1-3 初めての魔法
鍵を手に入れたべギア!ついに魔法が!?
「セシアが得意だった魔法」から「母さんが得意だった魔法」に変えました。
確か、母さんが得意だった魔法があったけど、どんな呪文だったか…まさか鍵が持てる日が来ると思ってなくて、ひとつも呪文覚えてないぞ!?
「アーバイトウィンド」
シルアがぼそっとそう言った。
「それだ!でもなんでわかった?声に出してなかったよな!?」
「なんとなく」
そんな事より今は目の前のドラゴンだ!
「いくぜ、ドラゴン! アーバイトウィンド!」
こんな危機感の中で初めて魔法使いたくなかったな…
放たれた風の刃はドラゴンの両翼に命中し、飛べなくなったのと同時に戦意も喪失させた。
「ハァハァ、なんとなかった……のか?」
「たぶん」
相変わらずシルアの返答は短い。
「おい、ドラゴン!殺られたくなかったら大人しく巣に戻れ!」
炎を吐かれたらこっちが終わりなんですけどね。でも今は弱気になっては、いけないと思った。
俺がそう言うと、ドラゴンは立ち上がろうとするが翼のダメージが大きかったのか飛べないでいた。
「あー……回復魔法なんだったかな」
と悩んでいると。
「シルアがやる」
「魔法使えなかったんじゃ?」
さっきそう言ってた気がする。
「思い出した」
おいおいおい、思い出したって記憶喪失かよ!?それとも攻撃魔法使いたくなかっただけか?いや、シルアならめんどくさかっただけかもしれない……初めてだからかさっきの魔法はすごい疲れた。考えるのやめよ。山登るより体力使ったぞ……。
「ブランヒーリング」
などと俺が思っていると、白く暖かい光がドラゴンを包んだ。
「ガオオオォーン!」
さっきより元気になってないか?また襲って来ないと良いけど…
「今度、人に危害を加えたら そんなもんじゃ済まないからな!」
「ガウ!」
おう!と言わんばかりの咆哮だった。少し耳が痛い。
「それじゃ、元気でな!」
「ガウーン」
ドラゴンは元気に巣へと帰って行った。
最後、舐められたんですけど!?せっかく乾き始めてた体が、また濡れてしまった!
しかも、今度はベトベトって!?はぁ、そこの滝で洗い流そう……。
ドラゴンのヨダレって胃酸強そう…(震え声)