機械の国の王子様
我が名はアストライド・バルミシア。
西暦3117年に建国された機械国家、アストラの王だ。
最早、西暦という言葉を使う事すら少なくなっているこの世界だ。
約1000年ほど前に起きた大災害、それを人々はラグナロクと呼んでいる。
この世界にはもう、ラグナロク以前の旧世界を知る者は居ないと思われる。
アストライド政権が始まった頃に、我が国家アストラは一本の剣を作った。
その剣はいずれ王となる人物へと捧げられる。
我もそれは例外ではなかった。
しかし、どうも我には理解出来ない事があったのだ。
この国、機械国家アストラの王は戦わなかった。
そんな伝説の剣を持っていたのにどうして戦う事を選ばなかったのだ。
憐れな国王。
使わぬ剣に何の意味があるというのだ。
我は感じている。
剣を作った武神が泣いていると。
憐れな我が国を許してくれ、武神ヘパイストスよ。
我は決意するのが遅すぎたのだ。
この歳ではもう、全力の攻撃を繰り出す事など出来はしないだろう。
しかし、武神の想いは決して無下にしないとこの心臓に誓おう。
そしていつの日か我の息子が大きくなった時に、武神の想いと共に息子へと捧げよう。
我が息子、機械国家の王子アストライド・アーサー
そして、アストラの宝剣エクスカリバー
バルミシア王と武神ヘパイストスの想いは、バルミシア王の息子に受け継がれる。
宝剣エクスカリバーとアーサー王子へと。