閑話 ある朝の風景
「レーイ、朝だぞ起きろ~……起きないと、こうだぞっ」
こしょこしょこしょと、レオンがレイちゃんの布団を剥いでわき腹をくすぐると
「キャー、くしゅぐったいの~、とーしゃまやめて~」
くすぐったがりのレイちゃんが飛び起きた、しっかり目が覚めたみたいね。
「おはよう、レイ。朝ごはんの前にピーとコッコの卵、一緒にとりにいくか?」
「おはようございましゅ、とーしゃま。ピーしゃんとコッコしゃんのたまご、いく~」
ちゃんと挨拶出来てえらいねレイちゃん、ところでパジャマのままお庭にいくのかな?
レオンは細かい事は気にしないよね……この庭に朝早くから来る人はいないから、まぁいっか。
「あれ~?ピーしゃんとコッコしゃん、いないよ~」
「ダンジョンに狩りでもしに行ったんだろ、今のうちに卵探すぞレイ。どっちが先に見つけるか競争だ」
最近ピーちゃんとコッコちゃんは、レオンが家にいる日はダンジョンに遊びに出掛けて、魔物を狩って来るようになりました。
実は、レオン達家族がうらやましくなって、お婿さんを探しに行ってるのですが、なかなか2羽のお目がねにかなうオスがいないんです……
なにしろ、ピーちゃんとコッコちゃんはワイルドコッコとしては最大級の超大型犬サイズ、たまに遊びに来るブルーノさんに攻撃を仕掛けたり、レオン相手に鍛えられてきたから普通のワイルドコッコの数倍の強さがあるのです、どんなお婿さんを捕まえてくるか楽しみですね。
さて、卵探し隊の方はどうなったかな?
「あった~!とーしゃま、たまご、みつけたよ~!」
ピーちゃんお気に入りの、梅の木の下を狙って探していたレイちゃんの作戦勝ちですね。
レオンはうろうろ庭を歩き回って探していたみたいだけど、レイちゃんに先に見つけられてしまったし面倒になったので魔法で探すことにしたみたい。
「サーチ」と呪文を唱えると、レオンを中心にザァっと風が吹き薬草の間から卵がコロコロ転がり出てきました。
「とーしゃま、まほう、ずるいの~!」
レイちゃんが怒ってレオンの所に走って行きますが、卵を拾ったレオンは平然として
「競争はレイの勝ちで決まったんだから、さっさと見つけた方が良いだろ」
ですって……あ、朝ごはんが出来たみたいです、サクラが台所の窓から顔を出して2人を呼んでます。
「レオン、レイちゃん、朝ごはん出来たよ~」
今日の朝ごはんは洋風です、昨日の昼間サクラが焼いた食パンのトースト、スクランブルエッグ、野菜スープに獣人の里からもらったオークの燻製肉を焼いたもの。
「「「いただきます」」」
3人そろって手を合わせて、いただきますをしてから食べ始めます、レイちゃんも小さなスプーンを使って一人で奮闘中。
「うんしょ、モグモグ、かーしゃま、たまごおいしいね~」
「ふふふ、ありがとうレイちゃん。ほっぺにたまご付いてるよ」
「うや?どこ~?」
「ごちそうさま、レイここだ……ちゅっ」
一足早く食べ終わったレオンが立ち上がり、レイちゃんの頬にキスするついでに、そこに付いていたスクランブルエッグを食べちゃった。
「とーしゃま、ありがとう」
あらら、サクラがとってあげようとしてたのにね。
「「ごちそうさま」」
食べ終わったら、サクラが洗い物をしている間にレイちゃんはハミガキとお着替えです。
もちろんレイちゃん一人では出来ないから、レオンが手伝いますよ(笑)
「レイ~、ハミガキするからこっちこ~い」
洗面所から呼ばれて、とたとたとレイちゃんが歩いて行きます。
「とーしゃま、ハミガキおねがいしましゅ」
洗面所の隅においた椅子に座り、可愛くお願いするレイちゃんを膝に乗せたレオンが、真剣な顔で小さな歯ブラシに苺味のハミガキ粉をつけてレイちゃんの歯をみがきます。
「こしこしこし、奥歯をみがくからあーんしなレイ」
「あ~ん」
ハミガキ嫌がらない良い子ね、レイちゃん。ってか、レオンが上手いのか?
「よし、終わり。口ゆすいで顔を洗おうな」
「くちゅくちゅ、ぺっ」
レオンに抱上げられて口をゆすいでから、濡れタオルで顔を拭きます、レイちゃんまだ上手く顔を洗えないので。
「「コケッコッコ、コケッ」」
ピーちゃん達が帰って来たみたいですね、お土産は何かな?
さあ、お着替えしてお外に遊びに行きましょう。