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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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おわりに


『ところでその方、ポップスが知る中で何より強い危険度の生命力反応を感知しているのですが、気軽に触っていて大丈夫なのですか?』

「…え?……って…うわっ!?動いてる!?」


 リューオが少し感傷的になって持ってきた死体…だったマヌ。

 担いでいたままだったが、見るとなんと体がほぼ真っ二つであったものが、くっついている。

 まだ接合した部分がある程度の多少グロだが、どう考えてもあり得ない状態だ。


「なにこれ…リューオがまたこの間の、しました?」

「こんなのを生命力だけでやるのは…獣神ぐらいの怪物クラスか上位の魔物くらいなのです…」


 ほかにも、メガトードという化け物もそんな特性ありそうであったが、まぁ、どう取っても普通の生物で無理という形には変わらない。


「森で行き場がなくなって流れてきた獣神…というのはまぁ、なくはないのかもねぇ…最近色々あったし」


 フミがさらりと入ってくる。

 お店をやっているだけに、市井の情報には明るいというののはあるるのかもしれない。

 しかし、そこを疑問に思う前にリューオには聞かないといけないことがある。


「あの…失礼ですが、僕たちとこのまま同行することになると、かなり大変だと思うのですが…どこか他にあてがあったりしますで…しょうか…」

「いや?あんたたちにこのままついて行っていいと思ってるよ?」

「…ど、どうしてそんな数日街にいただけの人たちと、僕にそんなに…」

「いやいや、それだけじゃないだろう」


 と、フミは帽子をとる。


「あんたたちが魔王様を守ってくれる味方なのがわかっているなら、そりゃあ、協力するしかないさ、わかるだろ」


 結構立派な角が、あった。


「なるほど…」

「腕がいいだけじゃ王都ではもう見逃してくれないし、こっちに越したけどもう同じように長くないのもわかってたからねぇ、いいとこだったのさ」

「そういっていただけると、多少は気が楽です」

「何ならその子も連れて行ったほうが…いいかもね、傷からして訳ありじゃないはずがない」

「言われてみるとまぁ…」


 と、言いながら周囲の顔色をちょっと窺う。

 誰一人問題があるとは言いたそうではないのは確認できる。

 そんなわけで、そのままハンマーを片付けてポップスとフェルマータで全員を運ぶという手段で、一行はさっさと村への帰還を果たした。

 いくつかの悲しみと不安を残して…。

 



    -------------------------

 



「…リリカ…?」


 一行が帰り着いたのとほぼ時を同じにしたころの、王女を運ぶ王都への馬車の一団。

 その、野営の中に王女に近寄る影があった。


「王女、私は…もはやただの裏切り者でしかありません」

「派手に何かしたようではあるけど、私は気にしないわ。また会えて、よかった」

「…私がしたことを、何でもないとおっしゃるのです?」

「概要は伝え聞いてはいますが、リューオ様が幻覚を使いまくったらしい、その主犯らしいという噂で、私の姿の幻覚が何をしたかなんて、そもそもかき消えてしまいましたしね」

「それでも、福建派からはこれで切り捨てられます、ですから…王女の大切にしていたこれだけでも、お返ししたいと…」


 全身を布で隠したリリカではあるが、そういって取り出したのはネックレス。

 王女をある程度知るものなら、リューオに一度は渡したそれが、王女の本当に大切にしていたものであることは当然知るものである。


「…これがあるということは…リューオ様は…私を選ぶことはないのですね…」


 悲しげに、それを手に取る。

 戻ってきた宝物ではあれ、その意味を考えると泣き崩れてよさそうだと感じた。

 が。


「………違うわ」

「は?」

「もう片方…これは…あの方が持っていた、もう片方の…そんな…馬鹿な…!」


 手が震えている。

 一生会うことはないと思っていた、とある存在の手掛かりが、どうしてか、なぜか、こんな時にもたらされたのだ。


「これ…どこで渡されたのですリリカ」

「い、いえ…その、リューオ殿が立ち去ったその場所を見ていたらあったとしか…」


 実際は、一度つぶして殺した場所だ。

 空間をゴーカが断ち割ったときに道しるべにしようと一度外したゴーカのネックレスがその場に落ち、リューオが持っていたものはおそらくそのままリューオが所持していると思われる。

 村の皆様脱出の際、馬車で先に安全に出た魔王とおつきの二人組は、目を覚まさないリリカの監視と運搬を、ついでに任されていた。

 目を覚まして一度捕縛と拷問を受けるかと思ったが、魔族側の二人はあっさりと彼女を開放、もしくは捨てるという手段に出た。

 従者のウノが、魔王と二人きりという良い機会でイチャイチャしたいのに、目が覚めたら邪魔になるとポイ捨てしたのだが。

 色々聞きださないといけないものがあるのに、かなりとんでもない事をしてくれている。

 のち、放置されたリリカは、武器か何かが残っていないかと、あの現場に戻った。

 そして、リューオのあの虚無の生成で何もかもなくなった現場に多少の恐怖を覚えつつ、これを発見。

 どれだけ大事にしているかを知っているから、何も考えずにこれだけはお返しすべきと、駆け付けてしまった。

 これだけ見ると、まるで忠臣の振る舞いだ。


「あの方が…いえ、リューオ様が持っていた…?これを!?」

「そ、そうであったかは…私には、確かにとは」

「リューオ様が本当のあの方に会っているのだとしたら…会ったことがあるとしたら、どうして…私に何も…」

「わ、わかりません」


 もちろんゴーカのことだ。

 市中をあの時回っていた噂の中では、当然ながら真の王女が居たという話は出回っていないし、王女も見ていない。

 それはそう。

 伝説でしかない存在と、王女としては一度も世に姿を見せたことのないゴーカを一目で特定できるはずなどはない。

 リリカも直に会っているが、この混乱した中で言うべきかは少しためらった。


「…早馬で、リューオ様があの街から逃げ延びたと、報告があって安心していたのですが…気が変わりました」

「王女?」

「賞金をかけます…目撃でもなんでもいい、必ずもう一度、無理に引きずり出してでも話を伺います」

「そんな必要は…」

「もしあの方をリューオ様が知っていて、万一匿っていたとしたら、国も私もすべてを変えてくれるはずです!手段は選んでいられない…!」

「そんな心酔できるような理知的な方だったかしら…」

「あの方を悪く言うようなら、リリカ、許しませんよ」

「!…いえ!?」


 あまりに正常な判断を失っている。

 そうとしかみえない。

 そこまで、王女にとってゴーカは大切に感じる人なのか。

 リリカも明らかに引くレベルである。


「見なさいリリカ…この欠けた結晶」

「これについてお話を伺うのは、初めて…です…ね」

「これは王家の証としてあったもので、あの方がお別れの時に割って、片方を託してくれたのです」

「これが…」

「使われていた鎖も断ち割って、均等に半分を思い出としてくれました。ですがこれの由来を誰も知らず、元から壊れていたものとして、紋章の断片で私は血の証を持つものとして扱われた…これはそういうものなのです」

「そんなものでしたとは…」

「あの方としては、王家の由来にあたるものなど壊して捨てたと思って、本当に思い出としてくれたのだと思います。ですが、それは私の未来を変えて狂わせた…」

「で、ですが、それが正しいからこそ、今の王女にここまでの信頼が…」

「何であっても、その全てをあの方に会って確かめなくては、私は自分にある正しさを裏付けられないのです」

「…誰も疑わないほどに、ご自身の資質がありますのに、そんなことだけで…」

「何かの真似しかしていない、私はただ、受け身しかしたことがない存在なのです…気付けば誰もが偽物と罵ることでしょうとも」

「そんなことは…!そんなことは…」

「リリカ、何であれ、戻ってまた働いてもらいます!魔族と何らかの接点があるのは知ってますし、その情報こそ今必要なのです」

「私を?」

「復権派も横の伝を何人か使えば、あなたへの危害程度は抑えられるでしょうし、逆に押さえつけて抑える手もあります」

「そんな命知らずな」

「リューオ様が魔族と確かに絡んでいるなら、あの方も魔族の側にいる可能性があり、例の剣もそれとして使われることまであり得るのです…そこの情報を取れるなら、そもそも躊躇えないのですよ、そうでしょうリリカ」

「お、お命じいただけるなら、私は何でもしますが…私を、信じて…いいのですか」

「私が好きなら、私とともにいることを選んでくれるでしょう?私しか与えられない報酬のために」

「…そ、そんなコト…!」


 ずっと上手をいかれているのだと、リリカは知らされる。

 伝え聞きだけで周囲を知るだけでなく、何もかも知って動かしている王女の才覚が、自分が信じる通りなのだと知れた瞬間でもある。

 頭を下げ、この方のために生きるべき。

 さらりとしたその表情を見て、その一言で、リリカは心を決めた。


「どこにいようと、あの方を見つけます…糸口があったからには、すべてを使います」

「…何なりと、私にできることをお申し付けください王女」

「王都に戻ったら情報をすべて集めて、早急にアイーダを攻めの準備に使うことになりますね…他国にも、足元を見られない程度に助力を求める親書を書きます」

「リューオ様が抜けたままで魔王の城に攻め込まれると?」

「やります。なんでしたら、あの方を知っていて隠したか、利用していたかすら疑わなければいけない今の状況からすれば、幸運であるのかもしれません」


 リューオが聞いたら確実に泣く。


「いづれ、すべての正しい情報がそろうまで…この想いよりも危機感と仕事だけを優先する私を、あなたは…悲しく思うでしょうか…リューオ様…」

「…私は、では、先に王都に戻り、魔族側で買える情報を集めておきます」

「お願いするわねリリカ」

「お任せください」


 酷いこととをたくさんしている自覚はある。

 しかし、各所をある程度見通せる位置なら仕方ないではないか。

 あわただしく動き出しながらも、王女は自身としての力のなさには、今もなお悲観していた。

 そのぶん使うべきものを使うのは、過剰にやってみせる。


「攻め滅ぼした場合の領地分配を匂わせれば騎馬3万ほどならあの国から引き出せるはず……その間に国境周辺を薄くさせて王都の兵で西側に有利な地形を奪わせて…そこをもう一つ交渉材料にして絞り出させる…アイーダの名前も有効に使えればもっと行けるかしら…」


 考え、周囲を国々も巻き込む気で算段を始める王女。


「あの方にお会いして、もしリューオ様とも会えたなら…私に嘘をついたかの確認いかんでは、まぁ、首輪付きで飼うという手段も、ありですかしら?」


 そうして、王女が王都に着くと同時に、魔族の正式な討伐令と、リューオへの生死問わず、目撃に関しても確実と確認されれば莫大なものとなる賞金がかけられた。

 世界的な指名手配と言えるレベルの、であった。





    -------------------------

 




 一方、帰り着いた村では…。


「…本当なら、即時で死んだりはしないからと、しっかり死刑を見せしめで行ってもらって、以降死んだものとして僕は扱ってもらう手を話し合ってたんですよ…」


 リューオ、自分の体を生かして、ギロチンか何かで死刑まではやってもらう予定をしていた計画を、今やっと話す機会に至った。


「でももう、あの調子だと完全な犯罪者扱いだね…」

「もう下手したら賞金でもかかって国中どこも日中歩けなくなってたりしかねないですわねぇ」

「…笑い事じゃないですよ…」


 結構落ち込んでいるリューオ。

 周囲に犠牲者が居なかったので、回復不能な深い落ち込みではないだろうが。


「そもそもですねぇ、どうしてあんな危険なことを、アイーダさんまで巻き込んでやっちゃったんです?」

「まぁそりゃ、計画だから…」

「いや、脱出計画の後の行動ではなく、どうして連絡もなく無茶な救出をしようとしたかっていう…」

「計画だからです…」


 かみ合っていない?

 何がずれているのだろう、話の。


「わたくしたちはそもそも、ディスクで力をつけつつ、リューオがこの村だけにずっといるよう、隙があれば悪評で国を追放される流れでも作りたいなと計画していたんですのよ?」

「…………はあ?」


 何を言ってくれるのか、と、面食らう。


「そこを話すはずないから、そりゃぁ、噛み合わないよねぇ」

「あのご老人も、たぶん人間を扇動してまで似たことを計画してたんでしょうねぇ…いや、あそこまで一気に進むなんて出来すぎで怖かったのです」


 みんなグル…そうか…これは決められてたんだ…。

 僕はそんなことを知らずに…。

 そう、崩れ落ちるリューオ。


「あの…そういうコトが言えるってことは…つまりこの村の成り立ちとか…も」

「知らなくて健気にやってるなんて、そんなはずないでしょ普通」

「愛する方を逃さないためには、わりと女って何でもするんですのよ?知らなかったかしらリューオ」

「そんな…」


 もういろいろ崩れていって立ち上がれないリューオ。

 それと、その一方、他の村人の注目を集めるゴーカ。


「…あれ?」

「ゴーカさん、あの…今なんて…リューオはステラが恋焦がれていて、その流れを認める方針だったのでは…」

「やっぱり、好きになってしまったら邪魔はしませんが諦めるなんてできませんでした!ので!わたくしも、ここではっきり、リューオを射止めたいと宣言します!」

「そんなぁ!?」

「対等なところで、村みんなでリューオはだれを選ぶのか、これからやっていきましょうステラ」

「…み、みんなで…」

「抜け駆けはなし、夜に順番にリューオのお休みに誰かを充てるのは変わらずで、すべて対等に、ですわね」

「とんでもないこと、今更また掘り出さなくていいんですよ!?」

「そんなわけでリューオ、これからも村の見張りと力仕事…」


「「「よろしくね」」」


 畳みかけるように。

 どうしても拒絶できそうにない周囲の笑みで。

 リューオはさらに深い意味で閉じ込められることになる。

 見捨てるわけにも、裏切ることにも、これだけされても、そうたやすくはできそうにない。

 なぜなら、出会ったみんなそれなりにリューオも好きではあるから。


 そして。


 リューオは今日も迷っている。

 踏み出せずに、困っている。

 この村を勢い任せにハーレムにしてしまうか、その岐路に、この日から毎日たたされている。

 

 










 

「ウノ、直接の対面として呼びつけてすまないな、くつろいでくれていい」

「侯爵、ずいぶん珍しい話らしいですが、今回はいかがされたのです」

「お前が村のものと同行して得た情報の、手から生気を吸ったらしい存在の話、あれが…どうしてもな」

「何か、まずい話なのですか、それが」

「お前は見たことがなかったなぁ、その技…いや特技、それは先代魔王の最も得意としていたスキルだ」

「…確かに知りませんでしたが…」

「あの村、何を集めたかは知っておるな」

「はい」

「結論から言おう、先代の血を濃く残した子が覚醒した可能性がある…まずいのだ、他の円卓にこれを気取られるのは」

「いや…侯爵、そもそもそういう能力持ちを多く得る先代の一連の仕組みだったのでしょう?」

「魔王が万全でないことは漏れている可能性がある、そこに血の正当性を掲げて持ち出す輩が居ては、我々がまずいのだ」

「今更になって、魔王様を追い落とそうという、そんな円卓がいるはずは…」

「いるのだよ、だからこうして内密な話が必要なのだ」

「どうしろと、おっしゃるのです…」

「しばらく忙しいが、魔王とともにお前はあの村にしばらくとどまってもらう」

「認められますかね」

「体調は良くも悪くもなるものだ、理由付けはいくらでもできる…そして」

「そして?」

「万一こちらで許されぬ計画を察知したときは、お前に先に、その娘を殺してもらわねばならん…魔王の治世の安全と安泰のために」

「……承りました…」


 村側も、何気なくではあるが、一枚岩でないことは、まだこの二人しか知らない。

色々長く書けなかった間に展開の覚書も紛失してしまい、ここで第一部完ということで。

お読みいただいた方には、お時間を取らせて申し訳ない気持ちと、感謝とが入り混じる気持ちでございます。

もし発掘できたら、100人の魔王候補者と人間世界を追放された元英雄のお話みたいなタイトルでまた書いているかもしれません。

もしそんなのを見かけましたら、読んでいただけるとこちらとしては幸いです。

では、失礼いたします

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