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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
ダンジョンの夏
34/54

水着できたよ~

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 ブランさんは服を作るのが趣味で、ウェディングドレスも作れるほどの腕前です。

 ただ、こちらの世界では服は手縫いするしかないと聞いて、廊下の片隅で眠ってた母の足踏みミシンを見せたところ、凄く気に入られたようなのでお譲りしたんです。

 私は電動ミシンがあるので、置物になってる位なら使ってもらうほうが母も喜んでくれるだろうと、軽く考えただけだったんですがブランさんには凄く感謝されて、ウエストダンジョンに住んでるエルフの女の子達と作った服を私やレイちゃんによく持ってきてくれます。

 子供服を何処で手に入れようか悩んでいたので、本当に助かってます。


 その上、ブランさんはお譲りしたミシンを、サウスダンジョンのドワ-フの村に持ち込んで研究してもらい、こちらの世界版足踏みミシンの量産に成功したらしいです。

 今ではエルフの里やドワ-フの村では、一家に一台足踏みミシンがあるそうで、獣人の里でも購入を考えているとか……

 この前、レッカさんからもドワ-フの村の新しい特産品が出来たと、お礼を言われてしまいました。


「ぷぷぷぷぷこれは、あいつが騒ぐはずよねー」

 レオンから連絡がいってすぐに、我が家に来てくれたブランさんが例の写真を見て笑ってます。

「やっぱりこの水着って、こちらではありえないですか?」

 一応、ブランさんにも確認すると、

「そうねぇ、こんな短いスカートは初めて見たけど、上は南の暑い地域や人魚族ではわりとよく見る格好よ。ただ竜族のオスは番の肌を自分以外に見せるのを嫌がるからねぇ。この水着ってまだある?実物を見てみたいんだけど」

 そう言われると思って、昨夜のうちに探しておきました、

「これです。でも古い物なので胸パットが劣化してボロボロになっちゃって……後、これは若い頃着てたものなので、今度作っていただくのは肌の露出の少ないものをお願いしたいんです」

 そう言って渡した水着を裏返したり、引っ張ってみたりして確認してたブランさんは、

「うんうん、なるほどね~。普通の布より伸縮性があって厚めの生地で、ゴムで胸当てをつけてるのね、ちょっとこれ参考に借りてくわね。デザインは任せて、可愛いの作るから」

 どんな水着が出来るか楽しみです、ブランさんセンス良いからなぁとか考えてたら、小さな呟きが聞こえた。

「そういえば行き先は人魚の里だっけ、ふふふっ」

 ……ブランさん?人魚の里に何かあるのかな?


  3日後

「あ、明日ブランさんが水着出来たから、持ってきてくれるって」

 私がお風呂に入っている間に、レイちゃんを寝かしつけてくれていたレオンにそう言うと、

「早いな、でもちょうど良いか……人魚の里の長老が、あっちに行く前にサクラに一度会いたいって言ってきててな、ウーノと一緒に明日来る事になったんだ」

 ええっ、そういう事はもっと早く言ってよ、やっぱり人間の私達が隠れ里に行くのは問題あるんじゃないの?それに、

「人魚族の人ってここ水場は無いけど、何か用意しておくものはないの?」

 とりあえず、一番心配な事だけ聞いてみると、

「あいつら地上では下半身足に変えて生活してるから大丈夫だぞ。それにウーノも長老もブランと仲が良いからな、今回の事もあいつらで連絡取り合って同じ日にしたのかもな」

 ……なんですって、それならブランさんも一言言ってくれたら良かったのに。


 ピーちゃんとコッコちゃんには、今日は初めてのお客様が見えるから攻撃しないでね、とお願いしてあるので安心しておやつを作りながら待ってると、

「こんにちは~、水着できたよ~」

 の声が聞こえてきました、ブランさんがいらっしゃったみたいですね、どんな水着が出来たのか楽しみ~。

「は-い、いらっしゃいま……せ……」

 玄関ドアを開けると、白い素肌も眩しいブランさんが大胆ビキニで、ナイスバディを披露してくれてました。

 しかもそのお隣は、まさかの貝殻ブラに青いパレオを腰に巻いた色っぽいお姉さんと、青いフリル付のオシャレなシャツを着た背の高い美人さん。


 えーっとこれは……

「はじめまして、急な訪問で失礼いたします。私、人魚族の長老でドゥエと申します。この度黒竜様の伴侶様とお子様が、わが里においでになるとの事でご挨拶に参りました」

 貝殻ブラの色っぽいお姉さん改め、人魚族の長老のドゥエさんの挨拶に慌ててこちらも外に出て頭を下げ、

「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。黒竜レオンの番の桜と申します、この子は私達の娘のレイです。本来ならこちらからご挨拶に向かわなければいけないところ、わざわざ来ていただきありがとうございます。レイちゃんも挨拶できる?」

 レイちゃんを促しては前に出すと、ぺこりと頭を下げて

「レイちゃんです、3さいです。いらっしゃいましぇ~」

 と今朝から教えてあった挨拶をした途端、

「きゃ~!!可愛い、可愛いわ~」

 そう叫んだウーノさんがレイちゃんを抱き上げては頬ずりし始めちゃった……レイちゃんもきゃ~きゃ~言いながら嫌がってないみたいだしどうしようかなーと思っていたら、バシッとドゥエさんのチョップがウーノさんの後頭部に炸裂した。

「ちょっとウーノ、あなた挨拶もしないうちから何やってるの!それじゃ脳筋青竜と同じじゃない」

 ドゥエさんのその言葉にレイちゃんをそっと地面に下ろしたウーノさんは、頭を抱えてうずくまり、

「やめて~、あれと一緒にするのは……はっ、見苦しい姿を見せて失礼しました、青竜様の副官を務めますウーノと申します」

 ぶつぶつ呟いてた途中、はっと立ち上がり優雅に一礼して挨拶してくれるその姿は、さすが美意識高いオネェというべきか洗練されてました。


「ごめんなさいねぇ、私可愛いものに目がなくって。普段むさ苦しい脳筋しか見て無いからストレス溜まってたのね、レイちゃんも急に抱き上げてゴメンね」

 そう言って謝ってくれたウーノさんに、さっきからレイちゃんの目は釘付けです、

「う?とりしゃん、いいにおいしたの~、レイちゃんとりしゃんすきよ~」

 あら?好きよってレオンが聞いたら、大変かもよ(笑)でも鳥さんって……あぁレイちゃんの目線だと白い羽根と猛禽類の様な鋭い鉤爪のある鳥みたいな足が目に入るからかな?

「レイちゃん、鳥さんじゃなくてウーノさんよ」

「ウーノしゃん?」

 名前を教えてあげると、小首を傾げて繰り返すレイちゃんの仕草に、ウーノさんが両手を胸の前で組んで身悶えしてます。

「可愛いわ~、うちのダンジョンの癒やしにに連れて帰りたい位可愛いわ~」

 っていやいや、レイちゃん連れてかないでね、そんな事したらうちの旦那さんが怒り狂いますからね。

「ウーノ、あなたそんな事したら黒竜様に殺されるわよ、私は巻き添えはゴメンよ」

 なんてドゥエさんの言葉にウーノさんは真っ青になってる、仲が良いなぁ。大丈夫ですよレオンにはさっきの台詞は言いませんから……今のところ。


 それより、ウーノさんって聞いてたよりゴツくないよね。

 細マッチョって感じだからか、綺麗な顔との違和感もないし声も高めで宝塚の男役さんみたい。

 いつまでも外で話してる訳にもいかないよね、

「こんな所でいつまでもすいません、ここは暑いので中にお入り下さい」

 と3人を招き入れながら、さっきからずっとニヤニヤ笑って見てたブランさんに、

「もうびっくりするじゃないですか、ドア開けたらいきなりそんな格好で……それに他のお客様も一緒なんですから」

 と囁くと、ブランさんはイタズラ成功って感じのどや顔で、

「用事は1度に済ました方が楽でしょ、それに私水着で来たよって言ったじゃない、どう?似合う?」

 ってブランさん「水着出来たよ」じゃなくて、「水着で来たよ」でしたか……確かに大変よくお似合いです。

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