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ロストマジック  作者: 響勇
3/4

作戦会議

遅くなってすみません


「おっはよー将真ってもう夜だけど

 見張りご苦労さん

 そろそろこの場所も捨てて移動しよっか」

「なぁ友和…」

「どうしたんだい将真?」

「この財布、どういうことだ?」

「あっ…」

 友和の笑顔が凍りついた

「ごめんな友和、お前が必死にバイトして貯めた金だろ?」

「…気にするなよ

 僕は自分の意思で君を助けたんだ、君が気に病むことじゃないよ。

 それよりお金が尽きかけてるんだ。これからどうするかを話しあおうよ」

「ああ…取り敢えず状況を整理しよう

 今、俺たちが置かれている状況、

 一つ、魔女狩りの存在だ、今はまだ見つかってないけど見つかるのは時間の問題だろう

 二つ、俺たちが今いるのは巨大な森の一角にある小さな山小屋、だけどここにももう三日も留まった、そろそろ危険になるだろう。

 三つ、食料が残りどう削っても後1日、あるかどうかだ。買い足す金もない、だからといって食料なしで逃げ続けられるとは思えない。」

「魔女狩りに見つかるのが時間の問題?

 なんでそうなるんだい

 この山は僕たちが入った山から五つも離れてるじゃないか、流石にそう簡単には見つからないと思うけど…」

「いや、俺たちが最初に入った山は魔女狩りに知られているんだ、そこから歩いて行ける範囲なんて限られている、この山だって恐らくもうバレているだろう」

「なぜ?街に降りて逃げているかもしれないじゃないか」

「街中ならほぼ確実に痕跡が残る、監視カメラの映像とかでな

 だが、俺はその映像には映ってない。当たり前だ、買い物などは全て君に任せていたからな。そうなると必然的に俺の行動範囲は絞られているはずだ。

 そしてその行動範囲の中で俺がいる可能性が一番高いのはこの山になるだろう。

 まぁネットカフェやビジネスホテルなんて可能性もあるかもしれないが、そっちだともっと簡単に調べがつくからな」

「成る程、さすが優等生の将真!

 だけど改めて確認してみると将真の置かれている状況ってかなり絶望的だよね…」

「他人事みたいに言うなよ、お前は顔を見られたわけじゃないが、俺たちの仲が良かったことや消えた時期が同じことから多分もうバレてんだから…まぁ、俺の所為なんだがな

 だから、気を引き締めていこう」

「了解、で?今の状況で取れる行動は?」

「そうだな、俺たちが今取れる行動は大きく三つある。」

「三つ?」

「あぁ、一つ目は人の家や店に忍び込んで金や食料を調達する。

 二つ目は大人しく魔女狩りに投降する…」

「ロクなのが無いね、三つ目は?」

「これは正直めちゃくちゃな案だと思う。

 が、今俺らに取れる行動の中で唯一身も心も汚さなくて済むものだ」

「それは?」

「魔女組合に助けを求める」

「…どう言うことだい?」

「現状、魔女組合は世の中で唯一とも言える魔女に対して友好的で魔女狩りに対抗できる組織だ。

 まぁ、魔女組合が噂通りの集団ならの話だけどな」

「でも、どこにいるかもわからない魔女組合にどうやって助けを求めるんだい?」

「騒ぎお起こすんだ、魔女組合が気付くぐらい。

 そうすれば向こうからでも来てくれるさ」

「危険すぎるよ!

 騒ぎを起こせば確実に魔女狩りも駆けつけてくる、規模の差から考えても魔女狩りの方が早く来るに決まっている!

 それどころか魔女組合は来てくれるかどうかもわからないんだ!

 そんな危険な賭けには出られない…」

「なら泥棒にでも成るのか⁉︎

 リスクは高いが、上手く行けばしばらくは生きられるかもな」

「それは…」

「わかってるだろ?

 そんなことしても結局問題を先送りにするだけだ。

 泥棒したところでいつかはまた金が底をつきまたこの選択を強いられる

 ましてや何かを盗んまででこの生活を続けたいなんて俺はこれっぽっちも思ってない

 それなら!食料も体力も残っている今、やるのがベストなんだ!

 リスク無しで逃げ切れる次元なんてとうの昔に通り越してんだよ!」

「だとしても…」

「無理にとは言わない、俺はお前に助けられている身だからな

 今こうして、俺の居場所を教えればお前だけでも許して貰えるかもしれない

 たとえそうしても俺はお前を恨まないし、これからもずっと友達だ

 だから…だから好きな方を選んでくれ、俺を信じるか、ここで降りるか」

「…僕が最初に言ったこと、忘れたのかい?

 僕は君が助かる道を見つけるまで君について行くさ」

「友和…」

「だけど!ちゃんと計画は立てろ!無駄死にだけは許さない

 僕達は二人で生き残るんだよ

 勘違いしてるようなら言っといてやるよ、僕は自分が捕まりたくないからこの計画に反対したんじゃない、君が危ないから反対したんだ、そこんとこ忘れないでね!」

「…あぁ知ってたさ

 二人で絶対生き残ろう」

「もちろんだ!

 それで…何か案はあるのかい?」

「あぁ、とっておきのがな」

「へぇ、どんな?」

「なぁ友和、スマホの充電残ってるか?」

 

 夜、明日の作戦決行に向け交代で睡眠をとっていた

「まったく、君は無茶なやつだよ」

 友和が将真の寝顔を見ながら言う

「本当は痛くて痛くて、今にも泣き出しそうなくせにそれを表に出さず気丈に振る舞う。

 それを僕が不安にならないようにってするんだから本当に無茶なやつだよ」

 友和は将真の根本から焼き切られた腕を見ながら言う

「ふふ、」

 ついつい、将真の頭を撫でた

 明日の作戦はかなりの危険を伴う、下手すれば二人とも命を落とすかもしれない

 だけど、これ以上いい策も思いつかない、結局この策で行くしかないのだ

「こうしてると、思い出すなー」

 友和は誰にともなく呟く

「僕が小さかった頃、女っぽかったって理由で虐められてた僕を君は迷いもなく助けてくれたね、年上を相手に大喧嘩してボロボロになりながら助けてくれた」

 友和は少しだけ口を止め将真を見る

「その後も君は僕が虐められていたら直ぐに駆けつけて来てくれたね、

 あぁそういえば、僕のことを女の子だって気づかず一緒に風呂に入ろうともしたことあったよね」

 そう、友和は女なのだ、しかし実家の剣術道場の跡取りとなるために男として育てられてきた

「…君はこれまで何度も僕を守ってくれた、だから今度は僕が君を守るばんだ。」

 友和は決意を込めて言った

「たとえ、たとえどんな手を使っても…」



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