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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
隠し部屋の春
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モウモウ乳クッキング

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

今回、料理してるだけです、ごめんなさい。

 バター作りで思わぬ時間がとられてしまったけるど、こんな事もあろうかと昨夜の夕食はポトフを多めに作っておいたんだよね。

 残ったポトフにホワイトソースと牛乳を入れちゃえば、簡単クリームシチューの出来上がり。

 あ、先にプリンを作って冷やさなきゃ。


「最初にプリンを作るから、ニャタロそウ君は作り方のメモをとりながら見てて。分からない事があったらその時に質問してね」

 実は昨夜、牛乳料理のレシピを書いていたんだけど、それを見たレオンに、

「これは人族の文字だから、獣人の連中は読めねえぞサクラ」

 と言われてしまったの、人間達から見つからないように逃げ隠れていた獣人族は、自分達の連絡用に特殊な文字を使うようになったから、今では人族の文字は読み書き出来ないんだって。

「こんな上等の紙は勿体ないみゃ、メモ用紙は持ってきてるみゃ」

 って、それ普通のノートですけど……ニャタロウ君のポケットから出したメモ用紙は、わら半紙みたいな色と材質でした。

「メモ用紙だとばらけちゃうから、ノートに書いた方が良いよ。料理のレシピ集にしたら、里の皆にもみてもらえるし」

 遠慮してるみたいなので、ノートを押し付けると、

「ありがとみゃ、皆に美味しいモウモウ乳料理を教えるみゃ」

 嬉しそうにノートを抱きしめたニャタロウ君のふんっと気合いを入れた様子が可愛かった。


「じゃあ始めるね、材料は卵とモウモウ乳と砂糖なんだけど、里には砂糖は無いんだったっけ」

 たしか蜂蜜は有るって言ってたけど、ダンジョンの中で砂糖は手に入らないのかな?と聞いてみると、

「あ、この前黒竜様がシュガーモンスターを狩ってきてくれたから、砂糖は里の皆で使っても10年分位あるみゃ」

 シュガーモンスターって……まさか魔物から砂糖がとれるの?あはははは……


「良かった、砂糖の代わりに蜂蜜でも良いんだけど、それだと小さい子供には食べさせられないからね」

 と言うと、不思議そうな顔で質問される。

「そう言えば、アイン様からも小さい子供は蜂蜜の入った生姜湯を飲んじゃダメって言われてるみゃ、何でダメみゃ?」

 アイン様、前にお願いしたこと獣人族の人達に言ってくれてたんだ、良かった。

 でも、こっちの世界では魔物の蜂蜜だし、成分が違うから大丈夫なのかな?


「私の居た世界ではね、1歳未満の赤ちゃんに蜂蜜を食べさせると病気になって、死んでしまう事があるの。だから赤ちゃんや体調を崩した小さい子供には蜂蜜を食べさせちゃいけないと言われてるんだけど」

「そんな話聞いた事ないみゃ、病気になっても小さい子供はポーション嫌がるから、蜂蜜で誤魔化して飲ませてるみゃ」

 青い顔になったニャタロウ君に、こちらの世界や獣人と人間ドラマ違いがあるから、絶対に死んでしまうとは言えないとは説明したけど……危険は避けた方が良いよね。


「分かったみゃ、里長にも蜂蜜の話はしてみるみゃ、でも小さい子供以外は食べて平気みゃ?」

 心配そうに確認されたのは、里で養蜂をしてる人がいるからかな?

「大丈夫よ、小さい子供だけ気を付けたら蜂蜜は栄養のある美味しい食材だから」

 ほっとしたように、小さい声で良かったみゃ~って言ってる。


 さて、料理開始するよ~。

「先ずは容器にカラメルを作って入れます。鍋に砂糖と少量の水を入れたら火にかけて、砂糖が溶けて茶色くなったら容器に注ぐの。砂糖の色が変わり始めたらすぐに茶色くなるのと、手早く容器に注がないと固まってしまうから気を付けて」

 ふむふむと真剣にメモをとってたニャタロウ君のノートの文字は、肉球マークが混じっていたりして全然読めないけど、なんだか可愛い。

 とりあえずここまでの手順を書き終えた様なので、実際にカラメルを作って見せると、

「カチカチみゃ、これは食べにくくないかみゃ?それにちょっと焦げた匂いみゃ」

 って、今は飴が容器の底にくっついているのと同じだもんね、でも蒸してしまえばカラメルは液体になるから。

「大丈夫、食べる時には液体のソースになるから。出来上がりを楽しみにしてて」

 ?マークを浮かべてるニャタロウ君には、出来上がりを見て判断してもらう事にして、次は……


「後はボウルに卵と砂糖とモウモウ乳を入れてかき混ぜて、砂糖が溶けきったら網目の細かいザルで裏ごしします。その後さっきの容器に入れて蒸し器で蒸して出来上がり」

 蒸し器は獣人族の里にも有るみたいで一安心、蓋つきの鍋とザルでも代用出来るけど、蒸し器の方が作り易いし。

 オーブンは無いみたいなのが残念だけど。

「ザルで裏ごしするのは何でみゃ?しなくても食べられると思うみゃ」

 やっぱりそれを聞くよね、確かにしなくても食べられるけど、

「裏ごしすると口当たりが滑らかになるの、美味しさが違うのよ。試しに裏ごししないのも作って食べ比べする?」

 って聞いたら嬉しそうに頷いて、

「実験みゃ、色々比べるのは楽しいみゃ」

 だって、ニャタロウ君は研究者タイプ?


 食べ比べ用の印を付けた容器にそのままのプリン液を入れて、残りを裏ごししてから容器に入れたら、湯気の上がり始めた蒸し器に入れて蒸すだけ。

 冷えたプリンも美味しいけど、出来立て熱々のも結構好きなんだよね。

「プリンって、温かい飲み物みゃ?蒸し器を使わなくて鍋で煮たらダメみゃ?」

 不思議そうに聞いてきたニャタロウ君には、

「それは出来てからのお楽しみ、先にさっき作ったバターの味見をしてみない?」

 なんて誤魔化してみたら、見事に引っ掛かってくれました。


「食べたいみゃ!でもこの瓶口が小さくて中身が上手く取り出せないみゃ」

 ペットボトルを渡されたので、分離した水分を流しに捨ててから側面に鋏を突き刺して穴を開け、そこから切りとってしまう。

「え、そんなことしたら次は使えないみゃ、勿体ないみゃ」

 そうか、液体が漏れなくて振りやすく、後で取り出す時には鋏で切ったら出しやすいって考えてペットボトルにしたけど、

「確かに勿体ないね、里で作る時は何か容器を考えて作ってもらえるかな」

「う~ん何がいいかみゃ~?」

 小さく唸りながらノートの端にメモを書いてる隙に、パンをトースターで軽く温めて……チンッ

「考えるのは後にして、バターの試食をどうぞ」

 温めた小さいロールパンを半分こして、バターをつけて渡すと

「ふみゃ~金色でトロトロみゃ……むぐむぐ……美味しいみゃ!本物のバターみゃ!」

 嬉しそうにパンを食べる様子に、安心して私も一口……作りたてのバターって美味しいよね。

 あ、プリンも蒸し上がったみたい、冷ましておかなきゃ。


「次はクリームシチューね。今日は時間がないから昨日のポトフを流用するけど、普通は鳥系の魔物の肉とオニル、ポテポテ、キャロ等を鍋で煮てスープを作ってね」

 獣人族は犬系でも猫系でも、玉ねぎ中毒にもチョコ中毒にもならないのは、こちらの神様に確認済みなので安心して作れます。

「このスープは里でも普通に食べてるみゃ、でもこれちょっと煮詰まりすぎてるみゃ」

 鍋を覗きこんでるニャタロウ君は、今日はモウモウ乳料理だって忘れちゃったのかな?

「後でここにモウモウ乳を入れるから、これで良いのよ。先にホワイトソースを作るからよく聞いてメモをとってね」

「これにモウモウ乳?みゃみゃ~、そんな事して大丈夫みゃ?食べられるみゃ?」

 信じられないと顔をしかめながらも、ノートを開いて準備が出来たのを見たので料理を続けます。


「フライパンにバターと小麦粉、パンを作る時に使う粉を入れて火にかけます、バターが溶けてなじんだら火を弱めてモウモウ乳を少しずつ入れてダマにならないようにかき混ぜて……はい、ホワイトソースの出来上がり」

「ふみゃ~、真っ白のソースみゃ!これをスープに入れるみゃ?」

 不思議そうにフライパンを見つめて、ソースを嘗めてみようとしてるけど、

「あ、あちっ……ひた、やけとしたみゃ」

 あー猫獣人はやっぱり猫舌ですよね、それにこのホワイトソース味付けしてないから美味しくはないよ。

 くすくす笑いながら、完成したホワイトソースをポトフの鍋に入れ火にかけて、しっかり混ざってからモウモウ乳をたっぷり入れます。

 しばらく煮ればクリームシチューの出来上がり、良い匂いにシバさん達も台所を覗きに来たみたいですね。

サクラちゃ~ん、シッポ穴無しの服のままで放置は辛いっす~。


レイちゃん、スカートの後ろ捲り上げてニャニャの真似しちゃダメにゃ~黒竜様に見つかったらニャニャが怒られるにゃ~。


ただいま……レイ?何をやってるんだ?


ふにゃ~っ、黒竜様!ごめんなさいにゃ~

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