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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
ダンジョンの夏
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ダンジョンの海中は

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。


「かーしゃま、おはよ~ございましゅ。きょうはうみ、いくのよね~」

「レイちゃんおはよう、朝ご飯食べたら出発よ」

 よっぽど楽しみだったのか、レオンに起こされる前に一人で起きてパタパタと走って来たレイちゃんの声に振り向きそう言うと、ぴょんぴょん飛び跳ねながら喜んでる。


 朝食の後、洗い物をしていたらレイちゃんを肩車したレオンが台所に顔を出して、

「サクラ、もう最初から水着で行くだろ。レイに水着着せてしまうぞ」

 って、まあ人魚族の人達の服装って水着と大差ないみたいだし、上着を1枚着れば良いかな。

「お願いレオン、私もこれが終わったら着替えるから」

 さっさと終わらせて出発です。


「きゃ~おっきなみずたまり~!と-しゃま、これがうみ?」

「ああ、これが海だ。よく見てみな、海には波があるだろ、レイはまだ小さいから一人で遊ぶと危険だからな、俺かサクラのそばを離れたらダメだぞ」

 初めての海でテンション上がったレイちゃんの頭を撫でながら、レオンがそう言い聞かせてるけどブルーノさんに用事があったはずよね。

「レオン仕事は?ブルーノさんに挨拶もしないで、先にこっちに来てしまって良かったの?」

「わはははは、どうせこんな事だと思ってたぞ!!さすが俺、感が冴えてるな」

 レオンに確認しようとしたら、後ろからブルーノさんの笑い声が聞こえてきた、振り向いた先には目に眩しいほど青いブーメランパンツ一丁で一緒に遊ぶ気満々なブルーノさんが……あ、ウーノさんが…


「黒竜様、サクラちゃん、レイちゃんいらっしゃいませ。ところでそこの脳筋その格好はな~に?まさか仕事ほっぽり出して遊ぶつもりじゃないでしょうね」

「ウ、ウーノ居たのか。別に仕事さぼってる訳じゃないぞ、客にダンジョン内を案内するのもダンジョンマスターの仕事だしな」

 綺麗な顔に青筋立てて怒ってるウーノさんに、背後から話しかけられてビクッとなったブルーノさんは脂汗を滲ませながら言い訳しているけど……

「黒竜様達の案内はドゥエが担当すると言ってあったわよね。そんな格好でここに居るんだから当然、ダンジョン内の環境変更や冒険者のチェックは終わらせたんでしょうねぇ」

 その言葉にとうとう逃げだした! 仕事怒って無かったんだ……ウーノさんが追いかけて行ったブルーノさんは良しとして、ここにも仕事終わらせてない人が居るのよね。

「俺も仕事終わらせてくる。すぐに戻るから、それまではなるべくドゥエと一緒にいろよ」

 じーっとレオンを見つめていたら、肩をすくめてため息をつくとブルーノさんの消えた方向に歩いて行った。


 さてと、私達はドゥエさんに挨拶に行かなきゃ、何処に居るのかなと周りを見回したら、波打ち際に人魚族の人達が集まってました。

「「「「ようこそ人魚族の里へ、歓迎いたしますわ~」」」」

 海の中から尾びれを出して振ってくれてるお姉さん達に、レイちゃんがびっくりしていると、いつの間にかドゥエさんがそばまで来てました。

「こんにちは、今日はお世話になります。よろしくお願いしますね」

「よろしくおねがいしましゅ」

「今日は楽しんでいって下さいませ、さあ海の中をご案内いたします。このエアルの花を肌に貼り付ければ海中でも呼吸が出来、話す事も出来ますから溺れる心配もございません」

 レイちゃんと二人で頭を下げ挨拶すると、ドゥエさんに青銀色の5センチ位の花を渡された。

 エアルは珍しい海草で、人魚族の里付近の深い場所にしか生えてないせいで人間達には知られていないそうだ、有難くいただいて喉の下に貼り、水中で剥がれたら大変と確認していたら笑われちゃった。

「心配しなくても大丈夫ですよ、剥がれろと念じない限り花は張り付いたままですから。こちらの荷物は砂浜の奥の建物に保管してよろしいですか?見張りの者は立てますので」

 って何から何まですいません。

「ありがとうございます、大きな袋はお約束の甘味の材料ですので、後で作りますね。小さいカバンは着替えなのでよろしくお願いします」

 そう言った途端歓声が上がり、海から上がって来た人魚のお姉さん2人が大事そうに袋とカバンを抱えて建物まで歩いて行った。


 波打ち際で寄せては返す波に戸惑ってたレイちゃんと手をつなぎ、海の中にざぶんと潜ってみる。

 レイちゃんはお風呂でレオンと水の中で目を開ける練習をしていたのが良かったのか、水中でも普通に呼吸ができると分かると目をきらきらさせて周りを見回しはじめた。

「レイ様、こうやって足をバタバタ動かすと前に進みますよ」

「そうそう、お上手ですわ」

 透き通った水の中を自由自在に泳ぎ回る人魚族の皆さんが、レイちゃんに泳ぎを教えてくれるのを横目で見ながら、私も水中を泳ぐ練習をする。

「サクラ様、手は体の横につけて足だけで泳いだ方が視界を遮らなくて良いですわ。手を使わなくても下半身を波打たせる様に動かすとスピードもでますし」

 ドゥエさんが付きっきりで教えてくれるんですが、水中で息が出来ると分かっていてもつい息継ぎをしたくなるし、水面じゃなくて水中を泳ぐのは慣れなくて、私よりレイちゃんの方が上手く泳げるようになってる気が……


 それでも何とか水中の泳ぎに慣れると、ドゥエさん達に案内してもらいながら海中を散策します、南国の海を思わせる色とりどりの珊瑚や魚の群れ、その中を楽しそうに泳ぎ回る人魚の皆さんは幻想的でレイちゃんと一緒に私もはしゃいでしまいました。

 途中、小型クジラ程の大きさの魔物が襲ってこようとしていたのですが、3人の人魚が猛スピードで魔物に向い泳いで行き、あっという間に倒してしまったのには驚きましたが。

 だって綺麗なお姉さん達が、いきなり現れた魔物を見るなり、

「マグリンだ!あれ美味しいよ、ちょっと狩ってくる」

 って目を輝かせながら魔物に突っ込んでくんですよ、しかも魔法で倒すのかと思ってたら、猛スピードで泳いで行ってからの尻尾アタックで倒しちゃった。

「しゅごい!かーしゃま、ねーしゃまたちつよいね~」

 レイちゃんは大興奮ですが、私は目が点でしたよ。


 海の中を満喫して砂浜に戻って来たら、レオンが待っていてくれました。

「サクラ、レイ、楽しかったか?」

「とーしゃま!うみきれーなの、おさかないたよ」

 レオンに海の中の事を一生懸命話しかけてるレイちゃんを横目に、泳ぐのに邪魔なので外していた巻きスカートを探していると、

「サクラ、捜し物はこれか?綺麗な足なんだから、そんなにすぐ隠さなくても良いだろ」

 笑いながら上から下まで私を眺めて、似合ってるぞ可愛いなって耳打ちするのは止めて下さい。

 まあこれで周りに男性が一人でも居れば、すぐにスカートで足を隠せってなるんだろうけどね、今回案内してくれた人魚族は女性のみ、男性達は海中にある里の家で子供達のお世話をしてくれているそうです。

 竜族の番の傍に男性が近付くのは、って言うのと女性達のお菓子への情熱に男性達がドン引きしたそうで……


 昼食は、砂浜で人魚族からの差し入れの貝やエビを焼いたり、さっき仕留めたマグリンを捌いてお刺身でいただきました、どれも新鮮で美味しかったです。

 新鮮な魚型魔物は寄生虫もいないので、刺身で食べるのが一番とドゥエさんが言ってたのですが、それは人魚族だけの話で人間達は生の魚は食べないそうです。

 まあ、人間に魚型魔物の討伐は難しいらしいので、そのせいかもしれませんね。

 さて、昼食の後は皆さんお待ちかねの甘味ですよ、この日のための秘密兵器もドワーフの職人さんにお願いして作ってもらいましたからね。

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