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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
ダンジョンの冬
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コタツでミカン

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。

「はぁ、やっぱりこのコタツってのは良いねえ。うちのドワーフ達にも評判が良いんだよ、あの子達は背が低いからテーブルや椅子は普通より低い物を使ってたんだけどね、まさかラグの上に直接座って使うような低い机に布団をかけるだけでこんなに温かくなるなんてね」

 先日遊びに来た時にコタツを気に入ったレッカさんは、サウスダンジョンに帰ってからドワーフの職人さんにコタツを作ってもらったそうで、今ドワーフの村ではコタツが大ブームらしいです。


「もっと寒くなったら、この机の裏に熱を出す装置がついてるんですよ。ドワーフの職人さんなら魔石を加工して、そんな装置が作れるんじゃないかってレオンが言ってましたよ」

 この前はちらっと見ていかれただけなので、今回はコタツをひっくり返して発熱装置の部分もお見せしたら、

「ふむ、ここから熱を発するんだね。でもあまり熱いと火事や火傷の恐れがあるからね……ふむふむ、ドワーフ達の研究心に火をつけそうだねこれは」

 なんて、楽しそうに確認している、ドワーフの旦那様の影響かレッカさんも魔道具(家の場合は家電製品だけど)に興味が有るんだって。


「レッカしゃん、コタツもうはいってい~い?」

 レイちゃんがみかんと絵本を抱えて、コタツが使えるのを待ってます……レオンとレイちゃんも、コタツを凄く気に入っちゃったんですよね、一度入ったら出たがらない位。

「あぁすまないね、もういいよ」

 今もコタツ机を元に戻した途端、レイちゃんがコタツの中に潜り込んじゃいました。

「レッカしゃん、おみかんどーじょ」

「ありがとうね」

 皆でみかんを食べてのんびりしていたら、あっという間にお昼ご飯の用意をする時間に、

「簡単な物しかできませんが、レッカさんも食べていかれますよね。準備する間レイちゃんをお願いしてもいいですか?」

「悪いねえ、ここは居心地が良いからつい長居しちゃって。レイちゃんは見とくから、安心しな」


 冬はいったん答えたに入ると、外に出たくなくなっちゃって困るんだよね……っといけない、そろそろレオンも帰ってくるし、手早くキムチチャーハンと野菜スープにしよう。

 獣人族の村で今年はたくさんとれたという、白菜を浅漬けにしてキムチの素をあえた、お手軽キムチと甘い卵、オーク肉の薄切りで作るキムチチャーハンは、最後にちょっと入れるめんつゆが味の決め手です。

 後は大根、人参、玉ねぎ入りの薄味コンソメスープと、ブロッコリーをレンジでチンしてマヨネーズとケチャップで作るオーロラソースをかけたのでいいかな?


 チャーハンを皿に盛ろうとしてたら、玄関からレオンの声が聞こえてきました、ナイスタイミング!

「ただいま。腹減ったー、良い匂いだなあ」

「とーしゃま、おかえりなしゃーい。レッカしゃん、いるよ~」

 テーブルに料理を並べていると、廊下を歩いてくる足音と一緒に、レオンとレッカさんの話し声が聞こえてきます。

「あぁあ? レッカ、また来てんのか?」

「来てて悪かったねえ。ちょっと頼みがあるんだよ、代わりにほれ、レオンの好きな火酒を持ってきたからさ」


 レッカさんは何かお話しがあるようですが、冷めたチャーハンは不味いですから、先にご飯にしませんか?

「皆さんご飯が出来ましたよ~、さあ召し上がれ」

「せっかくの料理が冷めたら勿体ない、そうさせてもらおうかね」

「そうだな、腹減ったしな」

 話は後でする事に決まったようなので、いただきます。


「レイちゃんのはキムチ少なめにしたけど、辛くない? 無理なら白いご飯もあるからね」

「だいじょ~ぶ、あかいのピリピリするけど、たまごがあまくておいし~の」

 ほんのり赤いキムチチャーハンを、スプーンでもりもり食べながら、レイちゃんがにぱって笑うのに安心してレッカさんの方を見れば、

「これは、シロマキ(白菜)の塩漬けかい? 辛い塩漬けとはね……しかもマイと一緒に炒めるとは、面白い食べかただねえ」

 うんうん頷きながら結構な早さで食べてるから、レッカさんも気に入ってくれたかな?

 レオンはさっきから無言でばくばく食べてるし、前に豚キムチ炒めを出したら凄く喜んでたから、これも好きだと思ってたんだ。


 野菜スープも、ブロッコリーも濃いめのチャーハンの箸休めに良い感じね、レイちゃんはさっきからブロッコリーとにらみ合ってます、

「う~……ぶっころりー、たべなきゃダメ~?」

 ぶっころりーって言い間違いが可愛いし、苦手なのは分かるけどね。

「うん、1個だけ頑張ってみよう。花の食感が苦手なら、軸の部分だけでも良いよ」

 ……ぱくっ、もぐもぐ……ごくん。

「ぷはぁー……あれ? じくはおいし~?」

「ふふふ、えらいえらい。オーロラソースで青臭さも減って、軸だけなら食感も、もそもそしないから食べやすかったでしょう」

 目を瞑って、えいやっとブロッコリーを食べたレイちゃんの頭をなでなでしていたら、レッカさんがニコニコ笑ってこちらを見てました。

「苦手な物も上手く食べさせるもんだね、サクラちゃんは良い母親だね」

「私も小さい頃は好き嫌い有りましたから、母がしてくれたことを真似しているだけですよ」

 良い母親なんてと照れてたら、レオンまで私の頭を撫でて、

「サクラは良い母親で、良い奥さんだ」

 なんて、嬉しいけど顔が熱い。


 食事の後、コタツで話し始めた二人にお茶を用意していると、レッカさんがカバンから取り出したお酒を見たレオンが、

「おっ、ドワーフの火酒じゃねえか……ってまさか、また腐り水か!」

「ああ、今度のは色も変でね。しかも村の中に湧いて出たんだよ、ドワーフ達は近付くのも嫌がっててね。悪いが、また頼めないかね」

 目を輝かせてお酒を喜んだのも束の間、続いたレッカさんの言葉にレオンは顔をしかめてる。

 サウスダンジョンって火山の中にあるんだよね、腐り水ってまさか温泉だったりしないよね……お茶を出しにきた私が変な顔をしていたからか、レッカさんが詳しく話してくれました。


「ドワーフの村外れの森に、卵の腐ったような臭いの水が湧き出したんだよ。しかも、湧き出てしばらくすると水の色が白く濁ってきてね、毒では無いと鑑定ではでたもののドワーフ達も気味悪がっててね」

「100年位前のダンジョン内に腐り水が湧いた時は、変なガスも出て魔物や冒険者が死んだりしたからな。その話が残ってるだろうから、気味悪がっても仕方ねえか」

 って、やっぱり温泉じゃない? 今回はガスは出て無いんだよね……


「レッカさん、その白い水って温かくないですか?」

「おや、何で分かったんだい。触るとちょっと熱い位のお湯なんだよ、私は土や水の魔法は苦手でね、前回も土魔法の得意なレオンに岩で蓋をして埋めてもらったから、今回も頼もうと思ってね」

「えぇ~っ、埋めるなんて勿体ないですよ! その湧き水、多分温泉ですよ」

 せっかく温泉が湧いたのに埋めちゃうなんて勿体ない、湧き出るお湯の量が多いなら共同浴場とか、広い露天風呂とか、絶対気持ち良いのに、と反論したらびっくりされちゃったみたいです。


「私の住んでいた国も活火山が多くて、各地に温泉が湧いてたんです。さっきの話を聞いて、私の知ってる温泉に似ていると思って」

 不思議そうな顔をする2人に、私の知ってる範囲で温泉の話をしていたら、直接見て確かめてほしいとサウスダンジョンのドワーフ村に行く事になってしまいました。

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