2-29 アイシクルフィロス
果たしてべギアくんはギルネに勝てるのか!
…………ドンッ。
ドアが開く音がした。
「フン、ここにいたのか。さっさと死ねぇ!」
ギルネは両手から黒い雷を出す。
「喰らえ!アーバイトウィンド!」
まずは風魔法で相殺する。
そして、風を出す時より魔力を右手に込める。
「凍れぇぇぇぇぇえ!アイシクルフィロス!」
鍵が紺碧に光る。手が少しだけひんやりしてきて、氷の刃がギルネ達へ向かう。
「うぎゃあああああ」
氷はギルネの出したカミナリを貫通して行く。
ギルネ達は背中を向けて逃げて行ったのでターゲットも壊れていた。
「よし!」
俺は嬉しくてガッツポーズを決める。
そこで終了の合図が鳴った。
拠点に戻って確認する。
「えー、青チーム生存者六人、赤チーム生存者五人。よって青チームの勝利だ!」
「うおぉぉぉぉおおおお!」
俺達は喜びあった。
最後に2人を倒したのは大きかっただろう。
普段俺とは話さない人も俺のことを褒めてくれた。
「エマ先生から報告があったが、まさかベストに細工をされていたとはな。こちらの不備だ、許して欲しい」
先生が頭を下げる。
「気にしないでください。こちらもあまり活躍してませんがエマ先生も一緒に参加してくれたので」
何より勝てたのは嬉しい。後、まぐれだけど氷魔法も使えたし。
「べべべべギア君!?先生ちゃんと活躍したよね?ね?」
エマ先生が聞いてくるが苦笑いで返しておこう。反応が可愛いからな。
契約魔法は聞いた事あったけど実際使ってる人を見たのは初めてだったな。
俺もいつかは使い魔を連れて歩くことは出来るのだろうか?
あとで聞いてみよう。
実習訓練を終え、俺達はいつものメンツでリル姉の宿屋で祝賀をしていた。
もちろんエマ先生もいる。
「「かんぱ〜い!」」
未成年なのでお酒は飲めないから例のあのジュースだ。
パラクリント中で大人気なので宿屋でも提供している。
「はい、いっぱいお食べ」
サイハネ叔母さんがご飯を運んできてくれる。
「ありがとう叔母さん。そう言えば、叔母さん元気だった?」
サイハネ叔母さんとは昨日忙しかったらしくて会えなかったので、パラクリントに来てから初めて会う。
「えぇ、ラビアに居る時よりずっと元気よ!べギアが小さかったのに置いて行ってしまって済まなかったねぇ」
力こぶを作って見せてくれる叔母さん。元気そうでなによりだ。未だに昔の事を気にしてるみたいだった。
「昔の事だから気にしないでよ叔母さん。セシアもルレンも居たから寂しくはなかったし、おかげで自炊も出来るようになったしな!」
叔母さんとリル姉が出て行った十年前は確かに寂しい気持ちもあったが、今こうして会えたからそれで良いだろう。
パラクリントで叔母さんとリル姉に会ったって行ったら飛びついてきそうだなら叔父さんには言えないな。
そして、今日の実習訓練の話になる。
「開始と同時に壊れた時は、どうなるかと思いましたよ」
「うん、びっくりしちゃったよぉ」
「まさか、不正だとわかっても続行しようなんて思う先生が居るとは思わなかったよな。」
俺はエマ先生を横目で見ながら喋る。
「生徒の不正を正すのが先生なのです!」
「ほんとの所はどうなんですか?」
ルナがエマ先生に聞いてる。なんとなく言わなくても分かるけどな。
「魔強間してる姿を見てて楽しそうだなって思ったんです!後、ベストも少ししか着れないのが嫌だったんです!悪いですか!」
反抗期の子供みたいな反応だ。
「だいたいですね、なんですか!あんまり活躍してない先生って!あそこに私が居なかったら不正だと証言できる人は居なかったんじゃないですか!ひっく」
確かにあそこにエマ先生が居なければ俺達が言っても他の先生は信じなかったかもしれない。
「それになんですか、私ほとんど索敵しかしてなくて、全然前に出させてくれなかったじゃないですか!これでも一応学園の先生なんですからね!もっと頼ってください!ひっく」
さっきからエマ先生がおかしい。
しかも、酒臭い気がする。
「なぁリル姉。エマ先生が飲んでるのってもしかして…。」
「先生が飲みたいって言っていたのでお酒なの。スライムミルクティーにお酒が入ってるの。この宿屋の看板メニューなのよ!でもお酒は、そんなに入れてないの」
変だと思ってたらお酒だったか……。
エマ先生が眠るまで永遠と小言を聞かされた。
お酒が弱いのに飲んでいたとは。次何かやる時があったらお酒は飲ませないようにしよう。
そうして、実習訓練は終わりを迎えた。
ダメな先生って萌える。




