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34人目

作者: 遠山海月

-69日間、辛く苦しい日々だった-


地上から送られてきたフェニックスと名付けられた鉄籠に乗って先程また一人、仲間が上がって行った。

無事に到着したのだろう、ひと際大きな歓声が救出のためのトンネルを通して遥か地の底にまで微かに響いてくるような気がする。


突然の落盤事故。

暗い地底に閉じ込められた三十数名の仲間たちとの過酷な日々。

二か月以上にも及ぶ暗闇での生活を今日まで生き耐えてこられたのは、互いに励まし助け合うことができたからだ。

生死をともにした素晴らしき仲間たち。


地上の救出隊から伝えられる情報では、我々の事故のニュースは世界中に衝撃を与えたようで、現場には多くの人々が心配し、駆け付けてくれているという。

先刻からの救出の模様もテレビで放送されており、まさに世界中の人々が我々の生還を固唾を呑んで見守ってくれている。


既に救出された仲間たちは家族との対面に幸せを噛みしめていることだろう。

家族も知人もいない俺にも、鉄籠から降りるときには多くの人が無事を喜び熱い歓声で迎えてくれるに違いない。


先程33番目の仲間がフェニックスで地上へ昇ってからどれだけ時間が過ぎただろう。

次はいよいよ最後の一人、俺の番だ。

籠の到着が待ち遠しいぶん、余計に時間が長く感じられる・・・


日頃、影が薄く存在感がまるで無いといわれる俺も、この悲劇の最後の救出者ともなれば世界中の人々からこのうえない歓喜の注目と喝采を浴びるだろう。 



それにしても…フェニックス、なかなか降りてこないな・・・

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