表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
ダンジョンの暮らし
4/54

お使いと唐揚げ

 俺達獣人は、200年前まで外の世界に獣人の国があり平和に暮らしてたらしい、それが突然人間の国に攻め込まれ土地や家を奪われ、捕まった獣人達は奴隷にされた。

 命からがらご先祖達はこのダンジョンに逃げ込み、ダンジョンマスターの黒竜様に保護されて、ダンジョンの地下35階にある隠れ里で暮らすようになり、以来人間には見つかることなく平和に暮らしてる。

 月に1回、里に問題がないか様子を見に来てくれ、保護のお礼は俺達の作る野菜を少しで良いなんて言う黒竜様には感謝してる。


 その黒竜様から、これから3日に1回の頻度で32階にある隠し部屋に野菜を運んで欲しいと里長に依頼があった。

「シバ、くれぐれも気を付けて行ってくるのだぞ」

 犬族の獣人の中でも小型ですばしっこい俺が、今回初めての野菜を運ぶ役に選ばれ、里のみんなに見送られて出発する。


 運ぶ野菜は俺達獣人1人が3日で食べれる位とたいした負担にもならないっすが、このダンジョン地下30階以降は毎日中の構造が変わる。

 魔物も出るしそれを狙う人間の冒険者も来る為危険っすが、黒竜様から運び人用に頂いた鈴は魔物避けになる上に32階の隠し部屋迄正しい道を外れるとリンリン鳴って教えてくれる優れ物で、無事に隠し部屋にたどり着いたっす。


 今日はお昼前に獣人族の人が野菜を届けてくれるって、レオンさんが言ってたよね。

 その人の分もお昼ご飯用意した方が良いかな?

 獣人と言うことは、やっぱりお肉が良いよね、レオンさんもお肉好きだしね。

 よし、ワイルドコッコで唐揚げにしよう。


 私は胸肉が好きだけど、男の人はモモ肉の方が好きかも……両方作るかな。

 我が家は下戸ばかりだったから全体的に甘めのお料理なんだよね。

 醤油と酒と砂糖、生姜とニンニクの浸け汁に浸けんで片栗粉をまぶして揚げたら出来上がり。

 う~ん良い匂い、味見しちゃおう。

「サクラなんか美味そうな匂いがするぞ、今日は何作ったんだ」

「むぐっアチチ、えっと唐揚げです」

 やば、レオンさんもう来ちゃったと思った時

「コケーッ、コケッコケッコケーッ」

 とピーちゃん達が騒ぐ声が聞こえてきた。


「あ、獣人族が来たか、そういや此処にワイルドコッコが居るって言ってなかったな」

 笑ってるレオンさんに続いて外に出ると、ピーちゃん達に追いかけ回られてる少年がいた。


 何だこれ、なんで黒竜様の隠し部屋にワイルドコッコが居るんすよ。

 しかもこいつら普通のワイルドコッコよりでかくて凶暴っす、黒竜様の鈴も効かねえっす……

「何だシバが来たのか?」

「黒竜様、助けてー!こいつら凶暴過ぎるっす」

 隠し部屋にあった家から出てきた黒竜様に助けを求めたら、その後ろから女の子が出てきて

「ピーちゃんコッコちゃん止めなさい、その人は大事なお客様よ」

 は?ワイルドコッコ達はその女の子が声をかけると俺を追いかけるのを止めて女の子の側に行き体を擦り付けはじめた……マジっすか?


「お使いご苦労さんシバ、無事に此処までこれたみてぇだな」

「黒竜様ヒドイですよ~死ぬかと思ったっす」

「わりぃわりぃ、ワイルドコッコの事言い忘れてた」

 なんて謝ってるけど顔が笑ってるっすよ黒竜様、まったくもう、運んできた野菜を背負い籠から下ろしていると

「シバさん?ピーちゃんとコッコちゃんがすいませんでした、お怪我はありませんか?」

 黒竜様の後ろからさっきの女の子が顔をだすが……獣の耳も尻尾も無い?

「人間だ!くそっ、どうしたら」

「落ち着けシバ、サクラは人間だけど敵じゃ無い。ある意味お前ら獣人の仲間だぜ」

「何言ってんすか黒竜様、人間は俺達獣人を捕まえて奴隷にする悪いやつらっすよ」

 まさか、黒竜様コイツに騙されてるのか?

「サクラは別の世界の人間だから魔力0なんだよ、外の人間に見つかれば奴隷にされちまう、お前ら獣人と同じように神のジジイから保護を頼まれてんだ」


 この世界の人間は獣人族の敵?ぐるぐる考えているうちにレオンさんとシバさんの間で話しがついてました。


「サクラちゃん、今回はオニルとポテポテ、キャロを持って来たっすけど、どうっすか?」

 オニルは玉ねぎ、ポテポテはじゃがいも、キャロは人参ねこれだけ有れば色々出来る。

「シバさんありがとうございます、お礼にお昼ご飯を一緒にどうですか?」

 サクラちゃん、神様から黒竜様に保護を頼まれてる位だから、人間だけど良い人間なんだよな。

「いただきます、実はさっきから美味そうな匂いがしててヨダレ出そうだったっす」

「はい、直ぐにご用意しますね、レオンさんも食べますよね」

「当然だな、俺のは大盛な」


 唐揚げは少し冷めてしまっていたので、2度揚げにしてキャベツの千切りと一緒に大皿に山盛りに、2人分の丼ご飯と一緒にテーブルに運んで、さぁ召し上がれ。

「熱っ、ハフハフ。すげぇ美味い、ワイルドコッコの肉汁がジューシーで、ちょっと甘めの味が美味い」

 レオンさんが凄い勢いで食べる横で、シバさんも尻尾をパタパタ振りながら

「美味いっす、こんな美味いの食べたこと無いっす」

 って、こちらもかなりの勢いで食べてる。

 私の分は別の小皿にしておいて良かった(笑)


 お昼ご飯を食べ終えると、シバさんは獣人族の里に帰って行った、又3日後に来てくれるって。

 今度は別の野菜も持って来ると言ってたので何が来るか楽しみです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ