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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
隠し部屋の春
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ホットドッグとモウモウ乳

「おっはようございまーす、黒竜様に依頼されたグングンの若木と野菜のお届けっす」

 シバさんの元気な声が聞こえたので、レイちゃんと手を繋いで外に出ると

「おはようにゃ、今日は荷物が多いからニャニャも来たにゃ」

 あら?ニャニャちゃんも一緒なのね、

「おはようございます、いつもお野菜ありがとうございます。ニャニャちゃん久しぶり、今日はニャタロウ君は一緒じゃないのね、元気だった?」

「ニャニャもニャタロウも元気にゃ、ニャタロウは里で家のお手伝いしてるにゃ。ニャニャもやっとサクラちゃんのお家に来る許可がもらえたにゃ!」

 良かった、今日はちゃんと許可もらってたのね。


 あら?話してる途中から二人共ちらちら目線が下の方にって、レイちゃんの紹介がまだだった。

「この子はレイ、私とレオンの娘よ。レイちゃん、ごあいさつ出来るかな?」

 私の体の後ろに隠れながら、ちらちら顔を出して二人を見てたレイちゃんを、しゃがんで捕まえて肩を抱きながら前に出すと

「おはようごじゃいます、レイちゃんです」

 って言って頭を下げてすぐに、又私の後ろに隠れちゃった。


 でも、二人が気になるみたいで私の耳元で、

「ふわ~!おみみとしっぽ~。じゅ~じんしゃん?」

「そうよ、前に説明したよね。獣人族のシバさんとニャニャちゃんよ」

 レイちゃんの目がシバさんとニャニャちゃんの耳としっぽにくぎ付けです、獣人族を初めて見たらそうなるよね~。

「きゃ~、レイちゃん可愛いにゃ。ニャニャお姉ちゃんと遊ぼうにゃ」

 レイちゃんは誘われた途端、嬉しそうに笑って私の後ろから出てきて

「ねこしゃん……ニャニャしゃん?あしょんで~」

 って、追いかけっこが始まったみたい。


「遊ぶために連れて来た訳じゃないっすよ、ニャニャ!」

 シバさんが怒ってるけど、こちらとしても遊んでもらえたら助かるのよね。

「シバさん気にしないで、ここには年の近い子供がいないから、ニャニャちゃんがお友達になってくれたら嬉しいの」

「だったら良いっすけど、ニャニャの精神年齢レイちゃんと一緒位……ぷぷぷ」


 笑っているシバさんと、しばらく様子を見ながら持ってきてもらった野菜の確認をしていると

「本当にこれを食べるっすか?」

 とシバさんが見せてくれた筍は、太さ15センチ高さ30センチ位の立派なものでした。

「わ~立派な筍、さすがにこれだけ大きいと硬い所もあるけど、土の上に出る前の物なんかは柔らかくてエグ味も少ないのよ」

「あ、それも黒竜様に聞いて掘ってきたっす。これは、土の上に出てるのと味が変わるのか気になって、ついでに持ってきたっすよ」

 やっぱり、さすがにこの大きさにこの断面だとそうだよね。

 まぁ、日本にいた時に近所の人にもらってた筍は、土の上に出た物がほとんどだったし大丈夫でしょう。


 掘り出してくれた筍もかなりの量があるし、春キャベツに新玉ねぎ、新ジャガ今日のお野菜は重い物ばかり……これは朝から大変だったわよね。

「今日は重かったでしょう。ありがとうございます」

 シバさんと、いつの間にか側に来てたニャニャちゃんにお礼を言うと、

「こんなの何てことないっす、獣人族は力持ちっすから……でも、ちょこっとお腹空いたっすね~」

 なんてシバさんがへへっと笑うと、ニャニャちゃんも、お腹を押さえてもじもじしながら

「ニャニャも手伝ったにゃ、お腹きゅーって鳴ってるにゃ」

 って、これはお昼ご飯のおねだりかな?


 今日はレオンのリクエストで、オーク肉で作った腸詰めを焼いてホットドッグの予定だったのよね、腸詰め作るの久しぶりで、燻製は出来なかったけど良い感じにできあがったのよね。

 野菜スープと、昨夜の残りのスパニッシュオムレツをつければ、オーク肉の腸詰めはフランクフルト位の太さがあるから、若い子達の食欲も満足出来るはず。

 私とレイちゃんの分は冷凍庫に残っていた市販の腸詰め、小さい子供って大人と同じ物を食べたがるから、パンも小さめに焼いてあるんだよね。


「それじゃあ、お昼ご飯作るから食べていく?料理してる間レイちゃんと遊んであげててくれると助かるんだけど」

 そう言うと二人は、ぱっと顔を輝かせて

「お安いご用っす、レイちゃん俺達とあ・そ・ぼ」

「うん、シバしゃんとニャーしゃんとあそぶの~」

 ふふ、レイちゃんお兄ちゃんとお姉ちゃんと遊んでもらえて良かったねぇ。

「ありがとう、もうすぐレオンも帰って来るから、一緒にお昼にしましょうね」

 と声をかけてから台所に向かった私は、その後二人が青くなってプルプルしてたなんて気が付かなかった。

「えっ……今サクラちゃん黒竜様がもうすぐ帰って来るって言ったっすか?」

「……ご飯おねだりしたってバレたら、黒竜様に怒られるにゃ?シバ助けてにゃ」


 鍋で腸詰めを茹でながら、フライパンで少量のベーコンを炒めて油を出すと、小さめのサイコロ状に切った玉ねぎ、人参、ジャガイモを投入。

 茹であがった腸詰めを皿に取り出したら、その鍋に炒めた野菜とコンソメを入れて煮込む。

 キャベツの千切りをカレー粉で炒めて、昨日焼いたコッペパン挟んでかフライパンで腸詰めにパリッと焼き目をつけて……ケチャップとマスタードは自分でかけた方が良いかな?好みもあるしね~。

 窓から顔を出して外を見れば、レオンも帰って来たみたい。

「ご飯が出来ましたよ~、手を洗ってからテーブルについてね」

 さて、皆が来るまでに料理を運んだら準備万端、さぁ召し上がれ。


「レイちゃんホットドッグは熱いから、ふ~ふ~して食べようね」

「ふ~ふ~、あちっはふはふ……おいち~の」

 レオンが作ってくれた子供用の椅子に座ったレイちゃんと顔をあわせ、ニコニコ笑いながら食べている私達の前では、

「うっわー美味いっす、美味いっすよー俺こんなの初めて食べたっす」

「うにゃ、美味しいにゃ。このパンもふあふあにゃ、うにゃ」

 尻尾をブンブン振りながらホットドッグを食べるシバさんと、尻尾をピーンと立ててうにゃうにゃ言いながら食べるニャニャちゃん、ニコニコ笑いながら凄い勢いで食べるレオンがいる。

 ホットドッグのお代わり、早めに用意しておこうか……


「レオン、ホットドッグのお代わり作る?」

 って聞いた途端、シバさんとニャニャちゃんの目がキランって光ったよ……さすがにレオンより先には言い出せないみたいだけど、若い子の食欲は凄いなぁ。

「あ~、昼は軽めで良いや。代わりにコイツらに土産で持たせてやってくれねえか?」

 ふふ、二人共嬉しそうにしちゃって。

「じゃニャタロウ君の分もあわせて、ホットドッグ3つ用意しておくね」

 ニャタロウ君だけ、仲間外れはかわいそうだしね。

「ありがとうございます、ニャタロウも喜ぶっす」

「嬉しいにゃ~」


「そう言えば、ニャタロウ君は家のお手伝いって言ってたけど、どんなお仕事なの?」

「ニャタロウの家はモウモウを飼って、その肉やモウモウ乳を搾って売ってるにゃ」

 モウモウ?それってもしかして

「モウモウってどんな動物なの?」

「動物じゃなくて魔物っす、ビックホーンを小さくして大人しくした感じっす」

 私の質問にシバさんが答えてくれた言葉から想像すれば、モウモウ乳って牛乳みたい。

 きゃー嬉しい、牛乳があればバターも作れるし、料理の種類も増える、お菓子だって。


「ねぇシバさん、モウモウ乳って私にも分けてもらえないかな?少しでもいいんだけど」

 とお願いしてみると、シバさんはビックリしたように

「えっ、モウモウ乳欲しいんすか?里では人気ないっすから、いっぱい余ってるはずっす。今度来る時に持って来るっす」

 って言ってるし、ニャニャちゃんは顔をしかめながら、

「ニャニャはモウモウ乳キライにゃ、シバだって臭くて飲みたくないって言ってたにゃ」

 だって、勿体ないなぁ。

「モウモウ乳が私の知ってる物と同じなら、いろんな料理が出来るのになぁ」

 と言えば、二人共疑わしそうな顔をしてる。


 とりあえず、次回モウモウ乳を持ってきてもらうことと、その時筍料理を食べさせてあげる事を約束して二人は帰って行った。

 筍やモウモウ乳が美味しくなるって、信じられないみたい、これは腕によりをかけて料理作らなきゃね。

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