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仮面をかぶった超人気歌手の私。正体を隠して学校に通っていたらお昼の放送で私の正体がばれることになったので正体を隠すことはやめにしました。

作者: 天柱蓮華

 「♫~~♪~♩」


 沢山のスポットライトが当たるステージ。黒髪の女性が歌い終わるとワッと耳が痛いほどの歓声と盛大な拍手がその女性に送られた。


 ある日、突然に音楽業界に現れた超新星。月間ソングランキングを総なめにし、ありとあらゆる番組に引っ張りだこ。


 その女性は、仮面をかぶり一度も素顔を見せたことはない。 


 世間は彼女を「masquerade singer」と、そう呼んだ。




 「ただいまー」


 玄関の扉を開けて靴を脱ぐ。そんな簡単な動作でさえ億劫だ。


 なぜなら、私は今、猛烈に疲れているから。


 私の名前は、夜月星華(よづき せいか)。16歳高校1年生だ。私には家族にでさえ隠していることがある。


 「おかえり、星華。お友達との勉強会、楽しかった?」


 キッチンにいる母に「うん」と返しながらバックに目を向ける。その中には白い仮面と化粧道具が入っている。


 

 私室に戻りベッドに寝っ転がる。


 私が母にでさえ隠していること。それは、私が超人気歌手の『朝星陽華』であるということ。母には最近できた親友と勉強をしているといっている。


 

 私が歌手を始めた理由は簡単。自分が歌が好きだから。歌うことが好きだから。今は亡き父が音楽をこよなく愛していたから。


 仮面をかぶっている理由も簡単。身バレしたくなかったから。想定外に売れたから下手に身バレして母に迷惑をかけたくなかったから。


 もちろん、ずっと隠し通せるなんて思ってないし、いつかは正体を明かすつもりだ。そのときに迷惑がかからない様にセキュリティの万全な家に引っ越す資金集めをしている。まあ私が驚くほどのスピードで集まっていて、もう引っ越す資金はあるけど。


 だからそろそろ計画を決行するつもりだ。




 翌日。

 着慣れた制服を身にまとって、家を出る。私の学校での立ち位置は陰キャぼっちインテリ眼鏡。もちろん、私は陰キャでもコミュ障でも視力悪くもないけど。因みに、私の顔はザ・平凡だ。なので、いつもメイクを頑張ってテレビに出ている。メイクは凄い。



 いつも通り授業に受けて口数少なめに暇さえあれば本を読む。でも、今日はお昼休みにお昼の放送を流す当番だから、間違って演じているということをばれない様にしないといけない。


 「◯月××日金曜日。これから―――」


 落ち着いた声でお昼の放送を始めていく。

 

 しかし、今日はいつも通りにいかなかった。リクエストコーナーという、放送当番の人にリクエストをだしてお昼の放送で流してもらうというものだ。因みに、ほぼ全員がリクエストしてくるような人気コーナーだったりする。


 「お昼のリクエストコーナー!今日のリクエストは―――!……えっ??」


 放送中にもかかわらず驚きの声を出してしまった。なぜなら―――。


 『歌を歌ってください』というヤバいリクエストが来てしまったから。


 とりあえずいったん放送を切って、外に出る。


 「先生、ちょっと5分ほど時間を下さい!!」


 許可をもらったので、急いでマネージャーに連絡を取る。


 《星華ちゃん?どうしたの?今、学校でしょ?》


 「竹林さん、あの計画、どこまでできてますか!?」


 マネージャー、竹林さんの話の途中で急いで質問する。もちろん、あの計画というのは先程話したセキュリティのしっかりした家に引っ越すという話だ。因みに、前から今暮らしているアパートから引っ越したいねという話はしていたので、準備さえすれば問題ない。


 《え、部屋も取ったしあとは家具とか入れるだけだけど。どうしたの?》


 竹林さんに急いで事情を説明して、計画を早めると伝える。


 《わかった。急いで準備するわね。丁度、今日SSN歌謡祭があるから、先方にはこちらから話しておくわ》


 「お願いします!」


 そう言って電話を切る。


 放送室に戻って、歌う準備をする。


 「失礼しました。それでは、朝星陽華で‟masquerede”」


 実はこの曲、まだ発表していない新曲だったりする。


 仮面をかぶったように生活をしている世間を歌った曲だ。


 検索してもヒットしないことに気づいたのか、先生が驚いた顔をしている。


 まあでも、「なんで」なんて聞かれても答えてあげられないけれど。



 その後は何の問題もなく学校生活を終えることができた。クラスメイトは陰キャの私が朝星陽華なんて考えてもいないようで、いつも通りに読書をして終わった。


 そしてSSN歌謡祭まであと4時間―――。


 いつもの様に竹林さんが迎えに来てくれたので車に乗せてもらう。スタジオがあるのは東京だ。でも、途中から新幹線に乗るので余裕で間に合う。フラグじゃないよ。


  



 スタジオに到着したので化粧をする。初めて顔出しをするので慣れない手つきで目元のメイクをする。白い仮面をつけて、スタンバイOKだ。



 私が歌うのは番組の最後の2曲。その一番最後で仮面を外す。プロデューサーにはOKをもらっているようなので心置きなく(?)正体を明かせる。それと同時に竹林さんに新しい家に母を連れていってもらう。


 「朝星陽華さん、スタンバイお願いします!!」


 私のステージの始まりだ。



 1曲目は私のデビュー作の‟queen of color”だ。オシャレが大好きな女の子がトップモデルになるまでを歌っている。


 

 歌い終ると、耳が張り裂けそうなほどの拍手が鳴り響く。次の曲は、お昼の放送でも歌った‟masquerede”だ。サビに入ると同時に仮面を外す。炎上しないか心配だな……。


 歌い始めると、緊張もどこかに吹き飛んだようでいつもの調子が戻ってきた。


 (サビまであと3、2……1……今!!)


 仮面を外すとスタジオが騒然とした。まあそりゃそうだろう。デビューしてから一度も仮面を外したことがない「masquerede singer」が仮面を取ったのだから。


 歌い終わると今までにないほどの拍手が沸いた。流石にびっくりして、肩をビクッと震わせたのは仕方がないと思う。



 

 翌日。

 陰キャぼっちインテリ眼鏡だった私が超人気歌手だということがわかって、いろいろな―――本当に色々な人に質問攻めにあった。こうなることはわかってたけど、実際に来ると、ちょっと怖かった。


 とにかく、これからも沢山の歌を皆に届けたいとおもう。

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