2-23 意外な犯人
犯人を追いかけます。
「どこから声がした!?」
俺はみんなに聞いてみた。
「お兄ちゃん!こっちから聞こえましたよ!」
ルナが指を差し叫ぶ。
俺達は無言で見つめ合い頷き、その場へ向かう。
「大丈夫ですか!?」
俺は倒れている女の人に声を掛ける。
「えぇ、でも私のバックが!」
どうやらバックを盗まれたようだ。
「犯人の容姿とかは分かりますか?」
セシアが詳しく聞いていた。
「来てるのが分からなかったので、そんなに大きくなかったと思います。繁華街を真っ直ぐ抜けていきました。ちなみにバックの色はピンクです」
女性が犯人の容姿とバックの色を伝える。
「わかりました!俺達で探してみます!」
そう言うと女性は安心したような顔をする。
「セシア、会長、ルナ!この人の近くにいてやってくれ、エマ先生!悪いけど騎士団の人にこの事を連絡してくれ!」
よく見るとこの女性は手に指輪を何個か付けている。
金目のものだとわかると、また狙ってくるかもしれない。
「ルレン、行くぞ!」
「はい!」
俺とルレンは犯人が逃げたであろう住宅街へと走る。
街ゆく人にピンクのバックを持った人が居なかったか聞いて回る。
途中までは目撃者が居たが、だんだん目撃者は居なくなってしまった。
中身だけ出して捨てられてしまったか?いや、バックも相当高く売れそうだからそんな事しないはずだ。
分かれ道になっており、ルレンと二手に分かれて探そうかと思ったら左の方から声がした。
「あんた何やってるの!早く返してきなさいなの!」
ん?返してきなさい?
俺とルレンは互いに見つめ頷く。
音を立てないようにゆっくりとその声がした方へ歩いて行く。
辿り着いた先は1件の小さな宿屋だった。
7歳くらいの子がボコボコにされていた。
あれだけ殴られたら痛いだろうなぁ。
殴った親の顔が見てみたい。
「あら?お客さんですの?お見苦しい所をお見せしてしまいましたですの。」
なんとなく喋りに聞き覚えがある。
髪色もどこか懐かしい感じがする。
ってあれ!?
「うえぇぇえ?!リル姉!?」
俺は挨拶するのも忘れて驚いた。
「もしや……べギアですの!? ついこの間までは、こんな小さかったの。」
両手で表してるがそれ赤ちゃんくらいの大きさしかないよ。
「それでその子はリル姉の子供?」
さすがに20歳のリル姉の子供にしては大きい、もしかしたら、サイハネ叔母さんの子か?
「私の子供ではないの、もちろんお母さんの子供でもないの。一週間くらい前にうちの前で倒れていたから面倒見てるの。…それが困ったことに、泥棒してきたの!」
よく見たらピンク色のバックを持っている。この子がひったくりの犯人らしい。
「あー、ちょうど俺達そのひったくりを探してたんだ。中は大丈夫か?落ちてたって事にして俺がそのまま届けるよ」
「ダメ!お世話になってるから、これはリルにプレゼントする!」
きっとそのバックをプレゼントしてリル姉に恩返ししたかったんだろうな。
泥棒は良くないが、何か役に立ちたかったんだろう。
「それはいけないの!ちゃんと謝りに行かせるの!」
こういう所は父親に似てしっかりしている。
「ミリーナ良いわね?」
リル姉がミリーナと呼ばれてる子に回復してあげながら言い聞かせる。
断ったらまたボコボコにされると思ったのか首を縦に何度も振る。
「私は宿の事で手が離せないの。悪いけど、あそこに居るお兄ちゃんと行ってくださる?私の弟みたいなものなの。」
「うん……。お兄ちゃんよろしく」
ミリーナは帽子を取ってお辞儀した。
男の子だと思っていたけど、女の子だったとは。
リル姉容赦ないな……。
俺達は元いた繁華街へ戻ってきて、女性に事情を説明してバックを返した。
怒るかと思ったけど素直に許してくれた。
最後にはお姉ちゃんにコレをと言って自分の着けていた指輪を1つミリーナにあげようとしていた。
流石に悪いと思ったのかミリーナは断ってたけどな。
そして、ミリーナを連れて宿屋に戻ってきた。
やっとリル姉が登場です。
父親に似て怪力の持ち主かも知れません。
もしかしたら、父親より強いなんて事も……




