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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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怒れ、鋼(みたいに冷たい顔)のお姉さま

 ホント、よく我慢したね。なんつうか、すげぇいい目をしてたよ。屈してなんかやるもんかって。三人に囲まれて、怖いと思うでもなく。いやぁ、やるもんだ。


「……まぁまぁ、随分とねぇ、好き勝手やってくれるじゃない」

「お姉さま……大丈夫です、もう、息も整いました。やれます」

「了解。まぁ、やるんだったら徹底的にブチのめす、だから一応準備をしてたんだけど……それも後悔してるわ、勢い任せで突っ込めばよかったよね」


 よし、殴り込むとするか。


「それ以上言う必要ないわよ、アレウス。破らせておきなさい」

「……え?」


 ウンウン。呆然と待っときなさいな。ぶっ潰してやるからよ。容赦はゼロだ、人数は向こうが上か。まぁ知らん。全て粉砕してやる。まぁ大人に訴えるかもしれんが、なら訴えられないほどのトラウマを精神に刻んでやればいいだろ。


「アレウス、もうだいじょうぶよ。あとは、お姉さまと私に任せておきなさい」

「まったく、本当にアレウスと同い年なのかが疑問に思われる品のなさ……ま、私とアメリアで軽く蹴散らせるから、楽といえば楽だけどさ」


 おし、じゃあ蹂躙するかぁ! 今はちょっと怒りと色んな感情で大爆発してるから、お姉さまバイオレンスモードなんぢゃ。


「アメリア、私の補助を。三人まとめて……」

「いいえ、お姉さま。ひとりくらいは私がうけます」

「大丈夫?」

「問題ありません……あの、アレウスにいちばん近いやつをいただきます」


 えっ、多分そいつリーダー格っぽいけど、本当に大丈夫? あ、いや、背中がすごい逞しく見えるから大丈夫そうだね。うん。任せるわ。っていうか、下手に意見できない。


「そこの! あなたは私があいてします! こっちに来なさい!」

「へ、あ。い、いいぞ。よくわかんないけど、こいつに味方するなら、お前らもおもちゃにしてやる!」


 ああ……なんだろう、あの男の子、大泣きして帰る未来しか見えない。


「はぁ……で、私の相手は、貴方達二人なのですが」

「え、っと。どうする!?」

「どうするも何も、あいつが言っちゃったんだから、俺たちもやるしかないだろ」


 お。いい気概してんね。まあ二対一だし、勝てそうだとも思ったんだろうけど、さ。まぁ悪いけど、まともに戦うつもりはないよ。


「い、行くぞ」

「せーの、でだからな、せーの!」

「……あら? 私? 私を殴りに来るのかしら? ねぇ、()()()

「「っ、ひえ」」


 ちらっ。オラビビんなよ。どうした? 向かってこないのかね? 軽く睨んでるだけやぞ?


「……こ、こわくね?」

「なんか、さっきとぜんぜんちがうぞ……お、おこってもねぇのに、すごい怖いぞアイツ!」


 ふ、ふふ。効果覿面。全く、メタリアさんとの特訓の成果を、こんな場面で生かすことになるとはな……おっと、しっかり演技しないとな。


 なにやってんの? という質問に答えるなら、『悪役令嬢』をやっている。悪役令嬢になりたくないという一本線を通してたら、いつの間にか理想の『悪役令嬢』になれるようになってた。ゴキブリを嫌うあまりゴキブリ博士になるのと同じ理屈だと思いたい。


『ちょ、ちょっと怖い位に冷たい目をしてるわ……あの、気を詰めすぎちゃダメよ?』


 悪役令嬢にならないよう貴族らしく、を意識してたら、メトラン母上様に心配されるくらいになってた。まあ要するに特訓失敗による、偶然の産物みたいなもんだ。

 心構えを作ろうとして、貴族としての『演技の仮面』が出来た訳である。

 特殊能力っぽく説明しちゃいるが、ようするに大人なお貴族様だったら誰でもできる猫かぶり。私だって幼少期にやってた。それの延長だ。


「全く……矮小ですこと。少し見られた程度で、殿方として、情けなくないのか、それともそう考えられるだけの器も無いのか……いずれにせよ、三下。いいえ、カス、と敢えて言って差し上げましてよ」


 ちらっ。どう、この絶対零度の視線。ちなみに自分で自分を見て泣いた。怖くて。

 そして今! 動きを止めて先手必勝だオラァ! くらえ、ロイ君に頼んで持ってきてもらった超泡立ちの良い発泡酒! まあ要するにシャンパンな訳ですけど。


「まぁ、そんな風に棒立ちのままなら――ごめんあそばせ、その濁った眼、頂きますわ」

「「えっ」」

「へっ」


 そーらめっちゃ振っといたシャンパンの蓋を開封! あ、直前まではロイ君がやってくれてた奴を貰ったから、この幼女アームでも外せるのよ、というわけで。


「ふふ、お酒って、こうやって楽しむのも一興でしてよ? ジェントルメン?」


 行け飛べ弾けろハイパーシャンパンシャワー!


「まっ、ぎゃあああああ!?」

「うわぁああこいつなんだよめちゃくちゃ痛い痛いイイイイイィ!?」


 オッシャァ! 目に見事命中! これで暫くはまともに動けないし力も入んないだろうよ! ほら生まれたての子鹿みたいに震えていて良いのかね?


「こうなってしまえば、ハエ、同然……かしらね、ホラ」

「ボブッ!?」


 殴っちゃいませんよ。ただ借りていたロイくんの手袋で思いっきり頰を叩いただけ。さっき似たようなことやってたろお前らも、お? お????


「如何です、如何、如何、如何如何!? どのような感じですか? 一方的に嬲られる感触と言うのは! 教えてくださいまし! ねぇ、ねぇ! ねぇったら!」

「べべべべべべやめてほべべべべべっぶぅん!?」


 腫れない程度に手袋でシバキ倒す、柔らかい布でシバかれるのは痛くは無いが響くだろう。音が凄いもんね。くく、そらそら、もっと頂きなされ。


「ぐぐぐ、ど、どこだよぉ、どこにいるんだよぉ」

「こちらよ。躾のなっていない駄犬には、きっちりと仕置きを、ね!」

「いやぁイタイ!? おしり! おしりぶたないで! あ! 指でドスってやるなぁ!」


 私を怒らせたらどうなるか、一つ、思い知らせてあげよう。ふふ、アメリア、暴力は良いぞぉ、今はロクデナシが嘲笑う時代……あ、すいません嘘です。ただ私がこれ以外思いつかないだけです。


「ひ、ひでえ」

「こえぇよぉ……ははうえなんかよりよっぽどこえぇぇよぉ」

「あら、当然でしょう? 貴方達の母君と違って、私には、貴方達に対する欠片の慈悲もありませんもの……ねぇ?」


 ひっ、とか下がってんじゃねぇぞ。オラ、徹底的にやるから覚悟せいや!


「泣いて、慈悲と、赦しを、乞うと良いわ……我が弟の様に、気高く、耐えるなどと、貴方達には決して、出来ないでしょうから」

「「ひ、ひぃいいいいいいい!?」」


親戚と喧嘩した時、一回こんなモードになりました。泣きました。

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