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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
二章:技のゴリラ初等期
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配給のおばちゃんって迫力あるよね

 ……あぁ~ねむ。でもいえとおんなじくらいには、ねれたかな……へふ。


「お嬢様、おはよう御座います。水は汲んでおきましたので、顔を洗って、先ずは意識をスッキリさせましょう」


 あ、はい。ありがとねロイくん……えっと、こっちだっけか、水がはいってるうつわがあるのは……めっけー……ふんっ!


「っハァッ! あぁ、スッキリしたぁ」

「お疲れ様です。こちら、お使いください」

「ありがとう。よいっしょ……ふぐ……」


 まだまだ製糸業なんかも手作業なこの時代、タオルも贅沢品も贅沢品として知られているんだけど……備え付けてあったよね。至れり尽くせりにも程がないだろうか。まぁ、ありがたいので使わせてもらうけど。


「っはぁ……すっきり……さて、着替えだけど……」

「分かりました。支度が終わりましたら、お呼びください」

「ごめんね。出来るだけ早く済ませるから、待っていて」


 会釈と共に、ロイ君退室。仕草の一つ一つが洗練されてるのはやはり武官だからなのだろうか。分からん。と、考えている暇があったらささっと着替えを済ませないと……今日のご飯は、なんじゃろな、と。


『お嬢様?』

「なーに?」

『食堂の食事は、部屋まで持ってきても問題ないようですので、運んできましょうか?』

「……あー、そういえば」


 そんな事、昨日聞いたような気がする。食器は表に出しとけば回収してくれるらしい。親切。でも迷惑はあんまりかけたくないなぁ……




「メタリィ、食堂見に行きましょ!」

「……えぇ、良いわよ。今から朝食にしようと思っていたところだし」


 朝食をどうしようかと考えていた、と従者と一緒に考えていた所に、友人が突撃してきた件について。ラノベのタイトルっぽいね。だとしてもちょいと長いか? うん。まぁどうでもいいや。折角のお誘い、ナイスタイミングなんだから乗らない選択肢はない。


「ちょっと待ってね。ロイに水差しの水を取ってきて貰ってるから……」

「いえ、それには及びません。ただいま戻りました、お嬢様」


 と、ナイスタイミング。


「お疲れ様。朝食なのだけど、食堂に行って取ることにしたわ」

「了解しました。『ガッツリ食べる』、という事ですね」

「えぇ」


 まぁ、朝食をどうするかってのは、部屋のフルーツだけでさっと済ますか、ガッツリ食うか、という話だった。さっと済ませた場合、礼拝堂を見に行く予定だったが、誘ってくれたなら話は別だ。


「さ、いきましょ。従者さんも、さぁ!」

「あんまり慌てると、転げちゃうわよ、ベスティ。ふふ」

「転げたりしないわよ、メタリィったら。私はそんな年じゃないの」

「はいはい」


 そう言っているうちはいつまでも子供やでぇ……ほほえましい。背伸びする幼女めっちゃ尊い。内心で拝むわ。バリバリ拝むわ。何なら宗教作るわ。で宗旨替えするわ。いっそ教祖になるわ。


「お嬢様、顔が緩んでおります。そして、何とも言えぬ、混沌とした気配を感じるのですが……如何なされました?」

「なんでもないわいやほんとうん私はノーマル」


 なんかどす黒い波動に取り込まれていた。やばい。若い子ってそれだけで年寄りを引き寄せる魅力を持ってるわ。年取るとパッションが足りなくなるからね、他者から摂取するしかないのよね。会話したりして。


「……それにしても、流石、国の二大教育機関ね。見事なものよ」

「どういう事?」

「気づかない? 廊下に置いているものの悉く、高いだけではなく、整っているわ」


 隅から隅まできっちりこう、整ってるというか。昨日、まぁ冷静に考えてみれば隅から隅まで調度品というのは予算がかかりすぎるから言うてもノーマルなところあるだろ、と部屋が豪華すぎたので寮はどうなんだろ、とか考えてたけど愚問だった。


「カーテン……それに、花の一本一本に至るまで、どれも一級品。でも最高級品ばかりって訳でもなく、多少等級が落ちても、調和を保つ為に組み込んでいる」

「……そう言われてみれば……凄いわメタリィ、そんなにあっさり」

「ま、大公家は伊達ではない、ってね」


 で、なんでこんな確認みたいなことしてるのかといえば……まぁ、要するに食堂への期待は大だということ。それを言いたいから。校舎は兎も角、この寮自体の施設にハズレはまずないと言っていいだろう。


「隅々までちゃんとしてるところは大抵美味しいのよ」


 見た目がちょっと古かったり一見汚かったりするところが名店である、ってのはある事だが、店内が綺麗に掃除されてたりして、しかし飯がまずいという場所はそうそうない。


「へぇ、そうなの?」

「……お父様は、経験上そうだって言ってたわ」


 私の経験なんて言えないから、お父様を言い訳にする。ごめんね。




「さぁ、今日はフレンチトーストよぉ! 基本、一人一枚ねぇ!」


 えぇ……。


「リビドア寮長様……あんなところでどうしたのかしら」

「多分、厨房の指揮とってるんでしょう……厨房から飛び出すと言わんばかりあの迫力、恐ろしいわ」


 こ、こんな事までやってるのかあの人。爺と同じまさかの万能超人か?


私はその勢いにビビってしまった事があります。

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