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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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宴が終わったその後、日常。

 ……まーた朝スタート。流れるように同じ布団で寝ているアメリアを起こし、さて、私も髪を梳かないと。今日はブロッコリーみたいになってるからねぇ。私の頭。


「おはようございます。姉さま達……あの、メタリア姉さま、髪、大丈夫ですか?」

「大丈夫では無い。まぁ、綺麗に整えるからちょっと待って」

「一人では厳しい気がしますが……お手伝い、しましょうか?」

「お、やってくれる? じゃあお願いしちゃおうかな……っと」


 ――とまぁ、新しい日常の風景も加わって、より充実した生活を送っております。メタリアです。あ、アレウス。優しくしてね……言うまでも無く手つきが優しい、だと?




 パーティでの王族の婚約者探しと言うイベントも、既に婚約者のいる私には関係なく。まぁつつがなくパーティは終わり、暫くたつ。何の問題も無く日常を過ごしているわけだが。


「来たぞ」

「やほー」

「いらっしゃいませ! シュレクさま! 大公家にようこそ!」

「こんにちは、シュレク王子。せんじつは、どうも」


 違いも、当然ある。特に、どこか、こう、アレウスとの間に若干の壁があった以前と比べ、それすらもない今は実に心地が良い。こうして憂いなく子供達と戯れるのは……ふふ、癒しだ。


「で、どうする? さっそく、一局、やっちゃう?」

「いや、まずはアレウスとやってみたい。アメリア以上の腕前なのだろう?」

「そうよ~、もう私相手にならなくなっちゃって……最近は手加減される始末」


 ふふ、その癒しでボコボコにされてちゃ世話無いけどねぇ……いやホント、『メタリア姉さま、よろしければ、指し方のコツとか』とか気を使われた日は一日中アルカイックスマイルを浮かべてたよ。


「では、せんえつながら……このアレウス・オウル・オースデルク、お相手をつとめさせていただきます。お手柔らかに」


「勝負事には手を抜かぬ主義だ。全力を持ってお前を沈めにいこう」


 両雄並び立つとはこの事か。迫力がヤバい。こーれどっち応援すっかな……


「アメリア、どっち応援する?」

「私はアレウスを。お姉さまは?」

「それじゃあ、我が婚約者殿の勝利を祈願しようかね。シュレク、負けたら承知しないからねー、絶対勝ちなさいよー!」

「がんばってアレウス! あなたの強さを、シュレクさまにぞんぶんにしめして!」


 ……おっ、双方顔つきが更に締まった。応援効果も出てるかなこれは。


「了解した。共犯者たっての願いとあれば、限界に挑むのもやぶさかではない」

「アメリア姉さま、見ててください……全力を尽くします!」


 それにしても燃え過ぎではないかな。どうしよう、正直想定の遥か上まで来てるんだけどコレガチの死闘になったりしない? 大丈夫?


「……ここ」

「そこは、悪手、かと。いただきます」

「……いいや、お前にその一手を打たせることが出来たという事で、これには意味がある」

「っ!? こ、この一手は!?」


 あの、何か、凄い。盤面の戦況が一進一退、二転三転して結果として互角にまで持ち込んでる。今の一手でシュレクが若干有利になった気もしないでもないが。


「すごい……あえてとらせてスキマをうめたうえで、数を!」

「打つ場所が無けりゃ逆転も無理。ぶっ飛んだやり方だけど、間違っちゃいないね。現にあのあたりの数を逆転するのは、多分ムリ。残りをどうするかね」


 解説役やってるけど、ぶっちゃけ適当申してるだけです。だって、多分それ以上の技術とか使われてるだろコレ。そしてそれが何なのかは分からない。つまり、うん、もう訳分かんない。


「……でも、ま。それでもいいや」


 そんなのとは関係なく、楽しそうだから。自分との確執も無くなり、心の中の影ともおさらばした……まぁ、あの悪餓鬼共からおさらばしてきたのだから当然ではあるが。余程アメリアと私が怖かったのか『もうにどとちかよるもんか!』とか泣き叫んでた。


「で、親御さんの文句は、当然生家に向かいそうになったけど、お父さまがそれを阻止して……」

「?」

「ああいや、何でも無いわ。独り言よ、独り言……さーて、盤面は?」


 お、若干アレウスが押し返してる……かな? まぁ、要するに私の死亡フラグがまた一つへし折れた、という事だ……ぐふ、ぐふふふふふふ!


「万歳!」

「お姉さま!? あの、大丈夫ですか!?」

「へーきへーき、むしろ絶好調! まさに絶好調! オールライッ絶好調よ!」

「ダメな気がします…………!」


 なーにがダメなものか! 死亡フラグが折れるってのは、私みたいなイカレポンチ転生者ちゃんには、宝くじ一等が前後賞含め的中したレベルの慶事なのだから! ヌハハ!


「メタリア、少し静かにしろ」

「メタリアお姉さますみません、集中させてください」


 アッハイ。ちょっと調子乗りました自分。本当にすみません。


「……ピり付いてるわね」

「はい、たぶん勝負がかきょうにはいったのかと思います」


 へー佳境に……うーむ、盤面を見てもどっちが有利かまるで分らないぞう……まぁ、でも楽しそうだし。うん。


「シュレク〜! そのまま押し切っちゃえ〜!」

「アレウス! 最後まであきらめちゃダメよ! 男の子なら、がんばりなさい!」

「そのつもりだ。大船に乗ったつもりで見ていろ、メタリア。油断は一切無い」

「ぎゃくてんの目はのこされている……最後まで、あがきます!」


 頑張れよー! 男の子ー!


この小説に恋愛要素はないです。あんまり。

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