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べギアと鍵と少女と。  作者: あさり
2年夏
80/85

3‐17 大食い大会本戦

 パラクリント祭二日目。

 今回は予選と違い、一部門ずつ試合を行う。順番は中年の部、最年長の部、最年少の部だ。

 なので、午前中は時間がある。

 今日はシルアが出る大食い大会本選の日だ。午前中にやるという事なので応援に来ている。


 予選を勝ち抜いた人がズラリと並ぶ中で一人だけ小さくて勝てるのか不安そうになるやつが居る。もちろんシルアだ。

 

 「シルアー!無理だけはするなよー!」

 観客席からシルアに声をかける。


 「ぎょいー」

 どうやら聞こえたみたいだな。手を挙げて答えている。

 ここに来る時も沢山食べていたから無理して吐かないで欲しい。エマ先生みたいにな。大食い大会予選が終わって宿屋に着いた瞬間に盛大に吐いていた。何度エマ先生が吐くのを見ればいい事やら……。


 『さぁ!大食い大会本選の開始だー!予選を勝ち抜いた三名と大食い歴代チャンピオン三名の六名で戦う!今年のチャンピオンになるのは誰だー!』

 マイケルさんが実況するみたいだな。よくあんなハイテンションで疲れないよな。


 『 予選はラーメンでしたが、本選はコレだぁー!!』

 そこに出てきたのは大皿に盛られた唐揚げだった。


 「からあげー!!」

 シルアが目を輝かせている。こいつほんとに唐揚げ好きだよな。

 

 『シルアちゃんが興奮していますね?好物でしょうか?』

 「ぎょい!大好物!」

 犬だったら尻尾を振りながら言っているだろうな。


 『さっそく始めるぞー!用意はいいかー!』

 観客も出場者も盛り上がる



 ……パンッ!

 『スタートダぁぁぁ!』

 大食い大会本選が始まる。


 ルールは簡単。制限時間は三十分。一番多く食べた人の勝利だ。 

 シルア意外の人はみんな体格がいい。そりゃそうか、年齢もシルアより倍以上の人が多い。


 ……もぐもぐもぐ。

 そんな事をお構い無しにシルアはマイペースに食べ進める。

 流石大好物の唐揚げだけあって前回よりスピードが早いな?


 『おおっと!?シルアちゃんぶっちぎりだあああ!』


 あの調子なら優勝確定だろうな。

 安心して見ていたその時だった。


 『まさかまさかの、ヘキトネがシルアちゃんに追いついたあああぁぁ!』

 両者を応援する声援が聞こえる。


 「まさか、あのヘキトネさんが出ているとは……」

 ルレンが額に汗を浮かべ驚いている。

 「ヘキトネって誰なんだ?」

 大食いに興味が無いのでさっぱり分からない。


 「ヘキトネさんはですね──」

 ルレンが説明してくれる。七年前、パラクリント祭に彗星の如く現れ、圧倒的な差を付けて優勝したそうだ。その年から三年連続で優勝し次も出場するだろうと思っていたが、ぱったり姿を見せなくなったと言っていた。観光雑誌も買っていたりしたし、ルレンって結構俗物だよな。俺が疎いだけか?

 

 ルレンが説明してくれている間に残り時間十分となった。 


 『勝負も佳境に突入だぁー!勝つのは歴代のチャンピオン、ヘキトネか!期待のダークホース、シルアちゃんかあああ!』


 息を飲む。頑張れシルア!



 ……ゴ────ン。


 終了の合図が鳴る。


 果たして結果は……。


 『なんと今回の優勝者はシルアちゃんだあああ!コングラチュレーション!』

 「「おおおおおおお!」」


 見事シルアが優勝した。ヘキトネさんとはかなりの僅差だった。


 『シルアちゃん。おめでとう!優勝した気持ちはいかがですか?』

 『唐揚げ美味しかった。でもべギアの作る唐揚げの方が美味しい』

 「「だははははは」」

 会場に笑いが起きる。俺の名前を出されると恥ずかしいんだが。


 『べギアって名前はもしかして剣術大会に出ていた?』 

 『ぎょい。べギアのご飯美味しい』


 優勝した嬉しさより俺のご飯が美味しいって言っている方が嬉しそうだな。


 そんなこんなでシルアはパラクリント祭大食い大会で見事優勝した。

 ちなみに優勝者には金一封と一年間パラクリントの飲食店で食べ放題券だった。凄く喜んでいた。

 

 そして、もう一つ景品って言っていいのか分からないが、マイケルさんを呼べる権利だった。シルアは嫌がっていたが、もしかしたら何かに使えるかも知れないと思って貰っておいた。

 有効期限は無いらしいので、いつか使える日が来るといいな。最悪誰かに譲渡しても良いだろう。

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