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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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ノンストップファラリス

 と、悲しいかなその無謀な男貴族くんはファラリスにロックされ、そっからしゃべりっぱなしである。相手さんもう白目向いてる。


「『メルクトス』との戦は激しく、その中で、有能さを認められ我が方にスカウトされた『メルクトス』側の人材は多くいました。その当時から、実力を重視してきたわが国の方針は固まっていたのです。貴方の家とて、その源流を辿ればその『メルクトス』側の可能性とて……ちょっと聞いていまして!」


 あの、もうやめてあげて。襟掴んで揺らさないで上げて。


「そちらの貴女! この男子をしっかり支えてあげて、まだまだ言い足りませんわ!」

「は、はい!」


 あ、やっぱり巻き込まれる人が出たか……最悪、ベスティと、初めての学友候補の女の子だけは守り抜くとしよう。



 そっから……えー大体十分くらい。ですかね。はい。


「やっぱり……ダメそうねこれは」


 勢いが凄いファラリス嬢の怒涛の弁舌が止まらない。自習というよりファラリス嬢の我が道我が舞台って感じだ。もう何時終わるかも分からん。つーか終わらせる積りがあるか分からない。多分無い。良し。


「二人共、ここを出るわ。急いで」

「えっ」

「メタリィ、先生に怒られるわよ? 幾ら殆ど自由時間だとは言えそんなことしたら」


 にしたってこの教室内でじっと落ち着いているよりかはいいと思うけど。これ以上ヒートアップしたら巻き込まれちゃうし。ここはそっと避難するのが吉……


「こらそこ! 逃げ出そうとしない!」


 あっくそバレた! どうしてそう有能なんだ君は全く! そういう有能さは場面を選んでくれ! 私が危ない!


「この無能にしっかりと貴族が何たるかを説いた後は、当然ながら貴女なのですから、逃げないでくださるかしら? メタリアさん?」

「……と言っても、何をしろと? 貴女の様に弁舌でも振るえと?」

「勿論。私、貴女の貴族論が気になっていますのよ? 折角貴族たるもの、という話題が出たのですから、それで意見を競い合わせませんこと?」


 えぇ……やだよ、目の前でばっちり示された後じゃん。弁舌はあんたのお得意でしょうが。何が悲しゅうて相手の土俵で相撲を取らねばならんのか。あとやりあうにしても最低限がいい。ヒートアップしたくない。できれば。


「遠慮させていただきます」

「あら、先日は受けて立つと言っていたくせに。随分と臆病な返事」

「……せっかく学友を作ろうという時にまで、拘っていたくないだけですわ。それに受けて立つ、と言っただけです。どこまで受けるかどうかは、私次第ですわよ?」


 ふ、我ながら屁理屈。だがここで捕まりたくない。


「あの時の激情が嘘のよう。全く、情けないですわね」

「あの時とは事情が違うというだけですわ」


 色々冷静になって考えたら私がバカやったってのが理解できたからね! イヤ本当怒りで頭が茹ってたんだって! 冷静に考えたら受けた方が家族に迷惑!


「……ふん、いいですわよ。入学初日ですし、目溢しするのもやぶさかではないですわ」

「それは、初日以降は容赦をしないという宣言かしら?」

「そう聞こえたのなら……フフ」


 意味深なフフが怖い。うーむ、とはいえ今現状だけでも凌げりゃいいや。現代人特有の其の場凌ぎをなめるなよ。一日稼げば意外と方策も思い浮かぶもんだ。


「分かりましたわ……先生、申し訳ありません。少々と私、調子が悪いので外で休みたいのですが……宜しいでしょうか」

「えっと……さっきまで元気そうにしてましたけど」

「急な立ちくらみですわ。いきなり転倒するぐらい頭がグラングランしてきました」

「えぇ!? そ、そんな顔色一つ変えないで……」


 申し訳ない位大嘘だけどけど逃げ出す為だ許して先生……


「え、えっと……それでしたら生徒さんの体調優先ということで」

「ありがとうございます。ベスティ、そちらの貴女も、付き添ってくださいません?」

「……もう、仕方ないわね。ほら、捕まって、貴女も手伝ってくれる?」

「えっ、えっ、えっ!?」


 はーいついてきてねー。うん、巻き込んじゃってあれだけどさ、まぁあの子の勢いに巻き込まれるよかマシだと思って諦めて。諦めてね。うん。


「えっと……だ、大丈夫ですか?」

「……」


 すごい。ピュアだ。彼処まであからさまに、それこそ赤ん坊だって一発で見破るような嘘だっていうのに普通に私を心配してくれてる……いや、おかしいのは私だ。この年齢だったら騙し騙されるなんて経験ゼロだよ。


「最近、色々あったせいで擦れているのね……」

「?」

「あぁ、その……ちょっと外に行ったら説明するわ。先ずは外まで付き添って」


 く、罪悪感が……罪悪感が……こんなピュアな子を騙してるとは……アメリアを騙していると考えると……よ、余計に……ウグググググ! つ、連れてこない方が良かっただろうか……?




「えぇ!? 嘘だったんですか!?」

「ごめんなさいね……あの場から離脱したくて……あの子の剣幕、見たでしょ?」

「えっと……凄いな、とは思いましたけど……もしかしてそれでですか!?」

「えぇ……本当にごめんなさいね。正直、エゴに近い動機で連れてきたのは否めないわ……」


 うう、純粋な瞳に貫かれるの辛い……


「じゃあこれ……授業をサボタージュしたって事じゃないですか?!」

「えぇ。巻き込んでしまってごめんなさい。本当に。申し訳ないと思っているわ……」


ノンブレスで畳み掛けられる恐怖。


昨日投稿できなかったので、自戒の意味も込めて一時間早く、二本投稿です。

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