カフェイン少女
「カフェインは合法」
ビールや麻薬は規制されるが、コーヒーは規制されない。
また、道端で売られている自販機の飲み物はほとんどカフェインが入っている。
「カフェインッ、カフェイン♪」
ふふん、と、三日月司、女子高生は言う。彼女は、カフェインが大好物なのだ。彼女の言によると、脳がかあっと熱くなるらしい。
「カフェインッ、カフェイン♪」
ちょっと危ないこの彼女は、今日もお気に入りの自販機の前で、ちゃりんと、小銭を出す。そして、お金を投入する。
お茶、ウーロン茶、紅茶、緑茶、コーヒーカフェインーーカフェインーーカフェインーーカフェインーーカフェイン!
彼女は自分のことを危ないと思った。いけない。こんなの健全な女子高生じゃない。ーーカフェインに興奮するなんて。
なんて、いいながら、結局、彼女は自動販売機で缶コーヒーを買ったのだった。ちゃりん。百二十円。 ……お釣りは出てこない。当たり前だ。ぴったり出した。
……コーヒーを飲みながら、彼女は下校する。凄くいい気持ちになりながら。ぷはあ。ああこりゃいいぜ。誰にもばれない快感!
ーーああ、誰よりも大好きだよ、カフェイン、カフェイン、カフェインカフェイン!
今のところ、誰にもばれていない。この彼女の嗜好、嗜癖は。まあ体質か。
彼女は、コーヒーを飲むと、トロッとするのだ、脳が。脳味噌が快感で満たされていく。
彼女は町を歩く。道路は道路のような灰色。遠くから白い犬がやってきた。人も付いているから散歩らしい。
そろそろ日も暮れてきた。彼女は空を見上げた。空が缶コーヒー色に染まっている。……ああ、このまま……狼のようになって、アアアと吠えて、この町を駆け巡るのだ。あははっ。
私よ、謳歌しろよ、この日々を。……と、彼女は缶コーヒーを片手に、町中をぶらぶらと歩く。




