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べギアと鍵と少女と。  作者: あさり
2年夏
67/85

3‐4 魔法実技テスト

テストが始まります。

 テスト期間が始まり、三日が経った。魔法の筆記は、みんなの協力もあり赤点は回避したと思う。

 でも問題は実技だ。これからその実技試験が始まろうとしている。


 「次はべギア君です。制限時間は一分。準備はよろしいですか?」

 セレーナ先生が確認してくる。

 「はい!」

 ここは、魔法訓練所の反対側に聳える。魔法試験棟だ。

 今回からルールが少し変わったようで、前から四・二・三・の九つの的があるのは変わらないらしいが、穴からその的がランダムに出るようになった。

 さらに魔法の精度を知るためだ。


 「始め!!」

 開始の合図をする。

 「べギアくん!頑張って!」

 それと同時にみんなの応援が聞こえてきた。夏休みのためにも頑張らないと!


 まず初めに出てきたのは一番手前の左の的だ。

 「当たれぇええ!アイシクルフィロス!」

 俺は早速氷魔法を出す。勢いよくそれは的目掛けて飛んで行く。あれだけ練習したんだ、最初は当たってくれよ!

 その俺の願いは叶うことなく魔法は外れて行く。

 「あぁ……」

 あんなに練習しても当たらないなんて。


 「お兄ちゃん、次です!」

 ルナが励ましてくれる。そうだな、次の的に集中しないと。

 次は一番後ろの右の的が出てくる。

 「いけぇええ!」

 狙いを定めて魔法を放つが、また外してしまう。


 「べギアくん!」

 セシアが心配して声を掛けてくれる。

 そうこうしていると残り時間十秒となる。未だに俺は一つも当てる事出来ないでいた。

 このままでは夏休み無しか!?

 そう思っていたら的が九つ全部出てきた。


 「えぇ!?」

 驚く一同。穴からランダムで出ているのでこういう事もあるらしい。さっきやってる時は三つ一気に出ていた。

 時間が無い。ここで決めないと!

 九つも的があるので片手じゃダメだ。


 俺は両手を前に出し目を瞑り集中する。


 セシアがやってたあの魔法使えそうか?同じ風魔法ならいけるかもしれない。


 「いっけえぇええ!ウィンドダスト!」

 俺は両手の指先から風を出した。

 アーバイトウィンドより弱い風が飛んで行く。弱いけれど的に命中させるには十分だろう。


 「あたれぇええ!」

 俺は声に力を込めて叫ぶ。

 

 …………ビュウン!


 俺の魔法は的に当たる前に無残に消えてしまった。


 「そこまで!」

 セレーナ先生が終了の合図をする。

 あぁ……終わった。俺の夏休み。その場に崩れ込む。


 「べ、べギアくん!落ち込まないで、ね?」

 セシアが慰めてくれる。

 「ごめんセシア、あんなに一緒に練習してくれたのに一つも当たらなかったよ」

 セシアもテスト勉強で忙しかっただろうに自分の時間をわざわざ割いて見てくれてたんだ、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 「だ、大丈夫ですよ、べギアさん!まだ筆記の結果も出ていないので筆記が良ければ何とかなりますよ!」

 うん、筆記が良かったらね。実技も自信満々でやってこれだったから筆記は全問正解とかじゃなければ無理だろう。

 みんながそれぞれ慰めてくれたが、夏休みが無くなるのは非常に悲しい。ミリーナに会ったり、ミシュさんにも会ったりしたかった。


 「何をしてるのですか?」

 セレーナ先生がこちらを見ている。次の人の番もあるし邪魔になるから退けて欲しいのだろう。

 「すいませんセレーナ先生、今退けますね」

 俺は立ち上がり退けようとする。

 「いえ、そうではありません。的を良くご覧なさい」

 セレーナが杖で的を差す。

 そこには9つとも微かだが的に当たっている形跡があった。


 「うわぁ!やりましたね!べギア君!」

 会長やみんなが両手を上げて喜んでくれる。

 はぁ、当たってくれて良かった……。


 「筆記の結果と加味をして決めますが、実技はギリギリ合格と言ったところでしょう。よく頑張りましたね」

 「ありがとうございます!」

 偶然命中したけど魔法の事で先生に褒められたのが初めてだったので嬉しい。

 

 俺達は魔法試験棟を後にした。

そしてテストが終わります。

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