3‐18 剣術大会本戦
……ダン、ダン、ダン。
剣術大会本選。今はガンさんが戦っている。流石最年長の部だけあって、攻撃に重みがある。あんなの受けたら俺だったら一発で木剣を離してしまいそうだ。
「おおおりゃあああ!」
ガンさんが縦に連続して攻撃を仕掛ける。
……カン、カン、カン、カン、カン!
赤い覆面を被った相手の老人を場外ギリギリまで追い詰めた。
「いけええぇええ!」
ガンさんが二ノ型を繰り出そうとしている。
「ほっ!」
『ミスタードライマターが飛んだあああ!』
「なに!?」
飛んだ!?老人は三メートルほど飛んでいる。予選で見た時は腰が曲がって大丈夫かと思っていたが、本選まで勝ち上がってきてるんだ、相当強いのかも知れない。
よく見たら魔法障壁を台にして飛んだようだ。もちろん着地も魔法障壁を使っている。なるほどな。強度を弱めるとああいう使い方も出来るのか……。長年の鍛錬の賜物だろう。もし、使えるようなら使ってみよう。
「ハァ、ハァ……誰か知らないが、じいさん、やるじゃねえか!」
ガンさんがまた老人を場外に追い詰めようとひたすら攻撃を繰り出す。
……カン、ボン、タン。
老人はガンさんの攻撃を流れるよう受け止める。次第にガンさんが疲弊していくのが見て分かる。
「まだまだ修行が足りんようじゃな?ミシュにもっとお願いしておこう」
老人はガンさんに何か喋っている。覆面で被われているせいで観客席だと何を言っているか分からない。
「あ、あんたは!?」
ガンさんが驚いている。知り合いだったのか?
「ほほほ。ようやく気づいたのか?じゃが遅い!」
老人は空高く飛び上がり後ろに回り込もうとする。
「後ろ!?」
ガンさんはすかさず後ろに向き体制を立て直す。
「甘いの」
どうやらそれは悪手だったらしい、後ろに行くと見せかけて前に戻ってくる。
…コツン。
老人はガンさんの首を軽く叩く。
動きが凄いだけで攻撃は大した事がないのか?
あれじゃネズミ一匹倒せないだろう。
…バタン!
そう思っていたがガンさんはいきなりうつ伏せで倒れる。
「ガンさん!?」
俺は叫んでいた。
観客は突然の事だったので静まり返っている。
『 ミスタードライマターの勝利だぁぁああ!』
「「うおおおおおお!」」
マイケルさんが老人の勝利を宣言すると会場は歓喜の声が響く。
「まさか、あのガンさんかやられるなんてな……」
「うん、とってもびっくりしちゃったよお」
俺はセシアに話しかけていた。セシアもかなり驚いているようだ。他のみんなも驚いていた。
「ルレン、ミスタードライマターについて何か知ってるか?」
「いえ、初めて聞きました。あそこまで強いなら優勝でしょうね」
俗物のルレンにも聞いてみたが知らないようだ。確かにガンさんを一撃で倒してしまうほどだ、優勝候補だろうな。
その前に行われてた試合を見ていなかったのでそう思っていた。
『続いては最年長の部、決勝戦だあぁぁぁあ!今試合最年長!ミスタードライマター!対するお相手は謎の執事!ミステリーセバスだ!』
どちらもガンさんより明らかに年上だし実力も上だろう。少しでも本選で実践できるように技を盗まないと。
「ほほ。久しぶりじゃの?ミステリーセバス」
「そうですね。ミスタードライマター。十年ぶりですか?」
何やら二人で話をしているようだ。どちらも覆面を付けているので顔が見えない。達人になると覆面を付けるものなのか?
「ほう。そんなに経っておったか。相変わらず顔が読めんやつじゃない」
「それは覆面付けているのでお互い様じゃないですか」
会話は聞こえないがバチバチと目から火花が出てぶつかっている様な錯覚を覚える。
「九十九敗、九十九勝、今年こそ決着を着けてやる!」
「私の方が勝っていると思いますが、まぁいいでしょう。今回も勝たせてもらいます」
『それでは最年長の部、決勝戦、開始だああああ!』
……パァ────ン。




