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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
神様だって大変です
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弟子の不始末

 休日の昼前、久しぶりに遊びに来る友人の好物のハンバーグを4つデミグラスソースで煮込んでいたら、突然真っ白な光に包まれ眩しさに瞑っていた目を開けると、全方位を岩壁に囲まれながらも何故か明るい空間にいた……


「ふざけんなよ、何て事しやがんだてめぇ」

「しょうがないじゃない、力の配分間違ったんだから。あんた神の眷属なんだから、何とかしておきなさいよ」

 目の前で黒色の上下を着た黒髪の男の人と言い争っていた白いワンピースをきた白い髪の美少女が突然消えた……一体どうなってんの?


「あの~、ここは何処ですか?何故私はここにいるのでしょうか?」

「あぁぁぁぁくそ面倒くさい、あんたはさっき迄此処にいた女のミスで別の世界からこっちの世界に転移したんだよ、家ごとな」

 異世界転移?え、何で私が?

「おい、聞いてるのか?此処は俺のダンジョンの隠し部屋だ、取り敢えずあの家の中の物はダンジョン内の魔力で今まで通り使えるようにしてあるから此処で暮らせよ」

「ちょっと待って下さい、元の世界には帰してくれないの?それに、いきなり家1軒消えて元の世界で騒ぎになってないの?」

 どこかに行こうとする男の人を慌てて引き留めて質問すると

「無理無理!俺に元の世界に帰す力なんてねぇよ、だいたいあっちの世界では、あんたもあんたの家も元々無かった事になってるよ、そういう誤魔化しは上手いんだあの女」


 そんな……無かった事になってるって……思わず体から力が抜けて座り込んでしまう。

「運が悪かったと思って諦めな。あぁそうだ、間違ってもこの部屋から外に出るなよ、お前なら直ぐ死ぬからな」

「この部屋から外に出るな?直ぐ死ぬってどういう事ですか?というか、貴方は誰なの?」

「人に名前聞く前に自分が名乗れよったく、俺はこのダンジョンのダンジョンマスターで黒竜のレオンだ。この部屋の外は大量の魔物が彷徨いてる、お前みたいな弱い奴は直ぐに殺されるぞ」

「すいません、私は上野 桜です。もう少し詳しく教えてくれませんか?お願いしますレオンさん」

「ちっ面倒くせーな、腹が減ったから飯食いに行きてーのに、だいたいお前から美味そうな良い匂いしてるしよう」

「美味そう……食べられる!」

 思わず飛び退くとレオンさんからジト目で見られた

「人間なんざ食わねーよ魔物の方が美味いんだ、が……これ何の匂いだ?すげー美味そうなんだが」

 そう言われて服の匂いを嗅いでみるとデミグラスソースの匂い、煮込みハンバーグ作ってたわ。

「多分ハンバーグの匂いだと思うんですが、レオンさんも一緒に食べますか?」

「おっ、いいのか?異世界の食い物って興味あったんだ、よし食おーぜ」


 若い男性の食欲って凄いんですね……それともレオンさんが竜だからでしょうか?

 握りこぶし大に作った煮込みハンバーグ3個、丼山盛りご飯3杯、付け合わせのポテトサラダも小鉢では足らなかった為丼で……

「うめ~何だこれ、初めて見たこの白い粒々も噛んでると甘味が出てくるし何よりこの茶色い汁のかかった柔らけー肉と一緒に食べると堪らねぇ、このちょっと酸味のある白いのも食べた事ねぇ味だ。おいお前、もっと食いてえ他に何か無いか?」

「お前ではなく桜です。それにもっと他にと言われても家の中にある食料は限られてるの……この部屋から出れれないなら早々に飢え死にするわ」


「あ~そうか人間は食べなきゃ死ぬんだったな。しかしサクラ、お前ガキの癖に落ち着いてるな、普通別の世界に飛ばされてもう帰れないなんて言われたら、もっと泣き叫んだりするもんじゃねえの」

「ガキって私28歳なんだけど、それに泣き叫んでどうにかなるの?ならないでしょ……だいたい神様?のミスで異世界転移したんだったら一言位謝るのが普通じゃないの?それがない上にレオンさんと話していた内容で彼女がまともじゃないのは分かったし」

 そう言った瞬間バチバチッと体に電気が流れる様な衝撃がはしり床に倒れてしまった

「この無礼者!妾がまともではないですって?ふざけんじゃないわよ、妾の恩情でこの世界に存在することを許してあげたのよ、もういいわ今すぐ死になさい」


 痺れが残る体を起こし見上げた先には美しい顔を歪め雷を纏った少女……その後ろにおじいさん?

「ばっかもーん、何をしようとしておるのじゃ!別の世界の住人を誘拐した挙げ句殺そうとするなど、神の弟子失格じゃ」

「お師匠様~、たかが人間一人の事で酷いですぅ。どうせこの女、病で直ぐ死ぬ予定だったのですよ、今すぐ死んでもたいして問題ないんですよぅ」

「人の生き死にがたいしたこと無い訳があるか、今回の事だけでなく儂に隠れて色々やっていたことも知っているのじゃ、ぐだぐだ言わずに生まれ直して一からやり直してこい」

 おじいさんが持つ杖が光ったと思ったら、少女が消えた……


「桜さん、この度は儂の弟子が迷惑をかけて申し訳なかったのぅ」

「それに言いにくいのじゃが、儂でも元の世界に戻す事は出来んのじゃ」

「いえ、元々病気で長くはないと言われていたのです。元の世界では私は居なかった事になってるのですよね、そのほうが友人達を悲しませずにすみますし、それまで此処で静かに暮らせればそれで良いです」

 そう言ったとたんレオンさんに肩を掴まれた、えっ何か怒ってるの?

「簡単に諦めるんじゃねぇよサクラ!おいジジイ、何とかならねぇのかよ」

 簡単に諦めるなって、私だって死にたくないわよ、でも現在の医学ではもう……

「ふむ、病は儂が治せるが魔力を授ける事は出来んのじゃ、桜さんの様な魔力0の人間は人の住む街や村に行けば捕まって奴隷にされてしまうしのぅ」

「魔力0は問題ねぇよ、家は此処にあるし魔物の肉や魚は俺が狩ってくる、サクラが美味い飯さえ作ってくれるなら俺が面倒みてやるよ」

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