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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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無表情って意外に怖い

 という事で、式が終われば即座に授業……という訳ではありません。当然ながらそんな忙しいわきゃないこの時代。授業は明日から……さて。


「本格的に接触するなら、今日しかない、か……」


 クラス分けの発表に、彼もきっと来ているはずだ。それ以外だと、確実に接触できるというタイミングはマジでない。で、二人きりて話せるチャンスが来るかも分からない。


「それなら、覚悟決めるしかないか……シュレク、ベスティ?」

「ん?」

「どうしたのメタリィ?」

「用があるから、私はこれで失礼するわ。また後でね」


 黙って離れるのもあれだから、一応断りは入れて離脱だ。まぁ、必要ないかもしれないけど、せっかく一緒にクラス見に来てくれたんだし、ワガママで離脱するんだしね。


「わかったわ、また後でお部屋で!」

「そうだな、俺も暇なら邪魔しよう」

「えぇ、それじゃ!」


 よしオッケー、急ごう。いつまでも近くにいるとは限らん。というか、今近くにいるかも分からんけどな! もう帰っちまってる可能性もあるけど!


「ロイ! 昨日、ファラリスと一緒にいた男子の顔、覚えてる?」

「え、えぇ……一応は覚えていますが」

「ならその男子を探して。見つけたら、私の元に連れて来てちょうだい」

「その男子に、何かご用なので?」

「用よ。とっても重要な、ね。お願いできる?」


 あ、その。しょうがないって顔しないで? いやほんとごめんんさい。無茶言ってるっって分かってますけど……ホントごめんなさい。でもお願い。


「……お嬢様が本当に必要だというのであれば、私に異存など無く。しばしお待ちください、必ずや見つけ出してみせましょう」

「いや私も探すわ。手分けしてってことよ」

「あ、左様でしたか。では私は向こうを。お嬢様は反対側を、お願いいたします」

「えぇ、お願いね」


 よし散開! ダッシュダッシュ! この際見苦しいとか知るか、急がないといかん。とはいえロイ君と違って背は高くない……冷静に、まずはいろんな奴に情報を聞かないといけない。と言っても。聞ける情報なんてたかが知れてるだろうが。


「私とかシュレクとかベスティが特別なだけで、普通入学、っていうか授業が始める前に知り合ってる事なんてそうないぞ……」


 でも、何とかこう、上手い事伝えてどうにかならないか……ええい少女は度胸!


「ねぇ、そこの貴方、少しよろしくて?」

「ん? な……に」


 ……なんか、動きが止まったんだが。ロイ君が着いてきてるとか? いや、それはないな。


「どうしたのかしら?」

「あ、あの、あの、えっとなんでもないですなんのようでしょうか」

「少し人を探していまして……見るからに『この人優しそう』って男の子を見てない?」

「え、えっと。貴女と正反対の人って事ですか?」

「そうそう、ちょうど私の対極に……何ですって?」

「うわぁゴメンンサイィィ!」


 いやそんなビビらんでもええやん……なんなの?


「うわ……なんだろあの人、すっごい怖い顔してる」

「怖い顔なんだけど……ピクリともしてない……なんで怖いんだろ!?」


 あっ、はい。怖いんですね。何という事、やる気が顔に溢れすぎていたか……まぁ、下手に顔面を強張らせたりしても宜しくないというか。あくまで普通に情報蒐集したいからフラットな顔してたのは自覚してるけど。


「あの、すいません……怯えさせてしまって申し訳ないのですが……さっき言ったような方、見かけておりませんか?」

「ヒィイ見ました見ましたから! 正直にいますから来ないデェ!」


 ……大げさ、過ぎな気が……でも周りもちょっと引いてるあたり、そうでもないのね。ちょっとショック……だけどしょうがないか、ここはぐっと我慢しよう。


「多分探している人はそっちにいると思います! あっちの方です!」

「……えぇ、ありがとう」


 こんな子供に恐怖刻みつけちゃっていいんだろうかホント。でもこっちの諸々も掛かってるあれだから……あの、ホント、すいません……


「……そんなに怖いかな、私」


 無表情にしてるだけなんだけどなぁ……ダメですか、無表情。そうですか。うん。もう気にしてもしょうがない。よく考えてたらいじめっ子もビビってたし。うん、納得は出来ないけど理解はした。切り替えよう。


「で、あそこか……男子二人と話してる……あぁ、間違いない」


 あのハイパー優男。そういや、ロイ君よりは薄い茶髪だよね、彼。この乙女ゲーで茶髪って言えば彼奴だったけど、もうロイ君が出てきちゃったから私にとっての茶髪の人って言ったらロイ君になった……まぁ、それはいいや。




「そこの人」

「ん?」

「ツェルバ家の嫡男、ペーネロト。で、構わないかしら?」

「え、えぇ。そうですが……あの、どちら様でしょうか?」

よし。万が一間違ってたらやばかったけど、発見できて助かった。

「オースデルク家の者よ。その長女。ここまで言えば、分かるかしら?」

「!!」

 

お、顔つきが変わった。まぁ、因縁のある家だからね。うちとそっちは。でも落ち着け今はそっちでやりあうつもりはないってことを、伝えないと。


「……弟について、何か?」

「それに関してはこちらに思うところはないわ……話したいのは、もっと別の事。こちらに来てもらって構わないかしら」

「……分かりました」


 よし。約束を取り付けたぞ! あ、そうだロイ君にもう大丈夫だって言わないと……手伝ってもらう必要ほぼ無くて申し訳ないです。


大げさだと思います? 無表情の上目遣いって睨んでるようにしか見えないんですよ? ホント怖いんですよ???

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