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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
隠し部屋の春
29/54

お風呂は嫌にゃ~と獣人族の服は

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 モウモウ乳まみれになった二人を、そのままにはしておけないので、

「二人とも家でシャワー浴びていって。その間に洗濯しておくから」

 って言ったとたん、そろそろと後退りしたニャニャちゃんが、

「ニャニャはあんまり濡れてないから、着替えだけ貸してもらったら大丈夫にゃ。シバだけ水浴びさせてもらったら良いにゃ」

 なんて言って手についたモウモウ乳を舐めだした。

「ニャーニャ!ダメっす!モウモウ乳臭くなるっす、水浴び嫌いでも我慢するっす」

 それを見ていたシバさんに叱られると、その場から泣きながら走って逃げ出した。

「嫌にゃ~!!水に入るとゾワゾワするにゃ。毛繕いしたら大丈夫にゃ」

 ……猫獣人って本物の猫と同じで水嫌いなの?と思ってニャタロウ君を見ると、両手で自分の体を抱きしめてプルプル震えながら、

「水浴び怖いみゃ……嫌みゃ……」

 って言ってる。


「ねえシバさん、獣人族ってお風呂はどうなってるの?」

 あまりの嫌がりように不思議に思って聞いてみると、

「あ~、猫科の獣人は水が嫌いなんで、風呂は入らないっす。「クリーン」って自分の体を綺麗にする魔法を使ってるっす。他の獣人は風呂好きっすよ、クリーンの魔法難しいから猫の大人位しか使えないし」

 との事でした……う~ん、レオンがお昼に帰って来たらクリーンをかけてもらえるかな?

 でもそれまでに臭くなりそうなんだけどなぁ。


 桜の木の陰から此方を窺っているニャニャちゃんに苦笑して、

「僕はここでもう一回バターを作ってみるみゃ、レイちゃんとニャニャは僕が見てるから、シバだけでも水浴びさせてもらうみゃ」

 と言ってくれたニャタロウ君にその場を任せて、シバさんをお風呂に案内する。


「この大きなボタンを押すとここからお湯が出るの、もう一度押せばお湯が止まるから。後このホースはこんな風にある程度伸びるからね」

 と実際にお湯を出しながらシャワーの使い方を説明すれば、

「ひえー、なんでボタン押すだけでお湯が出るっすか?この魔道具凄いっす、さすが黒竜様の家っすね~」

 とびっくりされてしまった、獣人族の里のお風呂は五右衛門風呂軒並み為沸かすのが大変で、夏場は川で水浴びが主流らしい。

 ダンジョンの中に川まであるのね……季節もあるし、あんまり考えるのは止めておこう、異世界だもんね。


「これで使い方分かったかな?今の服は洗濯しちゃうからここに置いてね、着替え用意するから」

「ありがとうっす、助かるっす」

 と言って頭を下げるシバさんをお風呂場に残して着替えを探す、う~んお父さんの農作業用のシャツと迷彩のズボンでいいかな?下着は新品が……あった。

 ニャニャちゃんは私が昔着てたワンピースでいいよね。


 庭に出ると、ニャタロウ君とニャニャちゃんが見守る中、レイちゃんが真剣な顔で

「ふっりふっりにゃ?ふっりふっりにゃ?」

 なんて言いながら、さっきより小さいペットボトルを振ってる。

 なぜかお尻もぷりぷり振りながら、ペットボトルを

 振るレイちゃんの可愛さに思わず笑ってしまうと、

「かーしゃままで、なんでわらうの~?」

 と私に気付いたレイちゃんが、ぷくっと頬を膨らませて拗ねちゃった。

 私までって事は、二人にも笑われなのかな?

「ごめんね、レイちゃんがあんまり可愛いかったから、つい」

 と言って頭を撫でてあげると、にぱーっと笑ってペットボトルを見せてくれる。

「えへへ~、レイちゃんかわい?うれし~な。あ、かーしゃまこれ、バターできた?」

 確かにペットボトルの中身は分離してバターが出来かけてる、さっきより少量とはいってもニャタロウ君達が頑張ってくれたのね。


「凄いね、もう少し頑張って振ると完全にバターになるね。ありがとう」

 と言えば嬉しそうな顔でニャタロウ君がレイちゃんからペットボトルを受けとり、

「後は僕に任せるみゃ、バターの味見が楽しみみゃ」

 ニャタロウ君がペットボトルを振り始めると、ニャニャちゃんとレイちゃんが、

「「ふっりふっりにゃ、ふっりふっりにゃ!」」

 と二人でお尻フリフリ応援しだしたんですけど……


 ニャタロウ君を応援しながらも、時おり顔をしかめて服の臭いをクンクン嗅いでいるニャニャちゃんに、

「私のお古で悪いけど、家の中で着替えようよ。濡らしたタオルで体を拭くだけでもちょっとは臭いがましになるよ」

 って誘うと、しぶしぶという風に頷いたので逃げられないように手をつないで家に入ろうとすると、

「レイちゃんも、かーしゃまとおててつなぐー」

 右手を上げてキラキラした目で見てくる……うちの子可愛い。


 客間で服を脱いでもらってる間に、新しいタオルを2つお湯で濡らして、乾いたタオルも用意したら、ぽすぽすぽす……襖をノックすると間抜けな音なのよね。

「ニャニャちゃん開けてもいい?着替えとタオル持ってきたから」

「ありがとにゃ、入って大丈夫にゃ」

 下着姿でレイちゃんと遊んでくれていたニャニャちゃんに、濡れタオルを1枚渡して体を拭いてもらってる間に、もう1枚で髪の毛を拭いてあげる。

 獣人族の耳と尻尾は、家族か恋人しか触ってはいけないらしいから、耳には触らないように注意してっと。

「ふにゃ~、温かくて気持ちいいにゃ~」

 水浴びは嫌いでも、濡れタオルは平気みたいな様子にほっとしつつ、さっぱり拭きあがったニャニャちゃんにワンピースを渡して、脱いだ服とタオルを洗濯しないと。

「じゃあこの服は洗濯するから預かるね、悪いけどレイちゃんをもう少しお願いしてもいい?」

「分かったにゃ、こちらこそ洗濯ありがとにゃ」


 コンコンコンと脱衣室のドアをノックして

「シバさんドアを開けても大丈夫?着替え持って来たんだけど」

 と言ったとたん、廊下まで聞こえていた気持ち良さそうな鼻歌が止まり、焦ったように

「だ、大丈夫っす。このシャワーって気持ち良いっすねー、温かいお湯が最高ーっす」

 って答えてくれたので、ドアを開けて脱衣室の洗濯機に二人の服とタオルを入れてお急ぎでまわす。

「着替えとバスタオルここに置いたからね、着てた服は洗濯してるから」

 脱衣室に長く居ると落ち着かないだろうから、カゴに着替えを入れてさっさと廊下に出ると

「ありがとうっす~」

 って中から声が聞こえてきた。


 思わぬ時間がとられたから、昼食を急いで作らなきゃねと台所に向かった私は、シバさん達の嘆きに気が付かなかった。



「サクラちゃん……この服シッポ穴が開いてないっす~、ズホンの中でシッポがワサワサするっす~」


「サクラちゃん……この服シッポ穴開いてないにゃ、スカートがシッポで捲れて下着が見えちゃうにゃ~」


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