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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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厄介事を纏めても難易度上がるだけでは?

「……では、ホワイトグレイヴ山周辺の特産は」

「香辛料。東方からもたらされたそれは、ホワイトグレイヴ山の湧き水で豊かに育つと聞いていますわ。高値で取引されるのだとか……では、その香辛料の名前は」

「ワサビ、だったかしら」

「あら、中々やりますわね。ここまで全問正解とは」

「常識を問われている程度の問題で、躓く訳は無いと思うけれど」


 話をしようぜ、が、バトルしようぜ! になったのは何時頃だっただろうか。最初はただの世間話だったはずなのに、どっかからか火が付いて……こうなった。


「メタリィは物知りね! そんなところ、まだ私習ってないのに!」

「興味が乗れば、どんな事だって常識の範囲内になるわ。ベスティも、好奇心を忘れないでね。好奇心があれば、常識の幅はどんどん広がるから」

「うん!」


 というか、ぶっちゃけ途中から戻ってきたベスティが、ファラリスに牙を剥いたのがキッカケではなかろうか。それをなだめる内に、『メタリィは貴女なんかに負けないわ』って捨て台詞染みた事をベスティが言って、それにファラリスが噛み付いて……


「……あら? 私、いつの間にか当事者にされてない? 最初はそうじゃなかったのに」

「何を言ってしますの? ほら、この計算は幾つですか?」

「え、あぁ。それね……九十七、でしょう?」

「くっ……まるで当たり前の様に答えて、忌々しい!」


 まぁ、一応はリケジョではあったんで。その程度の計算であればそう難しくは無いよ。そっち方向で勝負をしてもまず負けないよん。お嬢ちゃん。


「流石は大公。教育もしっかりしてますわね……一筋縄ではいかないと再確認できます」

「別に貴女と争うために学んだものではないですわ」


 まぁ、それはいい。取り敢えず学校が始まる前の前哨戦みたいなものと考えれば……まぁ、その。私は良いんだ。私は。けど、なんだ。周りがこのいがみ合いを気にしてない、って訳もなくてですね。


「……こ、怖いよぉ……あの子達」

「うぅ、おうち帰りたいよぉ、ママァ……」


 なんだろう。すごく申し訳ない。いや、だからと言って日和んのはムカつくからここで引くのは無し。すごい申し訳ないけど、もうちょっと怯えててもらっていいかな。


「……その……あ……うぅ、その、居心地は良いとは言えませんわね」

「!」


 前言フル撤回。一緒に日和るなら全然。というか、引き際が欲しかったんだよ!


「流石に、食堂の空気をこのまま乱してまでこれを続ける、というのはどうかと思いませんか? ファラリスさん?」

「! え、えぇ! 貴族として流石にマナーにかける行いですわね、それは」

「ということで、もうお開きにしましょう。ベスティ、良いわよね?」

「……はい、大丈夫……うぅ、勢いに任せて煽るのなんてしなければ良かったわ」


 うむ。ベスティもオッケーしてくれるらしい。まぁ、これが勃発した責任に関しては噛みつく要因を作った向こうと結局乗ってしまった私の三等分だとは思うのだけど。あと若干知識をひけらかすのを楽しんでしまっていた私の罪の比重は多分でかい。


「さてそれじゃあ……私の従者は」

「そろそろ、戻ってくるはずですわ」


 さよか。ファラリスの言う事が本当なら、無事に戻ってくるはずだけど。


「んー……あぁ、きたわね。目立つ傷もなし」

「私、嘘は申しませんわ」

「そのようね。少し見直したわ」


 まぁ内心は『やっぱ根本的には悪い子ではないんやな』とか思ってますけど。ツンデレっていうやつですよ。精神年齢三十代の……誰得?


「申し訳ありませんお嬢様、少し席を外しておりました」

「構わないわ。用を済ませて居たのでしょう? それまで堪えろ、とは言わないわ」

「……はい。ありがとうございます」


 ロイ君の責任じゃないしね。これに関しては。トイレということでごまかしておこう。


「こちらも丁度、朝食と……まぁ、野暮な話が終わったところ。さ、行きましょう」

「承知しました。参りましょう。ベスティアーゼ様もご一緒に?」

「えぇ。途中までは……ベスティ、部屋まで案内しなくても大丈夫よね?」

「それは大丈夫! そこまで子供じゃないわ!」


 オッケー、なら行きましょうか。


「では、ファラリス様、ご機嫌よう」

「えぇ、そちらも……さて、私の連れは……」


 連れ?


「あぁ、いましたわ! では、ご機嫌よう」


 あ、行っちゃった。あの令嬢の連れか、もしかして昔一緒にいたあの二人組とかかな。だとしたらどんな風になってるのか若干気になるというか。


「ってあれ? 女じゃないわね」


 男だ。親しそうにしてるけど……あれって、もしかして婚約者ってやつなんだろうか。うーむ、なかなかのイケメンだなありゃ。しかし、それだけじゃないよなアレ。


「……なんだろう。見たことがあるっていうか」


 なんだろう、あの明らかに善人ですって分かる面。見覚えがあるというか…‥


「あの二人って……ねぇ、もしかして」

「ファラリスさんと一緒にいるってことは、間違いないわ。()()()()()よ! ファラリスさんの婚約者なんですって!」


 ……なんだって?


「ごめん二人とも、入り口で待ってて、ちょっと聞きたいことが」

「は、それは構いませんが」

「メタリィ?」


 えっと、あそこの二人組だっけか。


「そこのお二人! 少しお話があるのだけど、いいかしら」

「えっ? か、構わないけど……どなた?」

「今はいいから、その、婚約者の一件について教えてちょうだい!」


 早く! ほんと、私の命に関わるかもしれないの!


「えっと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょう? 仲がとてもよろしいって有名よ?」


 ……あ、はい。左様でございますか。


ゴミ箱のゴミだって纏まったらえげつないじゃないですか。

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