この世界
ある者は夢を見た。
それはとても暗い、黄昏の悪夢であった。
真っ暗な深き森を抜けて、山の麓からこの世界を見た。
この世界にはあらゆる人間が居て、全ての人間は日夜利権争いに明け暮れている。
サラリーマンも、ヤクザも、学生も。
人間は誰かを蹴落としながら生きていく生き物、しかし、自分一人では決して生きる事など出来ない。
人間はいつだって、誰かと協力する事で膨大な力を得てきた。
でも、人間と言う生き物は決して完成された生き物ではないから、だから自分たちは完成されていると勘違いをしてしまう。人々は互いに争い、そして壊れていった。
そんな壊れた人間から生み出された人間もまた、完璧な人間とは言えない。
人間には感情がある。それがある限り本当の意味で完成する事はないのだろう。
それでも、産まれた俺達は生き残らなくてはならない。敵が神だとしても。
神が人間を写す物なら、私達はいったい何を映しているのだろう。
神の目に映る私達は、いったい何に見えているのだろうか?
神は何を持ってして神?人間は何を持たざるから人間?
いつか、人間は神に牙を向ける時が来るだろう。
その時、人間は人間であると信じる事が出来るのだろうか?
神は何をもって神なのだと、真実を知る事が私には出来るのだろうか?
世界は絶えず進み続ける。
たとえその先に、崩壊しか待っていなかったとしても。
僕は天使だった。そんな僕でも出来ない事があるのだと、無力な自分を呪った。
自分を呪った。世界を呪った。
でも僕の前にあるのはただひたすらに続く絶望と、ただ永遠と繰り返す絶望。
僕はゆっくりと、でも確実に、摩耗していった。
世界は繰り返すのか?
僕は何処へ行ったのか?
まぁいいや、また会おうね。