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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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リューオ  ドラゴン L255

「こいつはいったい…?」


 ほぼ正しく場所がわかるのは、攻撃をした影武者、リリカしかいない。

 そのリリカが確認をして、確かにリューオがいたあたりに、謎の何かがいた。

 人らしい体形。

 人らしい肌。

 その肌らしいものを一部持った、全身がウロコのようなものに覆われた、何か。

 像…スタチューみたいなものにも思えるような、謎のそれ。

 急に生えたようで、それでいて、細かく変化しているように動いている。


「リューオ?それとも…ちがいますの?」


 マヌを背負ったまま、割と何気なく近寄っていくゴーカ。

 話しかけられても、特にこっちを向きもしない光る物体。


「…触ると痛そうですけど、なんとなく飾るには綺麗そうではある…」

「それが何かは知りませんが、一緒に潰されたくないなら、命乞いでもしてくれますか!ゴーカ様!」

「…っ…うるっさいですわね!」

「うるさい…!?もうすぐ国を統べようとしている、私に向かって!」


 もはや脈絡もない。

 ゴーカが自らの力で自由になっているのだから、なり替わるような計画そのものが崩れているのだが。

 しかし、それでも、ゴーカをここで殺して奪い取る手をまだ探っているのか。

 半壊のオーガが、また拳を振り下ろすが、ぽいとマヌを投げて両手に持った剣であっさりそれを切り飛ばすゴーカ。


「もうちょっと待っておきなさい!お仕置きは待っていても逃げたりいたしませんことよ!」


 実のところ、多少ゴーカも力の維持で消耗しているのだが、そんなことを表に出しては優雅さがない。

 あくまですべてを余裕で行っている。

 そう見せてこその、真の王。


「馬鹿にして…そうやって寄ってたかって!」

「…そういえば、この剣の纏っている浄化領域に触れて何でもないこの獣人、なんなんでしょう…誰?」

「こちらを向きなさい!」


 オーガをあきらめて、ひびが入って使えると思えないキューブを取り出すリリカ。

 もはや錯乱しているように見える。

 破損した空間制御で発生しうるバグというものが、怖くないものにしかできない所業。

 そこに、もう一段怖いものがここにいたこと。


「ヤメて…歪んでいくと…気持ちが…!」

「あら!?これが弱点なのですかぁ?それ」

「それならそっちで、少し遊んででもいれば……」


 言い終わる暇もなかった。

 少しいい気分になっていたリリカも、そのままだった。

 そのまま、言葉が消えた。


「…は?」

「ひっ!?な、なにが…なにも…なんですかこれ…怖い…!」


 マヌが、瞬間的に、過剰に怯えだした。

 ゴーカは、何が起きているのか把握していない。

 その目には、ただ、何もなくなったように見えただけ。


「これが、何かしたんですか?」


 したのだ。


「おちツく…やっと…これが…見ていると…これならいい…見やすい…」


 金色のそれ。

 やっと、何か反応が変わりだしたように、雰囲気が変わったようにも感じる。


「心が落ち着きます…気持ち悪いのがやっと…取り戻せて…すごく安心感が…」

「リューオ?やっぱり、リューオですか?」

「お嬢さ…あ、いえ、ゴーカさん…どうしてそんな恰好でここに…あれ?」

「…あれ、じゃないですわよ。なんなんですか色々」

「…あ…れ……?…あ!!」


 慌てた声が聞こえ。

 それと同じくして、金色のそれは、徐々に形を整えていく。

 それらしい肌、それらしい瞳、それらしい口。


「まずい!まずすぎる!ついつい大昔のクセで余計に力を!」

「だいぶリューオに戻ってきましたわねえ、便利なんだか、なんなんだか…説明してもらえたりします?」

「結構後になりますが、それなりにかみ砕いてしましょう!それよりこれ、ひどいな!?」


 リューオの視点。

 これが厄介なのは、空間に空気の密度、世の中にある存在全てには流れも密度の差もあるものたちなのだという点にある。

 リューオは、世界はそれが当然であるはずの、均一でなく、流れるように動くもの、違いのあるものが、出来上がった当時には全て気持ち悪いものと映っていたのである。

 空間や空気の密度、たわみというものは、たとえ見えなくても完全に同じであることがないのが普通。

 そういった、ちょっとした違いの連鎖が、歪み、整列していないものとして受け止められた。

 それに慣れることがなく、止められない気持ち悪さに、母は対処する力をくれた。

 あらゆるものを固定して、整列し、規則正しく分子の間隔まですべてを一致させた空間の作成、という能力を。

 その中では空間も、物質も、光すら等間隔であり、しかも動かない。

 今が夜中であるから、人間の目でこそ、ぱっと見はわからないが、思いっきりそこに作成してしまったのは、そんな別時空とでも呼べばいいだろう空間。

 何も動かず、何も入らず、ただ整列されたところ。

 呼ぶなれば、それは綺麗に見えるかもしれない、極限の虚無。

 そういった空間だ。

 気分のために片手間に作るような場所ではない。

 しかも、それは世界の平均値、つまり宇宙なども含めた密度の平均のような密度で調節され、他のものは排除といったもの。

 何物も存在できない虚無であり、あっただろうモノ、すべては瞬間的に消えた。

 そう、地面であろうと、オーガの破片だろうと。

 リリカであろうと。

 さらに母の持つ能力により、世界の構成に干渉するため、キューブなどの技術的干渉と違い、対抗手段はない。

 何をしてくれているんだと、自分がやったことにもかかわらずリューオも慌てる。

 戻すこと自体は、自分であれば可能であるので、すぐさま行うが。

 …なくなったものは復元まではしていない。

 虚無だった空間に、再び空気が流れ込み、連鎖的な周囲の「歪み」のようなものが、また適応されるだけ。

 真空に近かったその空間に関しては、調整して周囲に影響が少ないように処置はしている。

 棺の中で何度もしながら、リューオが母に習ったものだった。


「うぅ…返してください…もうここ、怖いのですぅ…」


 それをすぐさま感覚的に察知して反応できるマヌも、実際はかなり尋常じゃないのだが、それはそれ。

 そこまで気付いて構うものはいない。


「すいませんね。自分が保てていなくて大変な失礼を…」

「失礼ですむなら、それでも別にいいんですけど…服、きてください」

「あなたが言うことですかね!?」


 村での、ごく最近の丸出しな状況であるとか、夜中にいろいろするために部屋に来たりとか、山ほど言いたいことがリューオにもある。


「だからといって、こんなところで裸でいいという話にはなりません!わたくしだって、急に見せられてちょっと恥ずかしい気持ちがなくもないんですから!」

「複雑すぎて、さっぱりわかりません…」

「ま、ちょっと心配なところもありましたが、これだけ普通に話せるなら、もう平気なのですわよね」

「僕はまあ、平気ではありますが…ゴーカさん…僕を見ても、その…なにも、変わりませんか?」


 おそらくは、意識がない間のリューオの姿を言っている。

 人ではなく、自分としても何だったのか憶測でしかわからないし見た記憶もほぼない物体を見て、相手にどう思われるか。

 少し、これは怖かった。

 答えは。


「だから、服くらい着てと言ってるじゃないですの!急にそんな露出高くしてイメチェンするって言うなら、さすがに付き合い方、変えさせてもらいますわよ?」

「それはないです…いえ、よかった」


 何気なくだが、何も変わらず付き合いを続けてくれるというアピールとも取れる。

 嬉しかった。

 変わらないという気持ちが、とてもうれしかった。


「とりあえず…えっと…えっと…経過した情報をさかのぼって…何があったんですかね…」

「わたくしにも、実のところさっぱり…ああ、そういえば、さっきので無礼だったあの女、丸ごと消えましたよ」

「あ!…それは戻さないと…えっと時間のレコードを探って…消滅した物体のコードを…仕方ない、また一部、僕という認識から外さないと…」


 嫌々、といった調子で、目の色と肌の一部がまた変化したリューオが周囲をいじる。

 これらすべての力は、母の持つ際限のない力である。

 これが使えるということは、自分はまだアレの一部であり、確固とした自分を形成した己という存在になってはいない、ということである。

 まだ道半ば。

 それによる不死であり、無限であるとはいえ、リューオはそれが嬉しいわけでは全然ない。

 新たな一つの存在としてこの世界にあるようになることは、母の言う、義務だから。

 それを思い出しつつ、力は使うという、ずいぶんと滑稽なことをしている。

 自分を手に入れる、いつになるかわからない旅をしながら。


「よし」


 リューオの目の前に、影武者、リリカが出現した。

 面倒なので服までは再現しない。

 体だけだが、指定して、火傷はない時間帯のものだ。

 顔が少し違うようだが、おそらくは影武者であるために少し変化か整形していた分だろう。

 他人の気にする範囲ではない。


「…じゃあ、すみませんが、ゴーカさん…この二人を持ってまた下水道からでも、宿に戻っていただけませんか?」

「あら、リューオは?」


 自分が落としたと思われる、落ちていた首飾りを偶然発見して手に取ったゴーカが向き直る。


「さすがに騒ぎのレベルがもう、どうしようもないです」

「べつにリューオも一緒に逃げたら……」


 言葉を言い終わることはなかった。

 そのへんをまとめて、地面ごと少し離れた、ムカとウノがいるあたりに、ゴーカは転移していた。

 みんなで帰りなさいという話だ。

 有無を言わせないやりかただが。

 どうしてそういうことをしたかというと…。


「おまえか!この騒動の犯人は!」

「見張り台から見たぞ!おまえは人間じゃないな!」

「どれだけの被害を出したか、覚えていろよ魔族の一味め!」


 すでに警備兵らに見つかって、誰かを捕まえないと収まらない事態だったからである。

 彼女たちを追いかけるほうに向かわないような、足止めもすこしある。

 かつ、決定的なのは、今さっき母の能力で周囲を探ったとき、すでに目撃情報でリューオが街を破壊していたり、魔族と話していたなどという話が、街の中で通報として、まことしやかに広がりはじめていたのを知ったからである。

 かくて。

 街を破壊し、皇女のいる時を狙って襲撃をした首謀者として、リューオは逮捕されたのである。

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