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そのモニターに何かが映りだす。
それを要約するならばこうだ。
荒廃した土地を踏み荒らしていく人ならざる者が、人?を無惨に踏み殺している。
ゼウス『こやつは自らを”踏み潰す神”と名乗っている・・・が元はワシと同じゼウスだった成れの果てじゃ』
「えっと、話が追い付かないんですが?」
裕也「ゼウス?元?っていうか踏み潰す限定の神って何!?」
ゼウス『ふむ前提知識としてまずはコレを頭に留めておくのじゃ。
この世にはありとあらゆる事象に対して神が存在しておる。生き物が生き物を踏み潰すとき、”踏み潰す神様”がその運命を授けるのじゃ。
じゃが奴は一線を越えた、自身が神であることを良いことに己に対してその力を使った。
自らに踏み潰す運命を課したのじゃ、その結果無慈悲に手当たり次第踏み潰すだけの存在になり果てた。』
裕也「元ゼウスの件は?」
ゼウス『パラレルワールドから呼び寄せられた存在は同一個体であることを拒みアイデンティティを自動で構築しておるのじゃ。』
2人「?」
ゼウス『この世に完全に同一の個体が存在してはいけないのじゃ。それは世界の意思とも呼べるワシら神にも逆らえぬ運命を以て捻じ曲げようとしている。
その結果がこれじゃ。
その上さらに、今も尚増えゆくあらゆる現象・事象に関与する神が生まれようとしている。
世界の意思は効率を考えたんじゃろう、呼び寄せられた同一の存在に生まれゆく神を対応させたのじゃ。
そしてやつは、”踏み潰す”という行為に干渉する神が当てられたある地点のパラレルワールドのゼウスということになるっていうわけじゃ』
2人「やっぱよく分かんないわw」
「で、それが俺たちに何か関係あるのか?」
ゼウス『奴を殺してきてくれ。』
・・・
・・
・
2人「・・・。歯ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
ゼウス『うるさいわいw』
「いやいや、無理です。俺たち高校生。」
裕也「そうです、俺たち人間です!」
ゼウス『そこは大丈夫、神様の力を授ける。
神を滅する神の力!』
「・・・いや、その力あるんなら自分でやればいいじゃん!」
ゼウス『それはできん。』
「なんで?」
ゼウス『この力は元人間にしか与えられない。』
・・・
「訳が分からない。」
ゼウス『えっと、橋本龍星君には神の行動を制御する力を!元原裕也君には神の力を消滅させる力を!それぞれ与えるぞい。』
「いや、だからなぜ!?」
裕也「力被ってない?」
ゼウス「疑問は1つずつ片づけていくぞ?まず龍星君、神は神を滅ぼすことが許されておらん。同族殺戮は禁忌じゃからじゃ。
悪意を振りまく存在になり果てたとしても神は神、ワシじゃ太刀打ちできん。
そこで既に死んで骸となった2人にご褒美じゃ、第二の人生は神殺戮ライフ。
どうじゃ、気に入ったか?』
「いや、ほしくないですけど。」
裕也「やっぱ俺死んだんだ。」
ゼウス『ふむ、では裕也君の質問に対して答えるぞい?
具体的には龍星君には神の力に対抗する力を授けるということじゃ。
お主が思い描く神に対抗できる力をそのまま発揮できるのじゃ。とはいえ何でもできるというわけではない、対面する神に対し有力だと判断した場合のみ行使できる。じゃから好き勝手できんからそこは注意してくれ。
そして、裕也君には神の力を使いきった時に触れたものを消滅させる力を与える。これも誰でも彼でもできるわけではない識別機能がしっかりついているからして、好き勝手消せないようにしておる。
答えはこれで良いか?』
裕也「神の力って使い切るってことあるの?」
ゼウス『そこは龍星君の力の見せどころじゃな、使い方次第で如何様にもできるじゃろうて・・・
ところで結局お主らはどうしたいんじゃ?
さっくり諦めてこのまま昇天する?』
「なんかちょっと面白そう。」
ゼウス『そうか、ふむでは引き受けてくれるな?」
裕也「ちょっとお願いがあるんだけど聞いてくれる?」
ゼウス『なんじゃね?』
裕也「なんかそれとは別にプレゼントは無いの?」
ゼウス『・・・何が望みじゃ?』
裕也「異世界冒険!」
ゼウス『ふむ、まぁイイじゃろうそれくらいは・・・』
裕也「やったぜ♪
おい聞いたか、りゅう。異世界だぞ異世界!
魔法だ魔法だ♪」
「なんで裕也はそんなにテンション高いの?」
裕也「異世界って言ったら魔法だろ?ワクワクするじゃんか!」
ゼウス『魔法は授けられんぞ?』
裕也「へ?」
ゼウス『あくまでお主らに課しているのは、神への神罰。
異世界はおまけじゃ、衣食住の確保でしかない。』
「・・・まぁ現実こんなもんだって・・・」
裕也「変なのに絡まれて殺されても知らないよ?
俺一回死んだんだからね!?」
「なんでそんなに胸張って自信満々に自分の死を受け入れてるの!?」
ゼウス『それもそうか・・・
まぁちょっとくらい対抗できるくらいには授けてやるわい。』
「あ、イイんだ・・・
魔法とか発達していない安全な異世界に飛ばすとかでもありだと思ったんだけど。」
ゼウス『第二の人生は魔法ライフ、コレは神様の中では常識なのじゃ。
ここで妥協はせんぞい!』
「あ、はい。」
ゼウス『さて準備は整った。行ってくるのであ~る♪』
と、言うと地面がパカッと開いて真っ逆さまに・・・・
ヒューンヒューン
「って、落ちるぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
裕也「転移とかそういうのじゃないのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ゼウス『フォッフォフォフォ
達者でな、埋もれ行く神の処罰、よろしく頼んだぞい♪』