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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
神様の弟子の置き土産
12/54

会合と春の味覚 上

竜の皆さん、口が悪いです。

 大陸の東、イーストダンジョン内の一室にて


「定例会議を始めるぞぉー、皆いるかぁ!」

 このイーストダンジョンのマスターである青竜のブルーノが大声をあげる。

「うるせぇ!そんな大声出さなくても聞こえるっつうの」

「そうそう、そんな事だから保護してる人魚達に嫌われるのよ」

「レオンもブランもブルーノを苛めるのはお止め、確かにうるさい奴だけど泣き出したらもっと鬱陶しいからね」

 俺と一緒になってブルーノに文句を言ってるのは、ウェストダンジョンのマスターで白竜のブラン、俺達を止める振りして毒を吐いてるのはサウスダンジョンのマスターで赤竜のばーさん、レッカだ。


 この大陸の東西南北に1つづつある未踏破ダンジョンのマスターは全員竜で、神のジジイの頼みで北は俺が獣人族を、東のブルーノが人魚と魚人族を、南のレッカがドワーフを、西のブランがエルフをそれぞれのダンジョン内に隠れ里を作り保護してる。

 面倒くせぇが、こいつらを保護してるって事で人間共の動向を探る為にも、1年に1回は定例会議を開く事になっている。


「……酷い、俺は悲しいぞぉ。せっかく久しぶりに会った同族「うるさい!さっさと始めろ筋肉ダルマ」……」

「ぐすん……えーでは、人間の動向だが東は変わり無しだ!以上!」

「以上じゃないでしょ、この脳筋!それだけ!それだけなの!あんた、いい加減にしなさいよ!」

 ブランがブルーノに突っかかっていく……妙に苛ついているな、西で何かあったのか?

「ブラン、西で何かあったかね?怒ると皺が増えるよ」


「レッカ……ダンジョンの近くの森ではぐれエルフが人間に見つかったらしいの。その子は結局人間との戦闘中に殺されてしまったのだけど、王族や貴族が血眼になってエルフを探しているわ。1人居たのだからまだいるはずだって……ダンジョンにも、人間が大挙して来てる」

「そうかい、まったく人間共はどうしようもないね……里のほうは大丈夫かい?」

「エルフの隠れ里は地上45階の隠し通路の先にあるし、人間達は30階辺りで行き詰まっているから、大丈夫だと思うのだけど……人間達に妙な病気が流行っているのよね」

「あぁ、高熱がでて咳が止まらないあれか?うちのダンジョン内でも居たぞ」

「おや、レオンの所もかい?私のダンジョンにも居たんだよ」

「ばーさん所もかよ、おいブルーノお前ん所は?」

「そう言えば、うちのダンジョンも水中でお宝探してる最中に咳がでて溺れ死んだ人間が5人位いたなぁ」

 何が変わり無しだ、この脳筋が……


「大陸全土で流行っているみたいだね、でもおかしいね?こういう時はあのバカ娘が、王族や神殿に何か能力をやって自分の位を上げようとするのに」

「どうせこの病気も、あのクソ女がやったんじゃないの?自分で病気を流行らせて、その病気を治す能力を与えた私を崇め奉りなさいなんて。あのクソ女、人間達に『麗しの君』なんて呼ばせてるのよ」

 レッカとブランが顔を歪めながら話してる、こいつらもあのクソ女嫌ってるからな……まあ、あれだけ迷惑掛けられればしょうがねぇが……


「クソ女なら居ねえぞ、別の世界から菓子を盗もうとして、その世界の人間こっちに連れてきちまった上、そいつを殺そうとしたのが神のジジイにバレて転生させられたからな。まあ、病気自体はあのクソ女が流行らせたんじゃねえのか」

「はぁぁあ?それ本当なのレオン?あのクソ女がいないって、そう言うことはもっと早く教えてよ」

「そうじゃな、これは人間共の国が荒れるね、今まであのバカ娘に取り入って甘い汁を吸ってた連中が騒ぎだすだろうね」

 うぉっ、ブランもレッカも怖ぇー顔、顔は笑ってるのに目が笑ってねぇ……


「ところで、その人間はどうしたんだ?レオン」

「俺のダンジョンの隠し部屋で暮らしてるぞ、家ごと転移してきたからな。とりあえず肉類は俺が、野菜は獣人の里から運ばせてるから、そこから出ずに暮らせるしな」

「ちょっとレオンあなた正気なの?人間よ、何で放り出さないのよ!獣人達が危険でしょ!」

 一人知らん顔をしていたブルーノの質問に答えるとブランが目を剥いて怒る……

「しょうがねぇだろ、サクラは魔力0なんだから。あっちの世界は全員魔力がねぇらしいぞ。亜人種への偏見もねぇ、何かもふもふしてて可愛いとか言ってからな」

「えらく肩入れするね、レオン。お前が人間に対してそんなに気を使うなんて何があったんだい?」

 レッカが何か探る様な目で見てくるが、何もねぇって……


「そうか?サクラは良い匂いするんだよな、ずっと手元に置いときたい感じの、あとサクラの作る飯は美味いからな、美味いもんを食うための手間なら苦にならん……ってやべぇ」

 おいおいおい、お前ら全員目が怖ぇーって……竜族は皆食い意地はってるからな……

「レオン、お前一人でそんな美味いもんを食っていただと!俺は悲しいぞぉ、たった4人の同族じゃないか、何故秘密にする!」

「そうね、独り占めは良くないわ。私達にも食べさせなさい」

「私も異世界の料理には興味があるねぇ、レオン?」

「はあ?何でお前等にサクラの飯を食わせなきゃいけねぇんだよ、もったいねえ!俺の取り分が減るじゃねえか」

「ちょっとレオン、器の小さい男はモテないわよ」

「子供みたいな事を言うのはお止め、みっともないねぇ」


「あぁもう分かった、お前等にも何か食わせりゃあ良いんだろ。けど今すぐは無理だぞ、準備もあるだろうし材料も必要だからな。あぁそうだブルーノ、何か魚介類分けてくれねぇか?サクラに土産持って帰るって言っちまったからな」


「……ねぇレッカ、レオンのあれって本当に美味しい料理だけのせいかしら?」

「そうだねぇ、番に対する独占欲にも見えるね、レオン自身は気付いてなさそうだけど」

「ふふふふ、何だか面白い事になりそうね」

 レッカとブランが隅の方でこそこそ話してるのを無視して、ブルーノが貯めこんだ食料を物色する。

「あぁぁレオンちょっと待て、勝手に漁るな!」

 よしよし、エビに貝類、魚も色々貯め込んでるな。

「何も全部持ってかねぇよ、2人分あればいいんだ。代わりにデスホーン1匹置いてくから良いだろ」

「何!デスホーン?我が友よ、いくらでも持っていくがいい。その代わり又肉類を頼む」

 ブルーノ……いくら肉好きでもチョロ過ぎだろ、さすが脳筋……


「さて、定例会議もこれで終わりかね?じゃあレオンの所へ行こうかね」

 はぁ?レッカ待て、何でそうなる。

 おいおいお前等も何うなずいてんだよ……

 …………サクラ、すまねぇ

次は来週日曜の0時に投稿出来るようにがんばります。

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