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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
神様の弟子の置き土産
13/54

会合と春の味覚 中

レッカおばあちゃんと脳筋ブルーノが、暴走気味……

 レオンさんが帰ってくるの夕飯頃って言ってたよね、今夜は何作ろうかな?

 そう言えば、この前シバさんが持ってきてくれた野菜の中にタラの芽と蕗の薹、菜の花があった、春が近いって事かな……筍ないかな~?


「獣人族里で食べてる野菜や山菜は、とりあえず全種類1回は届けるようにって黒竜様に言われたから持ってきたっすけど、これ不味いっすよ。それにキバナって食べれるんっすか?」

 シバさんがびっくりした顔で見られましたが、

「この花は咲く前の緑色の蕾の時に、軸ごと茹でて辛子あえにしたりハムと炒めたりして食べてたよ。他の2つは、里ではどんな料理にして食べてるの?」

「塩で茹でたり、焼いたり?じいちゃん達が、昔食べるものが無かった時に食べた味だって、たまに食べる位っす」

 その料理じゃあ子供にはツライね、天ぷらにしたら食べやすいんだけど。

「衣をつけて揚げたりしないの?」

 って聞いたら、シバさんガックリしちゃった?

「昔火事を起こしたって、油で揚げるの禁止なんっす、唐揚げ美味しかったのに残念っす」

 あはは、やっぱり若い男の子には唐揚げ人気よね。


「サクラちゃんの所では、このトゲノメとニガバナは油で揚げて食べるっすか?」

「他にも料理法はあるけど、それが一番食べやすいかな?私は春の味覚って言って毎年食べてたよ」

「へ~、異世界って変なもん食べるっすね、まさかグングンの若木まで食べるって言わないっすよね?」

「グングンの若木?どんな物なの?」

 もしかして、筍?だったら良いな。

「全体が緑色で節の有る細い木みたいな植物で、春に茶色い皮のある若木がでるっす。その若木が1日で子供の身長位迄伸びるっす、どんどん増えるんで短いうちに切り倒すんっすけど、じいちゃん達は昔これも食べたって言ってたっす」

「筍ね、やったー私は大好きよ。土の上に出る前に掘った物は柔らかくて美味しいのよ。土の上30センチ位の物なら普通に料理出来るから、生えたら持ってきて貰えないかしら?」

「えー、あれも食べるっすか?異世界人って……」

 シバさんびっくりしてるけど、筍美味しいのよ。

「じゃあ、持ってきてくれたら料理して食べさせてあげる。だからよろしくね」


 そうだ、今夜はタラの芽と蕗の薹の天ぷらと新玉ねぎのかき揚げ、蕗の薹味噌と菜の花の辛子あえにしようっと。

 蕗の薹味噌用に3分の1をよく水洗いして、少量の重曹で茹でてあく抜きして、水を替えながら2時間位水にさらしてっと、野生のはあくも強そうだしね。

 水気を絞ったら、ざく切りしてフライパンで炒めて唐辛子を少し、ある程度炒めたところに砂糖、酒、味噌を入れて練るように火を入れて出来上がり。

 癖が有るけど、お酒好きの人には堪らないらしいんだよね、白いご飯にも合うし。

 菜の花はかるく湯がいて、辛子タレであえるだけ(笑)

 後はレオンさんが帰ってきてから天ぷらを揚げれば完成ね。


「「コケッ、コッコ??」」

 あ、レオンさん帰ってきたかな。

「レオンさんお帰りなさい、すぐに夕飯出来ますから……」

 玄関ドアを開けると赤い髪の小さいおばあちゃんがいました。

「こんばんは異世界のお嬢さん、私はサウスダンジョンのマスターで赤竜のレッカ。今日はちょっとご挨拶に伺ったんだよ、お邪魔していいかね?」

「はじめましてレッカさん、上野桜ですよろしくお願いいたします」

「サクラちゃんねよろしく、私はウェストダンジョンのマスター白竜のブランよ」

「うわ~美人さんだ~……はっ、すいませんブランさん。よろしくお願いいたします」

 すごいなぁ、白い髪に銀の瞳でも違和感が無いのは美人だからかなあ、レッカさんも可愛いおばあちゃんだし、レオンさんも格好いいもんね、竜って美形揃いなんだなぁ。


「ちょっとちょっとレッカ、何これサクラちゃん小っちゃくて可愛いんだけど、レオンにはもったいない家に連れてっちゃダメかな?」

「レオンに殺されたく無かったら、止めとくんだねブラン。しっかりマーキング済みだよ、自分の巣に大事に隠した上に、サクラちゃんに自分の魔力を纏わせるなんて、番に対する行動だからね」

 レッカさんとブランさんが小さい声で、何だか怖い話をしてるんですけど……番って……

 それに確かにブランさんは180センチ以上の長身だけど、私レッカさんより大きいのに小っちゃいって……どうせ155センチしかないですよ。


 そっと二人から目をそらすと、青い髪のマッチョなおじさまがピーちゃん達とバトルを始めてる。

「うぉぉぉ、かかってこいやぁこやぁ」

「「コケーッコッコッコ、コケーッ!」」

 レオンさんも見てないで止めてください!

 流れ的にあの方は、イーストダンジョンのマスターの青竜さんですよよね。

「ピーちゃんコッコちゃん、止めなさい。その人はお客様よ」

「「コケッ?コッコッ」」

「おい何だ?やらねぇのか、ほらかかってこいよぉ!」

 ピーちゃん達はすぐに攻撃態勢をといてくれたんですが、おじさまが挑発を続けてます……脳筋……あぁぁピーちゃん達まで残念な人を見る目になってる。

「おい筋肉ダルマいい加減にしやがれ、ピーとコッコはお前の玩具じゃねえ」


「レッカとブランも、もう気がすんだだろ。さっさと帰れよお前等」

「なにぃ?俺達に異世界の食事をご馳走してくれるんじゃなかったのか?」

「今すぐ飯食わすとは言ってなかったろうが!お前は何を聞いてたんだ!」

 おじさまは今度はレオンさんと睨み合ってるし……どうすればいいの?

「サクラちゃんごめんねぇ、アイツはイーストダンジョンのマスターで青竜のブルーノって言うんだけど、脳筋なのよ」

 ブランさん、脳筋ってそんなはっきり言ってしまうんですね。

「うるさくしてすまんね、レオンがあんまり自慢するもんだから異世界の料理って物が気になってね。今度私達にも食べさせてもらえないかね?」

 え?料理?レオンさんが自慢って、普通の家庭料理しか作れませんよ~


「そうそう、ブルーノの所から魚介類を色々持ってきたのよ。今度来る時はうちのダンジョンから果物色々持ってくるわね、うちはエルフを保護しているから植物系の魔物が多いのよ、あの子達肉や魚食べないからねぇ」

「私のダンジョンはドワーフを保護しているから鉱物系が多いんだよ、あの子達は鍛冶仕事が好きでね、後は革製品の為の爬虫類系だから食べるのはねぇ……」

 ……えっと、作り置きのおかずで申し訳ないけど肉じゃがが有るから菜の花の辛子あえと、蕗の薹味噌とお味噌汁で食べてもらってる間に魚介類で天ぷらの具を増やせば何とかなるかな?


「サクラ、騒がしくてすまん。悪ぃけど今度こいつ等に飯食わしてやってくんねえか?」

「レオンさんお帰りなさい、会議お疲れ様でした。ブルーノさん、上野桜ですよろしくお願いいたします。後、魚介類を頂いたそうでありがとうございます」

「おぉ~、小っこいのにちゃんと挨拶が出来てえらいなあ。でも、ちゃんと飯食わないと出るとこ出ねぇぞ、魚介類ならいくらでもやるから、もっと食って大きくなれよ」

 ブルーノさん痛い痛い、凄い力で頭撫でるの止めてください~首が、後変な所見ながらニヤニヤしないで……これでも日本人の標準はありますからなんて思ってたら、レオンさんとブランさんからブルーノさんに蹴りが入りました。

「サクラに触るんじゃねえよこの筋肉ダルマ!てめぇ今どこ見ていやがった!」

「そうよ、あんたみたいな脳筋の馬鹿力でサクラちゃんに触ったら怪我させるでしょ、あんたは接触禁止」


「ブルーノも馬鹿だねぇ、同族の番に手を出すなんて。レオンがそれに気が付いてないから良かったものの、本来だったら殺されても文句は言えないのにねぇ」

 ……あの~レッカさん、さっきから番って誰のことですか?私じゃないですよね、ね。

 そんな気の毒な者を見る目で見ないでくださいよ……

「サクラちゃん、レオンはまだ気が付いてない様だけど、あんたはレオンの番だよ。私ら竜族は本能で番を見つける、見つけた番には独占欲全開で溺愛するからね、今のうちに覚悟しておくんだね」

「あの、レオンさんみたいに強くて格好いい人が本当に私を?魔力も無いただの人間です、私なんかレオンさんに釣り合わないんじゃ……」

「サクラちゃん、本能に釣り合うとか釣り合わないとか無いんだよ。私の番はドワーフだったしね。それに格好いいとか釣り合わないとかサクラちゃんもレオンのこと嫌いじゃないみたいだねぇ」

 かーっと頬が熱くなって真っ赤になったのが分かる、レッカさん笑わないでくださいよう。

 だってレオンさん、見た目ワイルドなイケメンなのに優しくて私の好みど真ん中なんですよ、そんな人が毎日私の作るご飯が美味しいって食べに来てくれて、色々気にかけてくれて、好きにならない訳無いじゃないですか……

「クスクス、可愛いねぇ。何か困ったらコレで私と話せるから連絡しておいで。ブラン、ブルーノ帰るよ」

 

次は3月5日の0時の予定です。

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