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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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すっとんきょうな頭の使い方

 うっわ、山盛り……すげぇ量持ってくなお前。結構お腹ペコちゃんだったんだなお前。まあ良いけど。あ、給仕さんすいませーん。飲み物もう一杯欲しいです。


「……うむ。確かにこれはいけるな。そら、アレウスももっと」

「あ、いえ僕はさっき食べたので……それより、その悪漢は、メタリアさんとシュレク王子、アメリア姉さんのいる部屋に入ってきて、その」

「あー、シュレクに隠れるように言われてね。二人で隠れたのよ。アメリアと」


 武勇伝語るのって、案外気持ちよくはない。いや、全く無い、という事ではないのだが気恥しさの方が勝ると言うか。


「で、そのお姉さまのなげたいっぱつが、おとこの後ろあたまにゴツン! さらに、おいつめられたお姉さまをまもるためにシュレク様がそらをまい……すごかったです」

「わぁ……おふたりとも、とてもゆうかんなのですね!」

「あ。あはは……いやー無茶しまくってただけよ」


 くっ、やはり恥い。しかし、こうしてアレウス君から真っ直ぐな尊敬の目を向けられるのは、悪い気はしない。まぁいままでが全部マイナスだったっていうのもあるけど。


「でも。これ話してしまってだいじょうぶなんですか? たいこうけのみうちのひとがそんなことをしてしまったと、いろいろなひとにきこえてしまうのは」

「あーうん、それはいいの。むしろお父様もバンバン話すようにって言ってたし」

「そうなんですか」


 曰く、『少し評判が下がる程度で身内の馬鹿共をけん制できるなら安いもの』だそうで。貴族にとっては宝となりえる『名』をあっさり投げ捨てるあたり、流石そんじょそこらのノーマルお貴族とは格が違うと申しますか。


「ほら……向こうの方、お父様がいるところ、見える?」

「えっと……あ、あのテーブルですね」


 子供組とは反対方向の奥で、ひげが立派だったり服の質が中々だったりする紳士淑女の方々とご歓談中なのは、お父様、そしてお母様お二人。


「あそこでお父様大爆笑してるでしょ」

「いえそこまでは……笑っている、とは思いますけど」

「うんちょっと過剰表現したわ。まぁ、歓談してる訳だけど、アレは今話してることを話題にしてると思うわよ」

「え? どうして分かるんですか?」


 分からんよ? 予測はつくだけで。周りの人はみんな苦笑い。何人かはお顔が真っ青だし、アレ多分うちの身内。


「そんな状態になる最近の話題って言ったら……まぁ、うちの不祥事だし?」

「……」


 多分身内をわざわざ連れてきたうえで話してるんだろうなぁ……って、なにさ。なんで私を見てんのアレウス君。


「メタリアさんて……ちゃんとあたまがつかえたんですね!」

「ほうほうアレウス君さては喧嘩を売っとるな?」


 こにょこにょ。くすぐってやる。乱暴はしないがこれくらいはいいだろ。ほらほら、もっと感じるが好いわ。それそれそれそれ!


「あっ! ちょ、ふふ、やめて、くすぐら、あはははっ」

「この悪い子は~、ほらここか、ここがええのんか」

「よ、よよ、よくなんかないですよぅっ、ふひ、ひひぃん」


 ほおれこちょこちょ、こちょこちょ。スキンシップも兼ねたお仕置きだおらぁ! ったく生意気言いよってからに。攻略対象だからっていつまでも甘いと思うなコラー。


「……メタリア」

「何よ。私がはたから見たら変態にしか見えないっていうのは知ってるから聞かないわよ」

「そうか。ならば俺からいうことはなにもない。存分にやると言い」

「なっと、ふぅ、しないで、たひゅけてぇっ、くふふっ」


 ほらほらぁ。


「ご、ごめんなさい、ごめんなさぁい!」

「うん。よろしい」


 頭が使えるで褒めるのはもはや悪口なんだよ。良いかい、覚えておきなさいね?


「うぅ……ひどいことをいったとはおもいますけど、ここまでするなんてぇ」

「私のモットーは信賞必罰! 悪い事をしたら、悪い事ではない事でちゃんとお仕置きをしますからね」

「うぅ……怖い」


 まぁ、叩いたりはせんけど。暴力振るう度胸もないし、なんなら暴力なんぞ振るったら例の悪ガキどもと同等に落ちるし。私は誇り高いお嬢様でいたい。


「誇り高い、はもう無理だと思うが」

「何急に」

「いや、自分をあくまで知的で誇り高く、完璧な令嬢だと思っていそうな顔をしていたからな、一応釘を刺しておいただけだ」


 そ、そこだけをピンポイントで察するなこの野郎!


「いいジャン別に! それくらい思ったって! っていうかなに!? そんなに私の表情ってわかりやすい!?」

「そうだな」


 一言で済ますなこの有能! 私が分かりやすいのは百歩、いや、万歩譲って認めたとしても、そこまで看破するのはお前が有能だからってのも絶対あるんだよ!


「うぅ……アメリアねえさん」

「だめよ。お姉さまだって、すっとんきょうなほうこうに知恵をみせたりするのだから頭をつかわない、なんていうのは嘘よ。嘘をついてあいてをばかにするのはいけないわ」

「うぅ……そうです。申しわけありません」


 おい、アメリア。それ微妙にフォローしきれてない。ちょっと泣きたくなってきたよ。っていうかアレウスも納得して崩れ落ちるんじゃない。


「もう……私っていっつもこんなん」

「仕方あるまい。それがお前だ」


 不服! ったく、アレウスが立ちあがったらもっかい位くすぐってやろうかしら。この隣のボケ婚約者を巻き込んで。アメリアもくすぐったろ。


「……」


 ん、アレウスふっかー……つ?


「アレウス、どうしたの? 怖いお顔をして」

「……あっ、あぁいえ、なんでも、ないです」


 ……いや、何か明らかに覚悟決めた男の顔してたけど。どうしたんだろう。


お嬢様が頭脳派知能派であった試し……無いと思います。

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