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力のゴリラ妹と技のゴリラ私の悪役令嬢物語  作者: 鍵っ子
一章:技のゴリラ幼少期
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大人のえげつない子供の騙し方講座

「お姉さまお姉さまお姉さま! すばらしい、ほんとうにお綺麗ですわお姉さま!」

「あーうん。アメリア、落ち着いてね?」


 ドレス、皴になっちゃうから。あんまりわちゃわちゃしてると。しっかし、アメリアかわえぇなぁ! いやー軍服と少女の相性は抜群とはいえ、ドレスにデザインを落とし込むとここまでとは!


「私もお姉さまのドレスをきて、そこそこ綺麗になれましたけど……お姉さまはやっぱり別格ですわ! ビックリしちゃいました!」

「いやー世辞はいいわよ? アメリアの方が全然」


 自分で見てもさ、私は色が派手なだけだし。頭悪い派手さな気がするのよなぁ、ギンギラギンて。そもそもアメリアの方が女性としての魅力はある顔立ちだからさ。イヤーホント。泣きたい。


「メタリィイイイイイイイイイイイ!」

「あぁ、ベスティ来てくれべぶぅ!?」

「お姉さま!?」


 ご、ごふっ……あの、会場の皆様。落ち着いてください。日常茶飯事ですから。別に。なんか『何事!? え、これ放っておいて大丈夫なの!?』的な顔をなさらないでくださいませ。平気ですから。ベスティイノシシロケット。


「あぁホントメタリィとってもキレイ! まるで私を助けてくれたあの時みたいよ!」

「あー……あのときも、こんな格好してたっけ……? あ、そろそろ退いてね? お客様呆然としてるから」


 ごめんごめん? あぁ、謝らなくて大丈夫。慣れっこだから。良し、腰も回復したな。


「ご、ごめんね……それにしても、アメリアちゃんもメタリィも、本当にキレイね!」

「そう言ってくれるなんて、ベスティは良い子ね……」


 アメリアと比べたらさ、そりゃどうにも無理でしょ。万が一レベル99だったとしてもスター状態には敵わないわ。


「まったく……大公家の華二人の前では、社交界を潜り抜けてきた歴戦のご婦人方も思わず嘆息、下手を打てば卒倒物。いささか、刺激的に過ぎる」

「あ、ダリア……男爵様」

「ふふ、どうも。メタリア大公令嬢様」


 ども。多分アメリアに委縮してるだけだと思いますけど。まあそれはもういいや。


「アレウス、大丈夫ですよ。とっても元気にしてます」

「……そう、か。馴染めるように努めてくれて居るようで、申し訳ない」


 一族の人だからと、一応報告したが。まあ、気にしない訳ないよね。この人が。


「ならば、気にする事もなし。アレウスを、我が一族の子を、よろしくお願いしたく」

「……よろしくお願いされる立場にはないですけど、確かに」


 あ、ご帰還ですか。あぁ、挨拶回りもまだあると。っていうかお父様より先にこちらにですか? お父様に挨拶するのは時間がかかるからその間に? うわ合理的ぃ。


「……迷惑をかけたくないから、秘密にしてる、か」


 ダリアさんに関してだけは杞憂だと思うんだけどなぁ。あの人が、貴族間の小競り合い程度で迷惑するとはとても……ん? なんすか、なんでこっちを? え、そっち見ろって? なんで……おや?


「ドゥブルさんだ。あれ、でもあっちってダリアさんの親戚筋いなかったような」


 っていうかこっちを見てる子供が三人くらい……こっちっていうか、アレウス……の方を見てないかあれは……んん? あれ、でドゥブルさんがあそこに居るって事は、あれが件の!? 


「そっか、家の位は高いからウチのパーティにも呼ばれてんのか……いや待て、なんでダリアさんそっちにドゥブルさんが居るの知ってるんだ……あ」


 そもそもあの寝室の、ベッドの下、あそこに日記が放置されてたのって、偶然? ドゥブルさんもその辺りは特に言及してなかったし……まさか。


「……うわ」


 笑ったよダリアさん。完全にいたずらっ子の目ですわ。そうか、そういう事。つまりベスティの家に行った時には全部把握済みだった……で? 私に任せたってか?


「……いっぱい食わされたぁ! ちくしょう子供相手に大人気なくないか!? っていうかご自身でやってくださいよいくらそういうね! 対抗派閥との微妙なあれこれあるからってさぁ……!」


 どうにかしろって!? ちくしょう分かったよ! やってやろうじゃない! ロイと爺ちょっと探して来ようかな! 一人じゃどうにかするなんざ無理だしなぁ!




 結局メトランさんと特訓したアレも、披露する機会を完全に見失った。いや、これの前のドレスのままいけたなら、こう、心乱される事なく冷静にいけたんだけど……


「あのハプニングからの立て続けの衝撃の事実を知った後じゃ、無理よね……」

「お姉さま! このお肉美味しいです!」

「あらホント? なら二人で食べなさいな。私はちょっと……色々お腹いっぱいだから」

「そうですか?」


 そうそう。アレウスくんが若干それを食べたそうにしてるからさ。そうそう……うっわなんとも美味しそうに食べますなぁ。頰が薄い紅に染まってる。うわ可愛い。ショタっ子が美味しそうに物食うのってこんなに可愛いんだね。


「……おいしいです」

「よかったわね! アレウス!」


 畜生、こんなん見せられたら……もうちょっとその顔をメシの顔にしてやりたくなるじゃあないの!


「ふふ、ならちょっと、下品だけど、もうちょっと美味しくなるよう工夫してみる」

「え? くふう、ですか?」

「そうよ」


 周りは誰も……見て無いと思う。美味しいものへ意識集中させてるのって私たちぐらいだよな? うん。周りはワイン片手に色々話してるだけ。で、子供とかは……


「……不思議と居ないね」


 アレウスをやった悪ガキ三人、ざっと見ても、ウチの近くには居ない。さっきアレウスが我が家に養子として迎えられたことは説明したから、ここにいると分かってるはず。まぁ、()()()()()()()()()、とは思うけど……


「大公のネームドにビビった……?」

「あの、メタリア……ねえ、さん」

「ああうんもうなんでもいいやちょっと待ってねアレウス」


 姉さん呼びには全力で応えないと、ね。さあて取り出したるは何処ぞでかすめ取ってきたバゲット。これを割って! ソースをたっぷり付けた肉を挟んで! おぉ目が丸いのう弟殿。美味いんだよコレ。さ、食べてごらん。


「……うわ、おいしい」


 よっしゃメシの顔頂き! けけけ、やはり男よのう。上手い飯には勝てぬであろう……ってあぁ。もう、だからってそんながっついたらあかんやろ。ほら。


「アレウス、口。ソースがついてるわよ。急いで食べるから」

「え? あ、そ、それはすいません。いま……あれ、どこだろう」


 そこじゃないし。そっちでもないって……ああもう! ちょっと動くなお前!


「ここ、よ。ほら」

「あ、わわ」


 ったく、折角のカワイイ系美少年が台無しに……いや、ちょっとのソースくらいならそれも魅力になりえるのか? まぁ、それはいいや。


「できた、と」

「あ、えっと、その。ありがとうございます。メタリア……ねえさん」

「もう。気を付けなさい。後、これ」

「え、それは貴方のハンカチじゃ」

「その調子だと、自分のハンカチだけじゃ足りなさそうだからね。一応持っておきなさい」


 そろそろあんたたち二人を見に、いろいろ押し寄せてくると思うからね。まぁ、恥をかくのは嫌だろうから、ちょっとくらいは、ね?


「……ありがとう、ございます」

「ん。じゃあ、食事再開と行きましょうか。食べられるときに、食べときなさいな」


基本的に主人公はその場その場を凌いでいるだけで、意外と大局は大人が仕切っている、という感じの話。

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[一言] 周囲の大人たちが魅力的なのは、読んでて楽しいデスヽ(゜∀゜)ノ
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