Aランク冒険者とカレーライス 上
評価、ブックマークありがとうございます。
昨夜初めて気付いて、夜中に小躍りしました(笑)
俺達は『トライアスラ』Aランクに上がったばかりの冒険者パーティーだ。
この世界の中央大陸フィルムには東西南北に1つづつ、計4つの未踏破ダンジョンが有る。
俺達はAランク昇格記念に10日前からその中の1つであるノースダンジョンに潜っていたのだが……
「だーっくそっ、又ここに戻った。今は下に降りる階段じゃなく上に帰りたいんだっ……バイク大丈夫か?」
斥候役のスイムが俺の肩を借りて歩くバイクを心配そうに覗きこむ。
「すまんバイク、俺が他のパーティーにポーションを分けてしまったから」
「気にするな……ゴホッゴホッ」
「そうそう、あの時はヤバイ雰囲気だったし気にすんなよラン」
俺達がダンジョン20階にあるセーフティエリアにたどり着いた時、3組のパーティーがすでにいた……
ここの部屋には薬草が生えていて
「万が一ポーションを切らした時には此処に行け」
と先輩冒険者に教えられた場所だったが、2組のパーティーに高熱をだした病人が複数いる上、ポーションも使い果たして、生えている薬草を全て摘み取ってしまったらしい……
後から来た、全員が頭からローブをすっぽり被ったパーティーも薬草が欲しかったらしく一触即発の雰囲気になっていた。
「こっちは病人がいるんだ、薬草を使って何が悪い!」
「だからと言って全部摘み取ってしまわなくてもいいだろう、他の人の事も考えろと言っているだけだ」
「じゃあお前らの持っているポーション寄越せよ、ゴホッゴホッ」
「そうだそうだ、偉そうなこと言うんだったら病人の為にお前らの持ってるポーション全部寄越せ!」
「……ポーションは、持っていない」
「けっ、使えねぇ奴等だな。大方此処に来る迄にポーション使い果たしたんだろ、自分の実力も解らねぇ様な奴等が偉そうなこと言うんじゃねぇ」
ダンジョン内のいさかいは周りの人の目が少ない為、エスカレートして犯罪になりやすい。
このままではマズイと思い、俺達の持っていたポーションをその3組のパーティーに分けてやったのだが……
そいつらと別れた3日後バイクが熱をだした、多分アイツ等の病がうつったのだろうが、間の悪いことにその時俺達は、ダンジョンの31階にいた。
このダンジョンの30階より下は、毎日構造が変化する鬼畜仕様で、帰ろうとしても上の階に上がる階段は簡単には見つからず、2日間31階でさ迷っていた。
「なぁラン、バイク、何か良い匂いしないか?」
スイムが鼻をひくひくさせて階段を降り始めた。
「おい、スイム!俺達は上に戻らないといけないのに何下に降りて行こうとしてるんだ」
スイムの肩を掴み、引き留めると
「下から香辛料を使った料理の匂いがする、誰か近くにいるのかも」
「もしかして、近くにセーフティエリアがあるのか?バイクもう少し頑張ってくれ」
「ハァハァ……大丈夫だ……」
ポーションを分けて貰えるかもしれない、バイクの体力も限界に近い。
頼む、誰か居てくれ!
「この辺りから匂い、しないか?」
スイムが立ち止まった辺りは、確かに香辛料の効いた美味そうな料理の匂いがした。
「確かに、しかしセーフティエリアが無いぞ、何でこんな所で?」
辺りを見回していたらスイムが何かを見つけたのか、地面から5㎝程上の壁を蹴れば
「ゴゴゴゴ」
という音と共に壁が動き隠し通路が表れた、しかもその奥の方からは、先程から気になっていた良い匂いが……
「なんだこりゃ~?」
通路を進んだ先の広い空間には、1本の木と一面の薬草の生える中に家が建ち、その家からあの匂いが漂ってきていた。
「こんな場所に住んでる人がいるのか?」
「とにかく、行ってみようぜ」
スイムが家の方に走り出した時
「「コケーッ、コッコッコッ、コケーッ」」
見たことの無い程大きなワイルドコッコが2羽、木から飛び降り、1羽がスイムの背中に蹴りをいれた。
「スイム!」
スイムを助けに行こうとするが、こちらにも1羽が向かって来る。
短くて、すいません。
次の投稿は2月5日の予定です。