3‐19 因縁の対決
……ブン、ブン、ブン。
「はつ!はっ!はっ!相変わらず、すばしっこい奴め!」
先に仕掛けたのはマターだった。
「ほっ、ほっ、ほっ。あなたの攻撃が遅いのですよ」
セバスはそれを意図も簡単に躱していく。
シルアの大食い大会が終わってから甘い物を食べたいと言うので本選の最初を見ていなかった。
見てれば良かったと少し後悔を覚える。
「これならどうじゃ!」
マターはさっきのように魔法障壁を使い空高く飛ぶ。
「無駄な事を」
セバスは自分を覆うように魔法障壁を張る。確かにその方が得策だ。
……ガンッ。
マターの攻撃はしっかりガードされてしまう。
「ほっ!」
セバスは空中から攻撃して来たマターを弾き返す。
「うぉ!?」
マターは弾かれ体制を崩したが、咄嗟に魔法障壁を後ろに張り場外になるのを防いだ。
「けっ、いけ好かない野郎だ。いつもいつも儂の攻撃を防ぎおって、一回くらい素直に当たったらどうじゃ」
マターは何やら怒っているようだ。試合を始める前もよく喋っていたし知り合いなのか?
「あなたの攻撃なんて当たりたくありません。大体、いつもいつも同じ攻撃ばかりじゃないですか」
セバスがため息をついている。疲れたのだろうか。
「あ!あれはなんじゃ!?」
マターが右を指差す。
「いかがなさいました?」
セバスは左を向く。
「隙あり!」
マターはセバスに攻撃を仕掛ける。
どうなら、虚言だったみたいだ……。大人げない。
……カンッ。
だがそれもセバスは軽やかに防いでしまう。
「バレバレな嘘はやめてくださいね。あなたはいつも私に勝てなくなると言い訳をします。お孫さんが見たら悲しむでしょう」
「う、うるさい!孫は用事で今日は来ておらん!」
「左様ですか……ならば手加減無用です、ね!」
セバスは木剣を振るうと刃のような物が放たれる。
「なんだあれ魔法か!?」
俺は驚く。あれが魔法からセバスは失格だろう。
「いや、あれは魔法じゃない……まさか、あの技を使う人が親方以外に居るとはな」
ガンさんも驚いている。
「あれは一体何なんですか?」
「あれはな気を集中させて繰り出す一撃なんだ」
気?そう言えば、武術家も気を操り攻撃する人もいるって聞いた事があるな。
……ガシャン。
セバスの放った攻撃をマターは魔法障壁でガードしていた。
「お前さん少し訛ったんじゃないか?こんな攻撃で儂を倒せると思ったのか?最近、田舎暮らしを楽しんでるせいで……」
バタッ。
マターは何か言いかけてる途中で倒れてしまう。
ざわめく観客。
『ミステリーセバスの勝利だぁぁぁぁああ!』
\うおおおおおお!/
今日一盛り上がっている。
「ふぅ、覆面を付けるのも疲れますね」
セバスは覆面を外す。
「爺や!?」
セシアが前のめりに驚いている。ここまで驚くセシアを初めて見た。
「そうだ、思い出した!パラクリントに昔、気を操れる人が居たと聞いている。そして、それが親方の師匠に当たる方だとも……」
なるほど。それがセバスもとい、爺やだったわけだ。しかもミシュさんの師匠だとはな。世間は狭いな。
「はぁ、それならじいちゃんも勝てないわけだ……」
じいちゃん?ガンさんは、店主の事をじいちゃんって呼んでいた気がする。
救護班がマターを担架で担ごうとする。その時に覆面が落ちる。
「え!?おじさん!?」
ミスタードライマターは乾物屋の店主だったとは。
「坊主もじいちゃんが出場するって聞いてなかったのか?」
「は、はい……」
最近は稽古で忙しかったので乾物屋に顔を出すことがなかったので分からなかった。ミシュさんにも内緒で出場したのかな?爺やもそうだけど覆面を付けて出たって事は身内にバレたら止められると思ったのかも知れないな。
おじさんは気を失ったが救護班が担架に運んですぐに目を覚ました。どこも怪我をしてないらしくて良かった。
『これで剣術大会、最年長の部を終了するぜえええ!次は中年の部だあ!盛り上げていこうぜえ!』
とりあえず最年長の部が終わった。自分の番が徐々に迫ってきて再び緊張を覚える。




