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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
間章:技のゴリラ幼少期・日常
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妹はガチバトルを希望したい・前


「どうして……こうなったんだろう」

「お姉さま! ぜんりょくで行きますわよぉ!」

「メタリア、アメリア、双方精一杯頑張りなさい。ここで母が見ていますよ」


 現状把握。練兵場には、私、アメリア、立会人お母様。そして観客として兵士の皆様とロイ君。爺。オイちょっと待て、ロイ君は私の護衛だから分かるが爺はどうしてだ、仕事どうした。


「この面白いみせ……決闘を見逃す手は無いと思いましてな。老骨に鞭を打ちました」


 おい、見世物って言おうとしてなかったか今!? いや確かに見世物に近いけどさ!


「ほんと、どうして、こんな事に……」




「リベンジ、です!」

「……えっと、ごめんアメリア、まったくもって話が見えないのだけれど」

「リベンジ、です!」

「いやだから何に対してのリベンジなのかを明確に申してほしいんだけどぉぉお!?」


 今、アメリアとゆっくり過ごそうかとのんびりセット(読みかけの本とハンカチ)を用意してたのに、急に話が荒っぽい方向に舵を切ったんだけど。いや、え、ホント何。唐突すぎて『えっ』としか言えないのよ。分かる? 動詞だけで押し切るのは止して?


「私は、お姉さまと的あてでしょうぶしました! おぼえていますか?」

「……あ、あー、シュレクが家に居た時にね。やったやった」


 あれ、でも不正があったとはいえあの勝負はアメリアが勝ったはずだけど……だったらリベンジはしなくてもいいような……え、マジでなんで?


「マクレスさんから聞きましたわ!」

「あーなるほど仕組みが分かったそれではマクレスをシバキに行くのでこれで!」

「ダメです!」


 くそっ、捕まった! このままうやむやにしようかとも思ったけど……そりゃ許しちゃくれんわ、ったくあからさまに手を抜いたのがバレ申したか!


「なんとなくふしぎだなって、わるものだってぶっ飛ばすくらい、物をなげるのがとくいなお姉さまが負けるっておかしいなって、思ってたんですけど……!」

「ぐぬぬぬ、離してアメリア、露骨に手を抜いたのは、ホントに、悪かったから、あ、謝るから、許して、ゴメンてば!」


 そんなやる気に満ち溢れた君とやりあいとうない! ホント! 怖いとかじゃないけどさぁ、こう、腰が引ける! すっごい気迫で近寄ってこないでぇ!?


「勝負してくださると言ってくれるまで、アメリアは! お姉さまを! 離しません!」

「ええい、勝負はせんから! あの勝負はアメリアの勝ちで決まってっから! 覆しようねーから! 諦めて! 離して! お茶でも飲もう!」

「そ れ は あ と で ぜ ひ と も ご い っ し ょ し ま す!」

「あびゃい」


 ち、力強いお返事ね……いや、そうじゃなくて! 別にやりあう必要ないじゃん! 平和なのがナンバーワン! ね! ラブ&ピースって素敵でしょ! 後やっぱり結果は見えてるから!


「ど、どうしてしょうぶしてくださらないのですか!」

「どうして勝負する必要があるのよぉおおお!」


 争いは何も生まないんじゃ……何も! 生まないんじゃ!


「わ、わたしは。ぜんりょくの! お姉さまと! しょうぶが! したいのです!」

「アメリアとは! 勝負とかじゃなくて! 仲良く! 遊んでたいの!」


 届けこの思い! 届かないこのパッション! それでも! 私は! 戦わない!


「ふにゅにゅにゅにゅ!」

「ヌオオオオオオオオオオ!」


 絶対に、絶対に負けない、私は、平和に、穏便に、アメリアとお茶を飲むんだっ……!


「決闘なんかに負けてたまるかぁあああああああ!?」


「――決闘、ですか。詳しく聞かせなさい、メタリア」


「っぱぴょんぺ」


 このたいみんぐできちゃいけないひとのこえがはいごからきこえたきが。


「……おか、おかあ、さま?」

「お母さま!」

「アメリア、メタリアと勝負をしたい、と?」

「はい! ちょっとじじょうがありまして、いぜんのしょうぶのやりなおしを、と!」


 あっ、ちょ、待って。お母様への告げ口ダメ、いや、ホント。


「……アメリア、一度決着がついた勝負をやり直す、というのは」

「そ、そうですよね! こういうのは潔く勝負の結果をね! 噛み締めて! 終わり!」

「だって、お姉さまはわたしのためにとてをぬいてくださったんですよ! お姉さまのじひには感激しきりですが、それでも、そのやさしさにあまえるわけには……」

「なるほど、そういう事であれば大いに……メタリア、逃げてはいけませんよ」


 は、はなせぇ! 離せお袋! 後生だ、逃がしてくれえぇぇぇえ!


「許して!」

「ダメです……あなたの家族に甘いところは、決して欠点ではありませんし、美点ですらありますが、それはそれです。真剣勝負に情を挟んで手を抜く等、相手に対しての失礼に当たります」


 フゥウマジメェ! でもそれで納得はできない、というかしちゃいけない!


「例外だってあるでしょう!? ねぇ! ほら、王族の皆様とかと、狩りとか行くじゃないですか、それに同行する、とかないですか!?」

「それはあるわ」


 あるでしょう!? そういう時は流石に誰だってある程度手加減するじゃない! そういうもんですよ! 世の中って! 私はそう言う権利を行使しただけです!


「そう言う時は、色々あるでしょうよ! ねぇ! 私だってそういうアレをねぇ!」

「したことはありません。私も、あの人も、一度たりとも、です」

「あ、ないんですね、それでしたら……あ」




「あぁ、凡そ自業自得過ぎて最早笑うしかないわ……あっはっはっはっはっはっ」


 ふ……私って、本当に、バカだなぁ……


あからさまに手を抜いた勝負とか、バレると面倒なことになりますよね。

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