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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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最終的にシリアス臭くてもやってるのはストーカー

「さて……いよいよ、一週間後くらいか、妹が家にやって来るのは」

「えぇ。ですからお家でその準備をした方がよろしいのではないかと愚考いたします。この一ヶ月と少し、全く収穫もなかったですし。というか、ケーキはちゃんと届いたというのに、なぜ我々はあの店の監視を」

「まあたまにはお嬢の奇行に付き合っておくれやす」


 さて、只今アメリア家の少し先の路地の陰から、店を見つめております我等二名、片や大公家一の使用人、マクレス爺。片やその有能爺を狂気の一ヶ月ストーキングに巻き込んだ大公家の恥、メタリアと申すもの。

 なんでそんなバカやってんのか? まぁ、要するに根性論ですよ。




「メトランというお店を見ていたい」

「そう! どんなケーキができるのか見てみたいの!」

「だからって今からずっとみているんですか」

「うん!」

「……」

「あれー反応が悪いぞー?」


 まあ、そんなクソみたいな言い訳でまずは爺を味方に付けることにした。結果?見て分からんのか、暗礁に乗り上げそうだよ。


「……お嬢様のやる事に、無意味なことがある、とは思いたくありませんが」

「分かってるから言わないでお願い」


 ごまかしてるけど中身はストーカーそのままなんだよなぁ! だが、これが最も効果的と思われるのも確か。過労死ではない、と自分の中で結論が出ているなら、原因を探るのは転生者の本能! いやただの野次馬根性だけど!


「ふむ……」

「?」

「私を巻き込むようになっただけ、マシというべきでしょうか。今はそれで誤魔化されて差し上げますが……私が何も知らない、と、思われているのは心外ですぞ」

「えっ」


 あっ、そうなの。あのお店のこととか、諸々の事情はもう分かってんの。っていうか当たり前か。使用人の総括やってる人だぞ、お父様の秘密の幾つかは、明かされていても不思議じゃないというか。


「将来の妹様に、思うところでも?」

「そういう訳ではないわ。あの子はいい子だったもの……っていうか、私がそのことに気づいってるっていう前提なのね」

「状況から推理できることは、大抵真実です。あのお店に対して、謎の理由で私を巻き込んでまで、そこに行きたいとなると、逆に何も知らないと考える方が難しいかと」

「そ、そうなんだ……有能ね、相変わらず」

「異質なお嬢様に認められる程度には」


 ともなれば下手な言い訳は無用か……いやまあ肝心要の理由はさすがに公開無理だけど。人狼みたいなもんよ、カミングアウトすれば即座に釣られる。


「可愛い子だっていうのは分かったんだけど、やっぱり少し気になってしまって……悪いようにしたい訳じゃないから、安心して?」

「そんな賢しい真似ができるほどお嬢様は理知的ではないと思っていますので、ご安心を」

「いやご安心できないなぁそれは」


 要するにその程度もできないバカってことやろ? ノータリンてことやろ? ハッハッハッハッハッハッハッハッ!


「上等だ爺、乙女の権力(物理)見せてやる、行くぞオラァ!」

「その年頃の娘に凄まれましても……まぁ、気がすむまで、爺がお相手いたしますよ」


 このあと滅茶苦茶ポコポコした。(爺はノーダメージ)




 そんな訳で爺の協力を得て、お店の監視擬きを、この一ヶ月近く続けている訳である。親父? 爺の細やかな努力(誕生日についてそれとなく会話を増やす)を経て、メンタル的に弱っているので、家で私に構う余裕はなかった。


「とはいえ、母上様をお散歩で誤魔化すのにも限界が来てる。おそらくは、今日が最後」

「割と雑な誤魔化し方でなんとかなったのも、奥様がメタリア様に甘いからである事をご自覚なさってくださいね……いや、ホント。私がどれだけ言い含められたか」

「いつもの美しい微笑みが大魔王の『殺す』サインにも負けぬほどの迫力あったもんね」


 爺に何を話してんのかな? とか思ってちょっとお部屋のぞいてすっごい後悔した。パンツ変えなきゃダメかなと思ったよ。


「しかし、何度見ても変わらぬものは変わりませぬよ?」

「いやまあ我が妹が可愛いのは全く変わらないけどさ、でもいいじゃない、どうせ今日までなんだから、まあ暇潰しがてらってことで……あ」


 誰か出てくる……あれは、メトランさんか。材料買いに行くみたいだ、籠持ってるし。いやしっかし、いつ見ても衰弱して死ぬようには見えないよなぁ。歩き方もしっかりしてるしなぁ……


「今は我が妹、一人で留守番ってわけか。母子家庭とはいえ、無防備だよねぇ」

「旦那様も、そのあたりは憂慮しておいででした……故に、今回大公家に迎え入れることになったのです。先日、その辺りをようやく奥様に打ち明け、『遅い!』と叩かれていました」

「さすが母上様、容赦ねー……」


 悲しむ、とか、気にしてないとはいえ一応問い詰める、とか、そういうことしないで、遅いの一言と拳骨が先に飛ぶっていう……女傑っていう言葉がよく似合う……おや。


「あの人、お店の方見てるよ」

「お客でしょうな。しかし、フードを被って人相を見せないようにしているとは……お忍びか何かですかな」


 うーむ。この時代はそういうのも普通だし、現代みたく顔隠してたら即不審者ってほど物騒でもない。そう考えると現代って、色々狭量だったと言われても……うむ?


「お忍び……でもそれをするような奴か、あれ」

「お嬢様?」

「足元」

「足元、ですか?」


 指差す先。フードを被っている、多分男。

 その靴は、なんと言おうか。汚い、だけじゃない。使()()()()()()()であるように見える。即席ではならない、染み込んだ汚さ、いやあそこまで行くと味、と呼べるレベル。私みたいな学生の靴なんか大体あんな感じだった。


「あんな靴、お忍びするような人が履くと思うか?」

「……そこまで考えて動く方も居ない、訳ではございませんが、少数であることは確かですな。私としたことが、目が曇って居ました」

「偶にはそういうこともあるよ、うん」


 っていうか、私の中の前世魂が、顔を隠すイコール不審者っていう考え方で。色々見てたから分かっただけだと思うし。


「そういう身分の方でなければ、余計に」

「顔を隠す必要もない……あいつ、怪しいよ。あ、お店に入ってった」

「……一応、店の外から見ておきましょうか。勘違いである可能性もありますので」

「了解」


主人公のお母さんの死因が気になる→分かる。

だから始終貼り付いてその理由を炙りだす!→分からないし本性を表している。

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