。教室に戻って、自習を……」

「戻っても嵐に巻き込まれるだけよ。ね?」


 ええやないか……ええやないか……ふふ、ほら、ほら。


「あうう」

「こっ、こらメタリィ! ほとんど初対面の人にそんな事しない!」

「あでっ」


 はっ、私は何を……って、しまった! あまりにヘリメルちゃん可愛いから……畜生こんな可愛い子が最初の学友とか価値観狂うわ……


メタリアは奇人変人。

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