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006 初のレベルアップに歓喜

「やったぜ!」


アストは握りこぶしを作り天に突き上げる。


レベルが2に上がったのだ。


あの後、三匹グループ、二匹グループと戦い、最後の一匹を倒した瞬間レベルが上がったことを知らせるアナウンスが脳内に響いたのだ。


ドロップ品は三匹グループで黒パン一つ。二匹グループはドロップ無しと中々渋い。


未だに喉は乾いているが、それもレベルアップで思考の端に追いやられる。


「おおっ! 予想通りSP20ポイントゲットだ!」


【天賦の才】により倍に増えたのだろうSPを見てアストは小躍りし始める。


「取り敢えず敏捷に10振ってみようかな」


ブルタ対策兼ゴブリン狩りの効率アップに敏捷を上げることにする。


ダンジョン攻略を始めて三十分程度で三グループに出会えたが、戦闘はほぼ一分程度で片付く為、ほとんどが移動に費やされている。


その移動を短縮してエンカウント率を上げるなら移動速度を上げるのはハクスラ系ゲームでの常識であった。


ゲームの場合は移動速度上昇系が付与されたアイテムは中盤以降にドロップしやすく、序盤で取れる移動速度上昇のスキルの効果は微々たるもの。


だが、この世界での敏捷はそのまま移動速度に反映される為、上げれば上げるほど素早く移動出来るようになる。


故にアストは効率を求めて大胆にも10ポイント振ることにしたのだ。


初期の10から倍になった敏捷20。さらに、スキルのバフにより敏捷30と恐らく一般人の三倍。


「よしっ……とう!」


軽く走り出してアストはその効果の違いに歓喜する。


腕力の値が26で子供の重さほどあるゴブリンを投げ飛ばすという常識外れの力を得られたのだ。それ以上の値になった敏捷の効果も同じように凄まじい。


チーター並に足が早くなったのでは? と錯覚するぐらい体が軽い。


その結果、探すのにも十分程度時間を要したゴブリン探しも数分に短縮出来た。


素早さを生かした動きにより、ゴブリン達が反応する前に完封。ワンサイドゲームであった。


「水だ!」


そして幸運にも望んでいた水が、竹の水筒に入った状態でドロップ。


【N】普通の水

[味は可もなく不可もない普通の水。飲むことも出来る]


量としては300mL程度とすぐに飲み干してしまうが、水筒代わりの竹の容器は消えなかった為、【インベントリ】に仕舞っておく。


「ふう〜ひと息ついたよ。それにしても運がいいね! ……はっ! これが幸運のお陰か!?」


一つだけぶっ飛んだ値を叩き出す幸運210の効果なのではと思い当たる。


「そういえばハクスラのゲームでドロップ率アップのことを、幸運値と言い換えるゲームもあったな……」


そのゲームだと幸運値が三万とかになってようやくレア掘りが出来るようになるとかいうぶっ飛んだインフレをしていた。


「幸運値によりドロップ率が上がるなら……この世界で僕はレア掘りが出来るのか?」


ゴクリと唾を飲み込むアスト。


彼はハクスラが大好きな人間だったのだ。


レアな武器も防具も手に入れて自分のアバターを着飾る。そしてフィールドの雑魚モンスター達を一方的に叩きのめす。そんな無双プレイが大好きなのだ。


そんなことを夢見てはハクスラのゲームに手を出す日々を送っていた。


だが大抵のゲームはストーリーをクリアしたぐらいで辞めてしまう。


何故なら強くなる理由が無くなるからだ。


無双は一瞬で飽きる。何故なら自慢する相手も居なければその力を振るう敵も居ない。


「でもこの世界なら……イキれる! ドヤれる! 持て囃される!!」


ゲームと違い、ここは終わりなきリアル。


ドヤれる相手はいくらでも居るし、イキれる悪人も掃いて捨てるほど居るだろう。


アストは全身が震えるほどの歓喜に包まれる。


「ここから始まるんだ。僕のハクスラライフが! その為にも、このチュートリアルを突破しないとね」


ブルタをチュートリアルボスに定めて、アストは錆びた短剣を握り締め、駆け出した。


鎧袖一触。


より効率を求め、さらに敏捷に10ポイント振ったアストは風のように素早く駆け、ゴブリンをその腕力のもとに蹂躙していく。


そしてなんか半端だなぁと言う理由で3ポイント腕力に振ってご満悦。


腕力30。敏捷45。残りSP10。


圧倒的なステータス差でレベル上げに勤しむ。


「キタキタキターッ!」


道中でステキなドロップ品に興奮する。


【N】青銅の剣

[攻撃力60 耐久値50]


【N】銅の短剣

[攻撃力20 耐久値20]


錆びた短剣を【インベントリ】に仕舞い、利き手の左手に青銅の剣を握り、右手に銅の短剣を握る。


二刀流である。


「……一刀流を極めてからにしようかな」


それぞれ動かすのは難しいと察したアストは銅の短剣を【インベントリ】に仕舞い込み、青銅の剣を両手に持ち素振りする。


ずっしりとした重さだが、アストには竹刀と同じぐらいの重さに感じた。


【最下級剣術】ではどれほど補正が掛かっているのか分からないが、普通に振り回すことは出来るようで一安心。


そもそも短剣も剣術カテゴリーに入っているが、殴る蹴ると合わせて使っていた為、アストにはスキルの恩恵を感じとれるほど使いこなせなかった。


他のドロップ品もあり、黒パンや水も幾つかドロップし、ゴミにしか見えない汚れた腰布も一応回収する。


レベル3に上がるのに十四匹掛かり、レベル4は二十二匹と徐々に要求経験値が増えていく。


レベル二つ分のSP40。


30を敏捷に振り、10を体力に振る。


理由はアストが息切れを起こすようになったからだ。


本気で疾走すると数分でぜぇーぜぇー呼吸が荒くなり、休憩が必要になり敏捷の恩恵が上手く機能しなくなった。


ならばと体力に1振ってみれば心做しか楽になり、5振れば呼吸が楽になる。合計で10振ることでかなり改善することに成功。


体力460。敏捷90。残りSP10。


もう時期、敏捷が三桁の大台に乗る。


これ以上敏捷に振れば今の体力値では恐らく体力切れを起こしかねない為、これ以降のステ振りは控えることにした。


残りはブルタと対峙したときに不足した箇所を振っていくことに。


リミットまでひたすらアストはレベル上げと装備の更新に勤しむ。

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